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社用車の車検はいつ?必要書類や費用・手順や車検切れで走行した場合の罰則も解説

車検は車の安全性や環境保全を確認する検査であり、すべてのドライバーに法律で義務付けられています。

しかし、社用車の車検においては、「車検期間はいつ?」「必要書類や費用は?」「法定点検との違いは?」といった疑問を持つ管理者の方も少なくありません。

そこで本記事では、社用車における車検期間や手続きの流れ、車検費用、車検切れで走行した場合の罰則について詳しく解説します。

車検管理を効率化する方法も紹介しているので、業務負担軽減の参考にしてください。

1. 社用車の車検はいつ?期間と法定点検との違い

引用:国土交通省

社用車の車検は、車検や法定点検の実施時期が自家用車とは異なります。

車検の有効期限を把握していない場合、気づかぬうちに車検切れとなり、重大な法令違反に発展するおそれがあるため、車検のルールを正しく理解することが大切です。

2025年4月には車検に関する法律が改正され、車検期間が変更されています。

そこで本章では、改正内容や社用車の車検期間、法定点検との明確な違いについて解説します。

1-1 社用車の車検期間

一般的な自家用車の車検期間は、新規登録から3年後、以降は2年ごとに行うのが基本です。

これは社用車にも原則当てはまりますが、車両の種類によって車検期間が異なる点に注意が必要です。

例えば、3・5・7ナンバーの乗用車タイプの社用車は、自家用車と同様に初回が3年、以降は2年の車検期間で車検を実施します。

一方で、4・1ナンバーの貨物車タイプの社用車は、初回が2年、以降は1年ごとに車検の実施が必要です。

さらに、バスやタクシー、大型貨物車の場合は、初回から1年ごとに車検を受ける必要があります。

社用車の車検期間に関しては、下の表で車両の種類ごとにまとめているので参考にしてください。

【社用車の車検期間】
車両の種類初回2回目以降
小型乗用車・軽自動車(5・7ナンバー)3年2年
普通自動車(3ナンバー)
軽貨物自動車(4ナンバー)2年2年
大型特殊自動車(9・0ナンバー)
キャンピングカー(8ナンバー)
レンタカー(わナンバー)2年1年
大型貨物(1ナンバー)1年1年
小型貨物(4ナンバー)2年1年
中型貨物(1ナンバー)
バス・タクシー1年1年

車検は満了日前であれば、いつ受けても問題ありません。

ただし、毎年車検の実施が年度末に集中しているため、車検の予約が取りづらい傾向があります。

そのため国土交通省は、混雑の緩和や整備士の労働環境改善を目的に、道路運送車両法施行規則を改正し、車検の実施期間を延長しています。

2025年4月の法改正以降、車検は満了日の2ヶ月前から受けることができ、業者によっては3か月以上前から予約可能な場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

特に社用車の保有台数が多い企業は、車検時期を把握し計画的に予約を入れることが重要です。

また、早めに予約することで、まとめ割引や早期割引などを適用できる可能性があります。

万が一、車検切れした場合、車両の安全性の確保だけでなく、企業の信用問題にも直結するため、確実なスケジュール管理を心がけましょう。

参考:来年4月より、車検を受けられる期間が延びます|国土交通省

1-2 法定点検と車検の違い

車検と法定点検は、どちらも車の安全性を確保するために欠かせない制度ですが、それぞれ目的や法的な位置付けが異なります。

車検は、国の定める保安基準に適合しているかを確認する検査で、すべての車 両 に義務付けられています。

これに対して法定点検は、車両の不具合や故障を未然に防ぐための点検整備で、「道路運送車両法」に基づき定期的に実施しなければなりません。

法定点検の頻度は、用途(自家用車か事業用車か)・点検内容・車種によって異なります。

【法定点検の実施期間(一例)】
車種点検時期
自家用車(乗用車・軽自動車)
二輪自動車
12ヶ月ごと
24ヶ月ごと
自家用車(小型・中型トラック)
レンタカー(乗用車)
6ヶ月ごと
12ヶ月ごと
自家用車(大型トラック)
事業用車(バス・トラック・タクシー)
レンタカー(乗用車以外)
被牽引自動車・トレーラー
3ヶ月ごと
12ヶ月ごと

車検と法定点検は別々の制度ですが、乗用車の場合、24ヶ月ごとの法定点検と車検の時期が重なることが多く、同時に実施されることが一般的です。

なお、自家用車における法定点検の未実施に罰則はありませんが、事業用車では罰則が科されることがあり、徹底した車両管理が必要です。

以下の関連記事では、法定点検にかかる費用や実施場所、未実施の罰則などについて詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

関連記事:『車の定期点検(法定点検)をしないとどうなる?車検との違いや点検時期・費用を解説

2. 社用車の車検にかかる費用|「法定費用」と「整備費用」

社用車の車検には大きく分けて「法定費用」と「整備費用」の2種類の費用がかかります。

法定費用は、重量税や自賠責保険料など、国や保険会社に支払う費用で、どこで車検を受けても金額は変わりません。

一方、整備費用は点検や部品交換などの内容によって金額が異なり、車の状態や業者ごとに差が出る部分です。

本章では、社用車の車検費用の内訳とその目安についてわかりやすく解説します。

2-1 車検にかかる「法定費用」

法定費用は、国が定めた法令に基づき、必ず支払わなければならない費用です。

車検の法定費用には、「自動車重量税」「自賠責保険料」「印紙代」の3項目があります。

それぞれの費用の内訳や目安を理解しておくことで、車検費用の全体像がつかみやすくなり、社内での予算管理にも役立つので、紹介する内容を参考にしてください。

2-1-1 自動車重量税

自動車重量税は、車両の重さや車種、年式などに応じて課される税金で、車検時に国へ納付します。

年式が新しいほど税額が低く、年数が経過した車両や排ガス規制に適合していない車両は増額されます。

自動車重量税は毎年課される税金ですが、新規登録時と車検時に1〜3年分をまとめて払うのが一般的です。

事業用車の場合、自家用車より税額が安く設定されており、さらにEV車両だと、エコカー減税の対象となり、税金の免除または減税が適用されます。

自動車重量税は、車種や重量、年式やエコカー減税の対象かどうかで税額が大きく異なるため、国土交通省の照会サービスで確認するのがおすすめです。

車体番号と車検予定日を入力すると、次回車検時の重量税額が確認できます。

参考:次回自動車重量税額照会サービス|国土交通省

2-1-2 自賠責保険料

自賠責保険(強制保険)は、交通事故の被害者救済を目的とした国の制度で、すべての車に加入が義務付けられています。

保険料は車種や契約期間に応じて異なり、事故件数や保険金の支払額に応じて毎年改定されます。

2025年度の保険料は、前年度から据え置きとなりました。

【自賠責保険料(2025年時点)】
車種用途・区分12ヶ月の保険料24ヶ月の保険料
自家用乗用自動車11,500円17,650円
事業用乗用自動車(タクシー) A(※1) 78,100円不可
D(※2)32,960円
乗合自動車(路線バス、乗合タクシーなど) 事業用 31,920円
自家用11,530円
小型貨物自動車事業用15,830円26,240円
自家用12,850円20,340円
普通貨物自動車事業用(2t以上)24,100円42,610円
自家用(2t以上)18,230円30,980円

※1 東京都の特別区、大阪市、名古屋市、京都市、横浜市、神戸市及び川崎市で使用するタクシー、または札幌市、北九州市、福岡市で使用する営業用乗用自動車(個人タクシーを除く)
※2 個人タクシー

契約期間は次回車検時に一緒に更新できるよう、12ヶ月契約や24ヶ月契約で更新するのが一般的です。

未加入での走行は重大な法令違反となり、違反点数や罰金、免許停止の対象になるため、車検時には必ず保険の有効期間を確認しましょう。

参考:自動車損害賠償責任保険基準料率(PDF)|損害保険料率算出機構

2-1-3 印紙代

印紙代とは、車検証などを交付する際に国へ支払う検査手数料の一部です。

料金は車両区分や依頼先(指定工場か認証工場か)によって異なりますが、1,000〜2,000円が目安です。

金額自体は大きくありませんが、必ず発生する法定費用なので、コスト計算の際には忘れずに含めておきましょう。

2-2 車検にかかる「整備費用」

車検時に発生する費用のうち、法定費用以外にかかるのが「整備費用」です。

これは、車の状態や依頼先の工場・ディーラーによって金額が変動する部分で、「基本料金」「点検・整備代」「部品交換代」の3項目があります。

社用車の場合、使用頻度が高く、車両が劣化しやすいため、整備内容によってコストに差が出やすいのが特徴です。

本章では、それぞれの費用の概要と注意点について解説します。

2-2-1 基本料金

基本料金とは、車検に必要な一連の作業(受付・検査・書類作成・引き取り及び納車など)にかかる工賃で、整備工場やディーラーによって金額に差があります。

一般的には乗用車で2〜7万円程度、貨物車(小型〜大型)で10〜20万円程度が相場ですが、工場の設備やサービス内容によって異なる場合もあります。

基本料金には点検料が含まれるケースもあるため、事前に見積もりで内訳を確認しておきましょう。

2-2-2 点検・整備代

点検・整備代は、車検時に行う法定点検や、調整・清掃・注油などの作業にかかる費用です。

ブレーキやランプ、エンジン周りのチェックが主な内容で、整備箇所が多くなるほど費用も高くなります。

点検・整備代は、基本料金に含まれることが一般的ですが、車両の状態次第で、コストを大幅に軽減できる可能性があるため、注目したい費用項目のひとつです。

社用車は走行距離が多く、不具合の発生リスクも高いため、点検・整備代を少しでも抑えたい場合は、ドライバーや管理者による日常点検を徹底しましょう。

2-2-3 部品交換代

部品交換代は、消耗した部品の交換にかかる費用で、整備費用の中でも特に変動が大きい項目です。

たとえば、ワイパーゴムやエアコンフィルター、ブレーキパッドやタイヤなどの交換が必要になる場合、部品代と交換工賃の両方が発生します。

エアコンフィルターは数千円で済む一方、ブレーキパッドは1〜2万円、タイヤは5〜10万円と、車検時の部品交換費用は部品によって大きく異なります。

貨物車の場合、ブレーキオイルや冷却水は2年に1回の交換が推奨されているため、乗用車よりもさらにコストがかかるでしょう。

基本的に社用車は稼働率が高く、定期的な部品交換が必要になるケースが多いため、予算にゆとりを持たせておくことが重要です。

3. 社用車の車検に必要な書類

社用車の車検では、複数の書類の準備が必要です。

基本的に必要な書類は、以下のとおりです。

【社用車の車検に必要な書類】

  • 継続検査申請書
  • 自動車検査票
  • 点検整備記録簿
  • 自動車税納税証明書
  • 自動車損害賠償責任保険書
  • 自動車重量税納付書

自動車検査票や点検整備記録簿は車内で保管しているケースが多いですが、税金関連の書類は紛失しやすいため、大切に保管しましょう。

書類は自家用車と共通ですが、社用車の場合、印鑑の種類が異なります。

個人の場合は実印が必要なのに対し、法人名義の車両では認印でも手続き可能です。

4. 社用車を車検に出す手順

社用車の車検は、いつも依頼している整備工場やディーラーがある場合、その業者から車検時期に合わせて連絡がくることが一般的です。

一方で、依頼先が決まっていない場合や毎回異なる場合は、管理者が自ら整備工場やディーラーに連絡して手配する必要があります。

初めて車検を担当する場合は、過去の車検履歴や依頼先を前任者や同僚に確認しておくとスムーズです。

車検の際には、入庫日や代車の要否を事前に調整し、必要書類を準備しておきましょう。

2025年4月の法改正以降、車検は満了日の2ヶ月前から受けることができるため、3ヶ月前から日程調整をすすめるのがおすすめです。

車検当日は、業者が車両を引き取り、車検終了後に納車にきてくれますが、自ら持ち込むと割引が適用されるケースもあります。

返却時のタイミングなども含めて、事前確認を行い、トラブルを防ぎましょう。

5. 車検切れの社用車で走行した場合の罰則

車検切れの社用車を運転した場合、以下の罰則が科されます。

【車検切れの罰則内容】
処分の種類罰則内容
刑事処分6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
行政処分違反点数6点、免許停止30日間

上記に加え、自賠責保険切れの場合も以下の罰則が科されます。

【自賠責保険切れの罰則】
処分の種類罰則内容
刑事処分1年以下の懲役または50万円以下の罰金
行政処分違反点数6点、免許停止30日間

行政処分の内容は、前歴の有無により変わります。

車検切れと自賠責保険切れの両方が発覚した場合、前歴次第では、90日間の免許停止の可能性もあるため、車検漏れがないようにスケジュール管理を徹底しましょう。

万が一事故を起こした場合は、より重い責任を負うことになります。

車検切れの場合、任意保険(自動車保険)は無効となり、自賠責保険も切れている場合、相手への補償は保険会社から一切支払われません。

企業の社会的信用を損なうだけでなく、被害者への補償を企業が全額負担する必要があり、経営上のリスクにもつながります。

管理者だけでなく、ドライバーも日頃から車検時期をチェックしたり、違反の重大性を理解することが大切です。

6. 社用車の車検管理を効率化する方法

複数の社用車を保有する企業にとって、車検の手続きや管理業務には手間がかかりやすく、書類が紛失したり、車検のスケジュールが遅れたりするなど、運行に支障をきたす可能性があります。

こうしたリスクを軽減するために重要なのが、車検管理の効率化です。

主に、システムの導入や業務の仕組み作りが有効とされており、企業によってやり方はさまざまです。

そこで本章では、社用車の車検管理を効率化する方法を3つ紹介します。

車検の管理業務を効率化できるポイントがないかどうか参考にしてみてください。

6-1 車検の時期を統一する

企業によっては、社用車の車種や導入時期が異なるケースがあるため、車検時期が分散するケースがしばしば見られます。

こうした場面におすすめなのが、複数台の社用車の車検時期を前倒しして統一する方法です。

たとえば、7月に車検が満了する車両を5月に前倒しすることで、複数台の社用車の満了日を5月に統一できます。

費用は通常の車検と変わらないため、その分車検期間は短くなります。

一見、デメリットのように感じるかもしれませんが、管理効率が大きく向上するため、社用車の運用全体を考えると有効な手段と言えるでしょう。

6-2 車両管理システムを活用する

Excelや紙ベースでの車両管理は、情報の抜けや更新漏れが発生しやすくなります。

そこで有効なのが、クラウド型の車両管理システムの導入です。

車検や点検の時期、保険の更新日などを一元管理でき、通知機能で車検切れや法定点検の実施漏れを防げます。

システムによっては、複数拠点の一元管理にも対応しているため、総務部などで車両管理や税務管理を一括で行い、車検時期が来たら事業所に通知することで、事業所の負担を軽減できます。

ドライバーが多い企業の場合、免許証の更新時期も通知機能でカバーできるため、法令遵守の徹底に取り組みたい企業は、車両管理システムの導入を検討してみると良いでしょう。

以下の関連記事では、車両管理システムの概要や選び方、車両管理業務について詳しく紹介していますので、参考にしてください。

関連記事:『車両管理とは?業務内容や企業にもたらすメリット・車両管理システムについて解説

6-3 リース契約にする

社用車をリース契約にすることで、車検や点検、税金などの管理がパッケージ化され、管理の手間を大幅に削減できます。

リース会社がスケジュール管理や整備手配を代行してくれるため、社内の負担を減らしつつ、徹底した法令遵守が可能です。

また、社用車の所有権はリース会社にあるため、企業は月々のリース料を経費として計上するだけで済み、経費処理の負担も減らせます。

保有台数の多い企業にとって、一台ずつ手続きを行う手間が省けるのは大きなメリットと言えるでしょう。

関連記事:『法人向けカーリースのメリット・デメリットは?購入との比較や選び方のポイントを解説

7. まとめ|社用車の車検は計画的に実施しよう

本記事では、社用車の車検期間や費用、手続きの流れ、車検切れで走行した場合の罰則、車検管理を効率化する方法について解説しました。

社用車の車検は自家用車と同様に法律で義務付けられており、車両の種類によって車検期間が異なるため、車検切れに注意しましょう。

また、車検に出すタイミングや必要書類を計画的に実施・準備し、事故などのトラブルを未然に防ぐことが大切です。

複数の社用車を管理している場合、手続きや書類準備に手間がかかるため、車検時期を統一したり、車両管理システムを導入することで、管理者の負担を軽減できます。

自社に適した方法で、安心・安全な社用車の運用に取り組みましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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