【2025年5月】「アルコールチェック義務化」の概要と運用方法|最新の導入状況や対象者・罰則も解説

一定の条件を満たす白ナンバー事業者における、アルコールチェッカー(検知器)の使用義務が2023年12月1日より本格施行され、約1年半が経過しました。
飲酒運転撲滅を目的としたこの制度は、段階的に強化されてきました。
2011年5月1日の法改正では、まず緑ナンバー事業者に対して、点呼時にアルコールチェッカーによる確認が義務付けられました。
続いて2022年4月1日、白ナンバー事業者にも酒気帯び確認と1年分の記録・保存が義務化されましたが、この時点ではアルコールチェッカーの使用義務は含まれていませんでした。
当初は同年10月1日から施行予定でしたが、半導体不足による検知器供給の遅れで延期され、2023年12月1日にアルコール検知器の使用義務が正式にスタートしました。
ただし、段階的な法改正の影響から「自社の運用が法令を遵守できているか不安」「日々のアルコールチェックに手間がかかる」「他社の導入状況が気になる」といった声が見受けられます。
本記事では、アルコールチェック義務化の概要や運用方法、対象企業、違反時の罰則、2025年時点でのアルコールチェッカー導入状況まで、幅広く解説します。
この記事を読めば、制度の基本から最新の対応状況まで、ひととおり把握できる内容になっています。
また、アルコールチェックに関する「よくある質問」もQ&A形式で掲載していますので、アルコールチェックの運用や導入の参考にご活用ください。
目次 / この記事でわかること
1. 【概要】アルコールチェック義務化とは?
アルコールチェック義務化とは、運転前後の1日2回、業務で車両を使用する事業者に対し、ドライバーの酒気帯びの有無を「目視」と「アルコールチェッカー」で確認し、その結果を記録・保存することを義務づける制度です。
これに伴い、安全運転管理者の選任義務違反などの罰則強化と、業務内容が拡充されました。
アルコールチェックは、もともと緑ナンバー(タクシー・バス・トラックなど)の運送事業者のみが対象でしたが、2022年4月の法改正により、一部の白ナンバー事業者にも対象が拡大されています。
こうした飲酒運転撲滅への取り組みは年々強化されており、罰則内容も厳しくなっています。
また近年では、企業ドライバーだけでなく、自転車、電動キックボード、モペットの利用者による飲酒運転も問題視されており、これらも道路交通法上の罰則対象とされています。
そのため、企業・個人を問わず、社会全体で適切なアルコールチェックの実施と交通安全への取り組みを徹底することが求められています。
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2. いつから実施?アルコールチェック義務化までの流れと背景
アルコールチェックの義務化は、2011年5月1日に施行された「旅客自動車運送事業運輸規則」および「貨物自動車運送事業輸送安全規則」の改正によって始まりました。
当初は、トラック・バス・タクシーなどの緑ナンバーの運送事業者に対し、点呼時にアルコールチェッカーの使用が義務付けられました。
しかし、2021年に白ナンバーのトラックによる飲酒運転事故が発生し、児童5人が死傷したことを受け、社会的に大きな問題となりました。
この事故をきっかけに、2022年4月、2023年12月と段階的に「道路交通法施行規則」の改正が行われ、現在は、一部の白ナンバー事業者もアルコールチェックの対象に追加されています。
以下の表にて、年度ごとに更新された義務化の内容をまとめています。
年度 | 施行日 | 対象事業者 | 義務化内容 |
---|---|---|---|
2011年 | 5月1日 | 緑ナンバー事業者(バス・タクシー・トラック等) | 点呼時に国家公安委員会指定のアルコール検知器を用いた飲酒検査の実施義務化 |
2022年 | 4月1日 | 一定台数以上の白ナンバー事業者 | ・運転前後の酒気帯び有無の目視等による確認(検知器使用は未義務) ・点呼記録の1年間保存義務化 |
10月1日 ※半導体不足で検知器供給困難により施行延期 | 一定台数以上の白ナンバー事業者 | ・アルコール検知器を用いた酒気帯び確認 ・アルコール検知器を常時有効に保持 |
|
2023年 | 12月1日 | 一定台数以上の白ナンバー事業者 | ・アルコール検知器を用いた酒気帯び確認 ・アルコール検知器を常時有効に保持 |
今後もさらなる制度の見直しや運用基準の厳格化がすすむ可能性があり、対象事業者には柔軟な対応と法令遵守が求められています。
そこで本章では、現行の義務化の内容を正しく把握するために、2022年4月1日施行の義務化内容と、2023年12月1日施行の義務化内容について詳しく解説します。
2022年4月1日施行|目視等によるアルコールチェック義務化
2022年4月1日に改正・施行された「道路交通法施行規則第9条の10」では、以下の項目が新たに追加されました。
- 安全運転管理者は、目視等により運転者の酒気帯びの有無の確認(アルコールチェック)を行うこと(※運転前後の1日2回)
- 上記の内容を記録して1年間保存すること
「目視等で確認」とは、酒気帯びの有無を運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子などで確認することを示します。
原則として、対面での確認が必要ですが、直行直帰や出張など、ドライバーが遠隔地にいる場合は、ビデオ通話や電話による確認が例外的に認められています。
アルコールチェックの記録項目は全部で8項目あり、紙やエクセルデータ、クラウド上などに記録し、1年間の保存が義務づけられています。
2023年12月1日施行|検知器によるアルコールチェック義務化
2023年12月1日に改正・施行された道路交通法施行規則では、以下の項目が新たに追加されました。
- 運転者の酒気帯びの有無の確認をアルコールチェッカーを用いて行うこと
- アルコールチェッカーを常時有効に保持すること
対象事業者には、目視だけではなく、アルコールチェッカーを用いた酒気帯び確認が義務付けられています。そのため、直行直帰や出張の際は、アルコールチェッカーを携行する必要があります。
「アルコールチェッカーを常時有効に保持する」とは、アルコールチェッカーが正常に作動し、故障がない状態で保持することを指します。
管理者は、アルコールチェッカーの製造者(メーカー)が定めた方法で、適切にメンテナンスを実施し、日常的に故障の有無を確認しなければなりません。
アルコールチェッカーの使用回数の上限を超えたり、有効期限が過ぎたりした場合は、有効な検知器とみなされず、罰則の対象になる可能性があるため注意が必要です。
3. 2025年最新のアルコールチェッカー導入状況
本章では、2025年1月にLINE WORKS株式会社が行った「アルコールチェック義務化に関する意識や取り組み状況・課題」に関する実態・意識調査の内容をもとに最新の導入状況などを紹介します。
本調査は、全国20〜59歳のアルコールチェック義務化の対象企業、またはアルコールチェックに関する業務に携わっている1,000人を対象に実施されたインターネット調査です。
現場で実際に起きている状況を把握し、導入の進捗状況や運用上の課題について考えてみましょう。
参考:アルコールチェック義務化に関する実態・意識調査|LINE WORKS株式会社
アルコールチェッカー使用の実施率100%は5割以下
2025年1月に発表された調査内容によると、アルコールチェッカーを導入している企業は、全体の79%に達しましたが、アルコールチェッカーによる酒気帯び確認を100%実施している企業は48%にとどまっています。
前年度の調査では、アルコールチェッカーを導入している企業は全体の76%、アルコールチェッカーによる酒気帯び確認を100%実施している企業は35%でした。
前年度と比較すると、義務化の対象企業の意識は確実に向上しているものの、運転後のチェックが漏れやすく、完全な実施が難しい状況が続いています。
企業は法令遵守のため、運用体制の見直し、改善が求められている状況です。
非クラウド型アルコールチェッカーや手書き管理が現場の負担に
調査内容によると、非クラウド型のアルコールチェッカーを使用している企業は51%、手書きでの記録管理を行っている企業は66%に上ります。
手書きやエクセル入力などのアナログな運用方法は、管理者やドライバーにとって大きな負担になっており、業務効率の低下やミスの原因とされています。
クラウド型のアルコールチェッカーであれば、検知内容はクラウドに自動送信・保存されるため、運用の手間を大幅に削減できます。
アルコールチェッカーの導入を検討する企業も増える中で、今後、クラウド型システムへの移行が進むことが予測されています。
4. アルコールチェック義務化に違反した場合の罰則
アルコールチェック義務化に違反した場合、企業・安全運転管理者・ドライバーそれぞれに厳しい罰則が科される可能性があります。
さらに、飲酒運転による重大事故が発生した場合は、刑事罰や行政処分に加え、企業の社会的信用を大きく損なうリスクもあります。
そこで本章では、違反時に想定される企業・安全運転管理者の罰則と、ドライバーへの罰則を解説します。
企業・安全運転管理者への罰則
アルコールチェックを実施しなかった場合、安全運転管理者には「安全運転管理者制度違反」により、以下のいずれかの行政処分が下されます。
違反名 | 違反内容 | 処分内容 |
---|---|---|
選任義務違反 | 選任義務の対象であるにもかかわらず、安全運転管理者を選任していない | 50万円以下の罰金 |
解任命令違反 | 公安委員会が「安全運転管理者が適切に職務を遂行できない」と判断し、解任したにもかかわらず、選任を継続したり、再選任している | |
是正措置違反 | 公安委員会が是正措置を勧告したにもかかわらず、是正措置を行っていない | |
選任解任届出義務違反 | 安全運転管理者を選任(解任)したにもかかわらず、選任(解任)してから15日以内に管轄の公安委員会へ届出を行っていない | 5万円以下の罰金 |
継続的な違反や事故発生などが重なると、企業に対して、営業停止や車両停止の行政処分が科される可能性があります。
また、飲酒運転による死傷事故が発生した場合、企業や安全運転管理者に、罰金や懲役などの刑事罰や、民事訴訟による賠償金の支払いが科される可能性も考えられます。
ドライバーが飲酒運転した場合の罰則
ドライバーが飲酒運転した場合の罰則は以下のとおりです。
呼気中アルコール濃度 | 違反点数 | 行政処分 | |
---|---|---|---|
酒気帯び運転 | 0.15mg/l以上0.25mg/l未満 | 13 点 | 免許停止(90日間) |
0.25mg/l以上 | 25 点 | 免許取り消し(欠格期間2年)※ | |
酒酔い運転 | 数値の判断ではない | 35点 | 免許取り消し(欠格期間3年)※ |
※欠格期間とは、運転免許の取消処分を受けた者が運転免許を再度取得することができない期間
酒酔い運転は、数値による判断ではなく、「ろれつが回っていない」「正常に受け答えができない」など、明らかに酔っている状態で運転をした場合に適用されます。
そのため、呼気中アルコール濃度が低くても、アルコールの影響を強く受けている場合、酒酔い運転が適用される可能性があります。
「毎日飲酒しているから酔わない」「アルコールチェッカーに反応しなければ問題ない」といった安易な考えは、重大事故につながるリスクがあります。
飲酒に関する正しい知識を身につけ、運転に携わる者としての自覚と責任を持つことが重要です。
5. アルコールチェック義務化に伴う適切な運用方法
アルコールチェックの義務化により、企業には、ただ測定するだけでなく、法令に基づいた適切な運用が求められています。
ドライバーの安全と法令遵守を確保するためには、アルコールチェックの実施タイミングや記録の保存方法など、明確なルールに基づいた運用体制の構築が必要です。
そこで本章では、法令に基づいた適切な運用方法を3つのステップに分けて解説します。
運転前に目視確認とアルコールチェッカーで計測する
安全運転管理者は、ドライバーの酒気帯びの有無の状態を「目視」と「アルコールチェッカー」で確認しましょう。
原則として対面での確認が必要ですが、直行直帰などで対面で直接確認できない場合は、電話やビデオ通話など、対面に準ずる方法での確認が認められています。
メールやチャットなど、直接対話ができない方法は認められていません。
顔色や呼気の臭い、応答の声の調子、アルコール摂取している様子はないかなどを確認し、アルコールチェッカーによる測定を徹底しましょう。
アルコールチェックの結果を記録する
アルコールチェックの結果は正確に記録し、1年間保存する必要があります。
記録項目は全部で8つです。
【8つのアルコールチェック記録項目】
- 確認者名
- 運転者名
- 運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
- 確認の日時
- 確認の方法
- ア:アルコール検知器の使用の有無(2023年12月より使用が義務化)
- イ:対面ではない場合は具体的方法(例:電話、ビデオ通話など)
- 酒気帯びの有無
- 指示事項
- その他必要な事項
記録方法は、主に「紙」「エクセル」「クラウド型アルコールチェッカーシステム」などがあります。
クラウド型のアルコールチェッカーであれば、測定結果や法令遵守に必要な項目が自動的に記録・保存されるため、手書きによる記載ミスや記録漏れを防げます。
記録されたデータはリアルタイムで管理者と共有でき、遠隔地での点呼もスムーズに行える点が大きなメリットです。
法令遵守と業務効率の両立を図るうえで、導入を検討する価値は高いと言えるでしょう。
運転後にアルコールチェッカーで計測・記録する
アルコールチェックは、運転後も実施が求められ、業務中に飲酒がなかったかどうかを確認します。
チェックのタイミングは、必ずしも運転直後である必要はなく、運転を含む業務の終了後や退勤時でも問題ありません。
記録内容は、運転前と同様に1年間の保存が義務づけられています。
6. アルコールチェック義務化の対象企業
アルコールチェック義務化の対象は、業務用ナンバーである「緑・黒ナンバー」事業者に加え、2022年から「一部の白ナンバー」事業者も対象に加わっています。
白ナンバー事業者でアルコールチェックの義務化が対象となるのは、以下のいずれかに該当する事業所です。
- 定員11名以上の車両を1台保有する事業所
- その他の車両を5台以上保有する事業所
※自動二輪車(原動機付自転車を除く)は、1台を0.5台として計算
以上のいずれかに該当する白ナンバー事業者は、安全運転管理者の選任義務があり、アルコールチェック義務化の対象企業です。
以下の関連記事では、緑ナンバー、黒ナンバー、白ナンバーの特徴についてそれぞれ詳しく解説しています。ナンバーの取得方法や注意点、各ナンバーにおける「よくある質問」についてQ&A型式で紹介していますので、あわせて参考にしてください。
関連記事:
『緑ナンバーとは?取得までの3ステップとメリット・デメリットを紹介』
『軽貨物運送事業に必須の「黒ナンバー」とは?取得に必要な5つの条件と方法を3ステップで解説』
『白ナンバーとは?軽自動車の手続き方法や申込み期間について解説』
7. 導入前に|義務化の対象企業がすべき4つの対応
アルコールチェック義務化の対象企業が法令遵守を徹底するためには、事前準備が重要です。
特に以下の4つは、早めに準備に取りかかることで、スムーズな運用につながります。
- ・安全運転管理者の選任と届出
- ・アルコールチェッカーの導入
- ・社内での運用ルールの周知
- ・記録の保存体制を整える
これらの対応を怠ると、法令違反とみなされ、罰則の対象になる可能性もあります。
企業としての信頼を損なわないために、計画的に取り組みましょう。
安全運転管理者の選定・届出
白ナンバー事業者におけるアルコールチェックは、安全運転管理者が行います(緑ナンバー事業者は運行管理者が実施)。
そのため、事前に安全運転管理者を選任し、15日以内に管轄の公安委員会へ届出を行う必要があります。
同じ法人であっても別の事業所である場合は、事業所ごとに選任・届出を行わなければなりません。
ちなみに、安全運転管理者のほかにも「副安全運転管理者」の選任が必要なケースもあります。
【副安全運転管理者の選任が必要なケース】
- 車両保有台数が20台以上40台未満の場合は1人
- 40台以上60台未満の場合は2人
- 60台以上80台未満の場合は3人
以上のとおり、20台追加ごとに1人ずつ選任しなければなりません。
以下の関連記事では、安全運転管理者の選任義務や業務内容について詳しく解説しています。業務フローを整備する場合などに、ぜひ参考にしてください。
アルコールチェッカーの導入(国家公安委員会が定める機器)
2023年12月1日道路交通法の改正により、アルコールチェッカーを用いた酒気帯び状態の確認が完全義務化となりました。
使用するアルコールチェッカーは「国家公安委員会が定める」もので、「呼気中のアルコール成分を検知し、その有無またはその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器」と定められているため、導入前に条件を満たしているか確認しておきましょう。
機器精度など性能上の要件は特段定められてはいません。
また、アルコールチェッカーを選ぶ際は、 「アルコール検知器協議会」認定機器一覧 から選ぶことをおすすめします。
アルコール検知器協議会では、販売ガイドラインや技術要件の基準を満たした精度の高い検知器のみが認定を受けています。
以下の関連記事では、企業向けのアルコールチェッカーを比較して紹介しています。自社に適したアルコールチェッカーを導入できるよう、ぜひ参考にしてください。
アルコールチェックの運用ルールの周知
アルコールチェックの義務化を遵守するためには、運用体制の整備が重要です。
以下のような運用ルールを事前に決めておくことで、スムーズに運用が開始できます。
- 酒気帯びの有無は誰がどのように確認するのか
- 安全運転管理者が不在の時は誰が代わりに確認するのか
- 直行直帰で業務を行うドライバーの確認はどう対応するのか
- アルコール反応があった場合はどう対応するのか
事前に運用ルールを考えなければ、業務に支障をきたし、法令違反にもつながります。
法令を遵守したアルコールチェックを実施するために、運用ルールを定め、事前に社内に周知した上で運用を開始しましょう。
アルコールチェックの記録・保管体制を整える
アルコールチェックの記録は、1年間の保管が義務づけられています。
保管方法は厳格に決められていませんが、大きく分けて主に以下の3つの方法があります。
- 紙
- エクセルデータ
- クラウド型アルコールチェッカーシステム
紙やエクセルデータで保管する場合、記録漏れなどのヒューマンエラーや、紛失、改ざんなどのリスクが考えられます。
ドライバーや管理者の業務負担も増えるため、近年はクラウド型のアルコールチェッカーを導入する企業が増えています。
クラウド型のアルコールチェッカーは、検知内容はクラウドに自動送信・保存されるため、運用の手間を大幅に削減できます。
さらに、改ざんなどの不正リスクも低く、監査の際に、公安委員会から記録簿の提出を求められた場合、必要な情報を即座に取り出せるのも大きなメリットです。
アルコールチェックの実施も重要ですが、記録・管理体制を整えることも大切な業務のひとつです。
自社に適した管理体制を整えましょう。
8. 義務化対応のアルコールチェッカーは「アルキラーNEX」
アルコールチェックの完全義務化に対応するアルコールチェックシステムとして、お客様に喜ばれているのが、パイ・アールが開発している「アルキラーNEX」です。
法令遵守はもちろん、業務の効率化や記録管理のしやすさを兼ね備えたモデルとして、緑・黒ナンバー事業者や白ナンバー事業者を中心に多くの企業で導入されています。
そこで本章では、アルキラーNEXの特徴や、2025年のアップデートに関する最新機能について分かりやすく解説します。
アルキラーNEXの特徴
アルキラーNEXは、いつ・どこで・だれが検知したか、ひと目でわかるクラウド型アルコールチェッカーサービスです。
スマートフォンとアルコールチェッカーを連携させることで、簡単にアルコールチェックを行い、検知結果はクラウド上で一元管理できます。
測定時には、日時・位置情報・顔写真といった関連データが自動でクラウドに送信されるため、管理者はリアルタイムで詳細な情報を確認できます。
アルキラーNEXは、アルコール検知器協議会の認定機器であり、業務用クラウド型アルコールチェッカーとして、規模や業界を問わず、幅広い企業で導入されています。
ほかにも、以下のような特徴があります。
- 日本製ガスセンサーにより高精度の検知が可能
- サポート体制とアフターサービスが充実
- 顔認証やワンタイムパス認証による不正防止機能を搭載
- 走行管理オプション機能で車両予約や免許証管理が可能
- 外部システムの 勤怠システムやキーボックスとの連携が可能など
アルキラーNEXは、単なるアルコールチェッカーではなく、業務の効率化をサポートする多機能ツールです。そのため、ドライバーと安全運転管理者の業務負担を軽減することが可能です。
これに加え、2025年1月より事業者の業務負担をさらに軽減する最新機能が搭載されています。次項で詳しく紹介します。
2025年1月|機能が大幅アップデート
アルキラーNEXは、アルコールチェックの運用に加えて、走行管理をサポートする新機能をアップデートしました。
新機能 | 内容 |
---|---|
動態管理 | 車両の位置情報をリアルタイムで地図上に表示し、運行状況を可視化。ドライバーの安全確保や業務指示に活用可能。 |
運転経路の表示 | 各車両の運転ルートを地図上に表示。運行ルートの確認や見直しが可能。 |
走行距離の自動計算 | GPS情報をもとに走行距離を自動で計算。オドメーターの数値入力の手間をなくし、ガソリン代などの経費算出にも利用可能。 |
運転報告ごとの写真添付 | 運転報告ごとに写真を最大3枚まで添付可能。訪問先到着の報告や経費発生時のレシート画像の添付などに活用可能。 |
有料道路料金の入力 | 有料道路料金の入力が可能となり、写真添付機能と組み合わせて、運転日報上で経費の報告も可能。 |
今回のアップデートにより、アルキラーNEXはアルコールチェックだけでなく、運行管理全体をサポートするツールへと進化しました。
安全運転管理者は、アルコールチェックの結果だけでなく、運転日報や車両の利用状況を一元管理できるようになり、業務の効率化と安全性の向上が期待できます。
アルキラーNEXの機能や導入実績など、詳細内容は以下のリンクから確認できます。
9. 【Q&A】アルコールチェック義務化に関する10の質問
アルコールチェックの義務化に伴い、「対象となる企業は?」「どのタイミングで検査すべき?」「記録の保管期間は?」など、現場ではさまざまな疑問や不安の声があがっています。
そこで本章では、アルコールチェックに関してよく寄せられる10の質問をQ&A形式でわかりやすく解説します。
正しい運用のヒントとして、ぜひ参考にしてください。
アルコールチェックを行うタイミングは?
アルコールチェックを行うタイミングは、運転前の1回と運転後の1回の計2回です。
1日に何回も運転する場合、その都度チェックする必要はありません。
法令にも「運転を含む業務の開始前や出勤時、および終了後や退勤時に行うことで足りる」と記されています。
義務化において「対面確認」は必須?
原則として、対面での目視確認が必要です。
ただし、直行直帰や出張で対面確認がむずかしい場合は、電話やビデオ通話など、対面に準じた方法での確認が認められています。
レンタカーでもアルコールチェックは必要?
レンタカーやカーシェアは、企業(借主)が保有する車両ではありませんが、車両の使い方や状況次第では、アルコールチェックが必要です。
例えば、安全運転管理者の選任が必要な企業が、業務でレンタカーやカーシェアを数週間から数か月にわたって継続的に利用する場合、その車両は企業が管理するものとみなされ、アルコールチェック義務の対象になります。
アルコールチェックは誰が行う?
アルコールチェックの実施者はナンバープレートの色によって異なります。
緑ナンバー事業者では「運行管理者」、黒ナンバー事業者では「貨物軽自動車安全管理者」、そして白ナンバー事業者では「安全運転管理者」が行います。
関連記事:
『運行管理者とは|仕事内容や必要な資格・安全運転管理者との違いを解説』
『貨物軽自動車安全管理者とは?業務内容・義務化の背景・罰則を詳しく解説』
『【2025年】安全運転管理者とは?選任義務から罰則・業務内容まで詳しく解説』
安全運転管理者が不在の時は誰が実施する?
安全運転管理者が不在の場合、「副安全運転管理者」または「安全運転管理者の業務を補助する者」が運転者のアルコールチェックを実施します。
安全運転管理者が不在の場合でも、アルコールチェックは必ず実施しましょう。
直行直帰の場合でもアルコールチェックは必要?
直行直帰の場合でも「目視」と「アルコールチェッカー」で酒気帯びの確認が必要です。
ドライバーにスマートフォンや携帯型アルコールチェッカーを携行させ、電話やビデオ通話によって安全運転管理者が目視確認を行い、アルコール検知器による測定結果もチェックします。
出張時や、早朝・深夜などで対面での確認が困難な場合も、同様に実施する必要があります。
アルコールチェッカーの指定はある?
アルコールチェッカーの指定はありません。
ただし、国家公安委員会は、アルコールチェッカーを「呼気中のアルコールを検知し、その有無又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有するもの」と定義しています。
お酒を飲まない人もチェックの対象?
アルコールチェックの対象は、「事業所の業務のために運転する者」と定められているため、お酒を飲まない人もチェックの対象です。
業務のために車を運転する場合は、お酒を飲まない人でも運転前後1日2回のアルコールチェックを行わなければなりません。
アルコールチェックの記録はいつまで保管するの?
アルコールチェックの義務化に伴い、記録簿を1年間保管することが定められました。
記録を保存していない場合は罰則があるので、紛失や不正が発生しないように厳重に保管しましょう。
アルコールチェッカーの導入コストを抑える方法はある?
アルコールチェックシステムの導入コストを抑えるには、補助金や助成金制度の活用がおすすめです。
全日本トラック協会では、対象機器の取得価格の1/2、上限2万円を助成しています(各都道府県のトラック協会ごとに異なります)。
各自治体でも独自に補助金や助成金を実施しているため、導入前に募集情報があるかチェックしてみましょう。
10. まとめ|アルコールチェック義務化に則ったアルコールチェックを実施しよう
本記事では、アルコールチェック義務化の概要や背景、最新の導入状況、運用方法や罰則、対象企業やよくある質問について紹介しました。
アルコールチェックの義務化は、ドライバーの安全を守り、飲酒運転による重大事故を未然に防ぐための重要な取り組みです。
事業者は、法令に則ったアルコールチェックの実施と記録管理を徹底することで、ドライバーの安全意識の向上と企業の信頼性の確保につながります。
また、クラウド型アルコールチェッカーの導入も検討しつつ、無理なく継続できる運用体制を整え、業界全体で飲酒運転ゼロを目指しましょう。