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運転日報の書き方とテンプレートを紹介|法律に基づいた保管方法と必要項目とは?

企業は業務で自動車を利用した場合、運転日報の記録や保存が義務付けられています。
運転日報を日々記録するなかで、抜けや漏れを防ぐためにはテンプレートを活用することをおすすめします。

ところで運転日報は、どのような項目を記録してどのように保存をするかなどご存じでしょうか?

  • 「自社は運転日報作成・保存の義務はあるの?」
  • 「なぜ運転日報を記録しないといけないの?」
  • 「具体的にどんな項目を記載すればいいの?」
  • 「作成を怠った時の罰則は?」

本記事では上記のような疑問に回答しつつ、運転日報のテンプレートや書き方、法令に基づいた保管方法なども紹介しますので、運転日報の記録・運用にぜひ役立ててください。

1.そもそも運転日報とは?

運転日報とは、企業が保有している車両を業務で使用した従業員が氏名や運転開始・終了した日時、走行を要した距離など、車両を使用した内容を都度記録したものです。

日々の記録をしておくことにより、従業員が就業している状況や、保有している車両の状態などを把握することができます。また運転日報の記録・保存は、紙、アプリやパソコンなどさまざまな方法があります。

運転日報を義務と定めている法律について

運転日報の作成は以下2つの法律によって義務付けられています。

  • ・貨物自動車運送事業輸送安全規則
  • ・道路交通法施行規則

トラック運送(緑ナンバー)などの一般貨物自動車運送業を営む企業では「貨物自動車運送事業輸送安全規則」により、また一般企業(白ナンバー)では、車両を5台以上保有する事業所、定員11人以上の車両を1台以上保有している事業所は「道路交通法施行規則(第9条の10第8項)」により、運転日報の記録と保管が義務付けられています。

緑ナンバーと白ナンバーの違いについて、詳しくは下記の関連記事で解説しています。
関連記事:『白ナンバーと緑ナンバーの違い|条件やメリット・デメリットを解説

運転日報の管理は安全運転管理者の必須業務

道路交通法施行規則では、車両を5台以上保有する事業所、定員11人以上の車両を1台以上保有している事業所は安全運転管理者の選任が必須です。

安全運転管理者の主な業務の1つとして、運転者の氏名、運転の開始および終了の日時、運転した距離、その他自動車の運転の状況を把握するため必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させることを義務付けています。

参考:道路交通法施行規則|e-Gov法令検索「安全運転管理者の業務 第9条の10

安全運転管理者の業務内容について、詳しくは下記の関連記事で解説しています。
関連記事:『安全運転管理者とは?選任義務から罰則、業務内容まで詳しく解説

運転日報の保管方法

運転日報の日々の記録だけでなく、その保存と管理も重要です。貨物自動車運送事業輸送安全規則や道路交通法施行規則では、運転日報は最低1年間保存することが義務付けられています。

一方、労働基準法(第109条・記録の保存)によれば「労働関係に関する重要書類は5年間保存しなければならない(2020年の労働基準法改正の経過措置として当分の間は3年)」と定められているため、運転日報は「最低3年間、可能であれば5年間の保存」が望ましいです。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索『記録の保存 第109条

2.運転日報の記録と保管が法律で定められているケース

運転日報は前述のとおり「貨物自動車運送事業輸送安全規則」と「道路交通法施行規則」ともに1年間とされています。

本章では、社用車で営業などを行っているケースと運送業のケースでそれぞれ詳細を解説します。

社用車で営業などを行っているケース

社用車を保有する企業は「道路交通法施行規則第9条の8」によると、

  • ・貨物自動車運送事業を営む企業以外
  • ・乗車定員が11人以上の自動車なら1台、その他の自動車なら5台以上を使用している

いずれもあてはまる場合、「安全運転管理者」を選任し運転日報の記録と保存が義務付けられています。運転日報に記載する項目は、後ほど詳しく解説します。

運送業を行っているケース

貨物自動車運送事業者に該当する企業は「貨物自動車運送事業輸送安全規則 第8条」によって、運転日報の記録と保存が義務付けられています。営業所ごとに車両台数に応じて定められた人数以上の「運行管理者」を選任し、ドライバーの運転状況を管理しなければなりません。運転日報に記載する項目は、後ほど詳しく解説します。

3.運転日報の運用フローチャート

運転日報の運用のフローは、以下の4ステップです。

  1. ①ドライバーが運転する前後に記載
  2. ②安全運転管理者(または運行管理者)に提出
  3. ③安全運転管理者(または運行管理者)が確認
  4. ④運転日報の保管

ステップごとに解説します。

①ドライバーが運転する前後に記載

運転日報の記載はドライバーの仕事です。運転業務の前後に必要項目を記入します。マニュアルなどを準備し、記入例の共有なども必要です。

②安全運転管理者(または運行管理者)に提出

運転日報はドライバーが安全運転管理者、または運行管理者に提出し、安全運転管理者または運行管理者がチェックを行うのが基本です。

③安全運転管理者(または運行管理者)が確認

安全運転管理者、または運行管理者が内容の確認を行い、不備があれば差し戻しをします。記入漏れ、読み取れない文字、記載間違いなどを確認し、必要に応じて修正依頼をします。

④運転日報の保管

運転日報は、事業者が1年間の保存義務があります。
一方、労働基準法によれば先述のとおり「労働関係に関する重要書類は5年間保存しなければならない(2020年の労働基準法改正の経過措置として当分の間は3年)」と定められているため、運転日報は「最低3年間、可能であれば5年間の保存」をしておくと良いでしょう。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索『記録の保存 第109条

 

上記のステップを踏んで、正しく運転日報を記録・保存をして運用していきましょう。次の章で、書き方と記入する項目を解説します。

4.運転日報の書き方と記録が必要な項目

運転日報を運用する上で記録が必要な項目がありますが、一般貨物自動車運送事業者(緑ナンバー)と、社用車で業務を行う事業者(白ナンバー)で変わりますので、それぞれ解説します。

一般貨物自動車運送事業者の場合(8つの記入項目)

一般貨物自動車運送事業者(緑ナンバー)の場合は以下が必要な項目です。

  • ①ドライバーの氏名
  • ②自動車登録番号
  • ③業務の開始地点と終了地点および業務に従事した距離
  • ④業務を交代した場合の地点と日時
  • ⑤休憩を取った場合の地点と日時
  • ⑥貨物の積載状況
  • ⑦事故や遅延の記録
  • ⑧運行指示の内容

参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則|e-Gov法令検索『業務の記録 第8条

社用車で業務を行う事業者の場合(4つの記入項目)

社用車で業務を行う事業者(白ナンバー)の場合は以下が必要な項目です。

  • ①ドライバーの氏名
  • ②業務の開始地点と終了地点および業務に従事した日時
  • ③業務で運用した距離
  • ④運転状況を把握するために必要な内容

その他にも点呼記録や行き先、給油量などの項目をくわえることで、業務効率の改善や生産性の向上に繋がります。

参考:道路交通法施行規則|e-Gov法令検索『安全運転管理者の業務 第9条の10第8項

5.【無料ダウンロード】運転日報のテンプレート

ここからは、運転日報のテンプレートを

  • ・運送業向け
  • ・社用車で業務を行う事業者向け

の2つに分けて紹介します。

運転日報の書式は、とくに決められたフォーマットはありません。記入すべき項目を記録・保存ができていれば問題ありませんので、必要に応じてカスタマイズのうえご使用ください。

運送業向け

運送業の運転日報では、先述したとおり貨物自動車運送事業輸送安全規則で定められた、以下の8項目について記載する必要があります。

  • ①運転者の氏名
  • ②運転前後の場所、主な途中経過地点、乗務した距離
  • ③運転した自動車の自動車登録番号、または自動車が識別可能な表示
  • ④運転を途中で交代した場合の場所と日時
  • ⑤休憩や睡眠を撮った場合の場所と日時
  • ⑥貨物の積載状況・集荷状況(車両総重量が8トン以上/最大積載量が5トン以上の事業用普通自動車の場合)
  • ⑦交通事故・著しい運行の遅延やその他の異常な状況が発生した時の概要と原因
  • ⑧経路などの運行指示があった場合の指示事項

参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則|e-Gov法令検索『業務の記録 第8条

運転日報テンプレート(記入例付)無料ダウンロード

下記よりテンプレートをダウンロードしてご使用ください。
file_download 運転日報テンプレート(緑ナンバー向け)[Excel形式|27KB]

社用車を活用している事業者向け

社用車(白ナンバー車)を保有する事業者の運転日報では、先述したとおり道路交通法施行規則第9条の8に定められた4項目について記載する必要があります。

  • ①運転者の氏名
  • ②運転開始と終了の日時
  • ③走行距離
  • ④その他自動車の運転状況を把握するための必要な事項

ただし、上記は最低限の項目です。
給油状況や点検記録などの項目を追加することで社用車の活用に繋げていきましょう。

運転日報テンプレート(記入例付)無料ダウンロード

下記よりテンプレートをダウンロードしてご使用ください。
運転者別と車両別でシートが分かれています。
file_download 運転日報テンプレート(白ナンバー向け)[Excel形式|44KB]

6.運転日報の記録を怠った場合の罰則について

運転日報の作成や保存を怠った場合の罰則について解説します。現時点では、貨物自動車運送事業輸送安全規則、および道路交通法施行規則において、運転日報の記録や保存を怠った場合の直接的な罰則は定められていません。

しかし、運転日報に関する業務は、緑ナンバーでは運行管理者、白ナンバーでは安全運転管理者に課された業務内容の1つになります。そのため、運転日報の記録・保存を怠ると、運行管理者や安全運転管理者の行為に対して罰則や行政処分が下されます

安全運転管理者においては、令和4年の道路交通法の改正により罰則が強化され、最大50万円の罰金が科されるようになりました。

安全運転管理者について詳しくは下記の関連記事で解説しています。参考にご覧ください。
関連記事:『安全運転管理者とは?選任義務から罰則、業務内容まで詳しく解説

7.まとめ

企業は業務で車両を利用した場合、「運転日報」の記録・保存が義務付けられていることがわかりました。
法令を遵守する大きな目的は、安全を確保することです。日々の状況を記録しておくことにより、従業員が就業している状況や、保有している車両の状態などを把握することができます。運転日報のデータを活用し、日々の安全運転に繋げましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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