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クラウド型アルコールチェッカーとは?仕組みや従来型との違い・選定ポイントを紹介

クラウド型アルコールチェッカーは、クラウド(インターネット)上で検知結果を一元管理できる新しいアルコールチェックの仕組みです。

従来の紙や手入力による記録とは異なり、リアルタイムでデータを確認・共有できるため、業務効率の向上や不正防止にも役立ちます。

本記事では、クラウド型アルコールチェッカーの仕組みや導入時に必要なもの、選び方のポイントや無料で使えるクラウド型アルコールチェックシステムの特徴について詳しく解説します。

アルコールチェック体制を整えたい企業の方や、業務負担を軽減したい担当者の方はぜひ参考にしてください。

1. クラウド型アルコールチェッカーとは?従来型との違い

アルコールチェックの義務化に伴い、多くの企業の間で活用されているのが「クラウド型アルコールチェッカー」です。

従来のチェック方法とは異なり、測定から記録・管理までがデジタル化され、業務効率の向上や法令遵守の徹底に役立ちます。

本章では、クラウド型アルコールチェッカーの仕組みを知るために、クラウド型の基本的な機能や、従来型(一般的なアルコールチェッカー)との違いについて分かりやすく解説します。

1-1 クラウド型アルコールチェッカーとは?

クラウド型アルコールチェッカーとは、アルコールチェックの検知結果をクラウド(インターネット)上に自動送信し、リアルタイムで記録・確認ができる仕組みを持ったアルコールチェッカーです。

ドライバーは、アルコールチェッカーと連携させたスマートフォンや専用アプリを通じて測定を行い、管理者は自動送信されたアルコールチェックの記録をリアルタイムで確認できます。

すべて自動で行われるため、報告ミスや記入漏れを防止でき、義務化の法令遵守を徹底できます。

2023年12月1日にアルコールチェッカーによる、運転前後の酒気帯び確認が義務化されたことを背景に、導入企業が増加しています。

1-2 クラウド型と従来型の違い

クラウド型アルコールチェッカーと従来型のアルコールチェッカーでは、運用方法や管理体制に大きな違いがあります。

以下の表に主な違いをまとめました。

【クラウド型と従来型の違い】
比較項目 クラウド型 従来型(簡易型)
記録方法 自動でクラウドに記録。 手書きやエクセル入力など、手動で記録。
データの確認 管理者がリアルタイムで確認可能。 確認できるのが業務終了後や月末のみ。
測定結果の改ざん防止 顔写真・測定時刻・位置情報が自動送信される。 手書きのため、不正リスクがある。
管理の手間 クラウド上で一元管理できるため、書類作成などの管理の手間が省ける。 拠点ごとの集計や報告書作成に手間がかかる。
コスト ・初期費用:無料〜数万円
・月額費用:無料〜数千円
・初期費用:数千円〜数万円
・月額費用:なし

クラウド型アルコールチェッカーは、測定結果が自動送信されるため、管理者の負担が大幅に軽減され、法令遵守の徹底にもつながります。

従来型は費用が安価な反面、手作業による管理が必要で、記録の手間や記入漏れなどに懸念点があります。

法令遵守や運用の手間を考慮すると、「拠点や車両の保有台数が多い企業」には、クラウド型アルコールチェッカーがおすすめで、「保有台数が少ない、義務化の対象ではないがアルコールチェックを導入したい企業」には、従来型のアルコールチェッカーが適していると言えるでしょう。

どちらにしても、導入することで発生するデメリットはないため、運用環境を考慮してアルコールチェッカーを選ぶことが大切です。

以下の関連記事では、アルコールチェッカーの種類や機能についてより詳しく解説しています。

紹介している各機能や費用の目安を参考に、自社に最適なアルコールチェッカーを選んでみてください。

関連記事:『アルコールチェッカーはクラウド型管理がおすすめ!種類の比較やメリット・デメリットを解説

2. 【5ステップで解説】クラウド型アルコールチェッカーの仕組み

クラウド型アルコールチェッカーは、単なる酒気帯びの測定機器ではなく、測定から記録・管理までを自動化できるスマートなアルコールチェックシステムです。

ドライバーがアルコール測定を行い、その結果がクラウドに送信・保存される一連の流れを通じて、管理者は遠隔からでもリアルタイムに状況を把握できます。

本章では、その基本的な仕組みを5つのステップに分けて解説します。

クラウド型アルコールチェッカー(システム)の仕組みを示した図

2-1 アルコールを測定する

クラウド型アルコールチェッカーの運用は、ドライバーがアルコールチェックを行うことから始まります。

事前に専用アプリをインストールしたスマートフォンとアルコールチェッカーをBluetoothで連携させておけば準備は完了です。

ドライバーは、アルコールチェッカーに息を吹きかけ、正しく測定を行います。

一般的なクラウド型アルコールチェッカーでは、測定中のドライバーの顔写真や、GPSによる位置情報の取得にも対応しており、なりすまし防止にも有効です。

以下の関連記事では、アルコールチェック時の注意点や、正しく測定するためのポイントについて解説していますので、あわせて参考にしてください。

関連記事:『アルコールチェッカーの使い方|正しく使用するためのポイントや注意点を紹介

2-2 測定結果が送信される

アルコールの測定が完了すると、測定結果はスマートフォンやタブレットを通じて、自動的にクラウドサーバーへ送信されます。

測定結果の内容には、ドライバーの顔写真(動画)、名前、アルコール数値、測定日時、位置情報、所属部署などが含まれるのが一般的です。

手動での記録や転送作業は不要で、ドライバー側の負担を最小限に抑えつつ、リアルタイムで測定結果を反映できます。

2-3 クラウド上で自動記録・保存される

送信された測定結果は、スマートフォンのモバイル通信を介してクラウド上に自動記録・保存されます。

日付・時間・ユーザー情報などが一元管理され、データは削除や改ざんの心配が少なく、過去の記録もすぐに検索・出力できるため、監査対応や報告にも活用できます。

2-4 管理者がブラウザで確認・管理する

管理者は、インターネット環境があればどこからでもブラウザ経由で、全ドライバーの測定状況を確認できます。

未実施者のリスト表示や、異常値の自動抽出など、業務をサポートする機能も充実しているため、リアルタイムでの対応が可能になり、管理体制の強化につながります。

2-5 アラート通知・レポート機能

クラウド型アルコールチェッカーの多くは、アルコール検出時や測定漏れがあった際に管理者へ通知が届くアラート機能があります。

また、日別・月別のレポートを自動作成する機能も搭載されており、報告書作成の手間を省くことも可能です。

クラウド型のアルコールチェッカーは、運用にかかる手間を削減するだけでなく、安全管理の徹底にも役立ちます。

3. クラウド型アルコールチェッカーの運用時に必要なもの

クラウド型アルコールチェッカーの運用時には、以下の準備が必要です。

【クラウド型アルコールチェッカーの運用時に必要なもの】

  • 専用のアルコールチェッカー
  • 通信機器(スマートフォン、パソコンなど)
  • クラウドサービス(専用システム、専用アプリ)
  • インターネット環境

運用にあたっては、測定結果を送信・閲覧できるインターネット環境を整備し、クラウドサービスを通信機器にインストールしておく必要があります。

運用ルールやマニュアルの整備もあわせて行うことで、現場での混乱を防ぎ、スムーズな運用が可能です。

また、クラウド型アルコールチェッカーの導入には初期費用がかかる場合が多いため、料金体系やランニングコストを事前に把握することが重要です。

以下の関連記事では、アルコールチェッカーの導入時に活用できる補助金や助成金について紹介しているので、あわせて参考にしてください。

関連記事:『アルコールチェッカー導入に活用できる補助金・助成金|申請方法や注意点を紹介

4. 無料で使えるクラウド型アルコールチェックシステムとは

クラウド型アルコールチェックの普及がすすむなか、初期費用を抑えられる「無料プラン対応」のサービスも登場しています。

特に導入ハードルの低さから、小規模事業者や試験導入を検討中の企業に人気です。

本章では、無料サービスの特徴や注意点、そしてどのような企業に適しているかを詳しく解説します。

4-1 無料で使えるサービスの特徴

無料で使えるクラウド型アルコールチェックシステムは、基本的な測定データの記録・管理機能のみであるケースがほとんどです。

スマートフォンとの連携や、クラウドへの自動送信には対応しているものの、簡易的な運用のみとなってしまいます。

企業単位での運用の場合、初めての導入や試験利用には適していますが、法令遵守や業務の生産性を考えると、多少コストが発生しても有料のサービスの方が結果的にベストな選択となることが多いでしょう。

無料サービスでも、個人の方が利用する場合は、安全意識が向上し事故のリスクの低減につながるため、十分に活用できます。

4-2 利用時の留意点

無料サービスには、ユーザー数や測定回数、保存期間などに制限がある場合が多く、規模が大きい企業では運用に支障をきたすことがあります。

また、サポート対応や一部機能(アラート通知や自動レポート生成など)が限定される場合もあります。

義務化の項目に対応できない場合、ドライバーだけでなく管理者や企業も罰則の対象になりますので、事前に機能範囲を確認し、業務に支障が出ないかを見極めましょう。

義務化に対応した適切な運用方法については、以下の関連記事で解説していますので、あわせて参考にしてください。

関連記事:『【2025年5月】「アルコールチェック義務化」の概要と運用方法|最新の導入状況や対象者・罰則も解説

4-3 導入がおすすめのケースとは?

無料プランは、一般利用の個人の方やアルコールチェックを試験的に導入したい企業に適しています。

一方で、複数拠点を持つ企業や法令対応を厳格に求められる貨物・旅客輸送事業者などでは、有料プランによる高機能な管理が必要です。

自社の規模や管理体制に合わせて、最適なプランを選びましょう。

5. クラウド型アルコールチェッカーの4つの選定ポイント

クラウド型アルコールチェッカーを選ぶ際は、機能性や運用コストだけでなく、自社の使用環境に適しているかを見極めることが重要です。

本章では、導入前にチェックすべき4つのポイントについて分かりやすく解説します。

5-1 自社に適した機種タイプを採用する

クラウド型アルコールチェッカーには、主にモバイル版(携帯型)と据え置き版の2タイプがあります。

モバイル版はスマートフォンと連携し、営業職やドライバーが外出先で測定・送信できるため、直行直帰や出張が多い業種に最適です。

一方、据え置き版はサイズや重量の問題で携帯には不向きですが、管理者の目が届く場所で使用されるため、不正防止や従業員の意識向上に役に立ちます。

据え置き型は、モバイル型より精度が高い機種も多く、運送業などでは事務所に1台設置する運用が一般的です。

ただし、保有台数が多く、出入り時間が重なる企業では、検査待ちが発生する可能性もあります。

その場合は、高精度なモバイル型数台と併用することで、効率とコストのバランスが取れます。

5-2 測定の上限回数を確認する

アルコールチェッカーには、測定回数や使用期間の上限が設定されています。

クラウド型アルコールチェッカーの場合、測定回数の目安が2,000〜10,000回、使用期間の目安が1年〜1年半程度が一般的です。

保有車両台数が多い企業や、安全運転管理者が1日に何度もアルコールチェックを行う企業では、上限を超える可能性も考えられます。

事前に必要な測定回数を把握し、自社に適したプランを選ぶようにしましょう。

5-3 オプションやサポート体制を確認する

アラート通知、位置情報の取得、自動レポート作成などのオプション機能や、導入後のサポート体制も選定時の重要な要素です。

導入後のトラブルに備え、電話やチャット対応の有無、メンテナンスサポートの有無も確認しておくと安心です。

近年は、物流業界向けに走行管理機能や車両管理機能を搭載したクラウド型アルコールチェックシステムも登場しています。

アルコールチェックシステムひとつで車両管理が行えるため、車両管理用のシステムを別で導入する手間やコストを削減できるのが大きな魅力です。

関連記事:『走行管理システムとは?主な機能や導入するメリット・デメリット・おすすめシステムを紹介

5-4 J-BAC認定機器であるか確認する

J-BAC認定機器とは、アルコール検知器協議会(J-BAC)が認定したアルコールチェッカーのことです。

J-BACは、アルコールチェッカーの技術や品質の向上、普及啓発に取り組む団体で、「アルコール検知器機器認定制度」を設けています。

認定を受けたアルコールチェッカーは、J-BACの厳しい審査を通過し、要件を満たした製品であり、認定後はJ-BACの「JBマーク」を製品に使用できます。

なお、2022年11月にJ-BACより「アルコール検知器協議会加盟企業及び認定製品を騙る製品の販売」について注意喚起が出されているため、アルコールチェッカーを選定する際は、J-BACの公式ウェブサイトにある「認定機器一覧」で確認しましょう。

参考:認定機器一覧|アルコール検知器協議会

6. 法令遵守のクラウド型アルコールチェックシステムは「アルキラーNEX」

「アルキラーNEX」は、アルコールチェック義務化の法令に対応したクラウド型アルコールチェックシステムです。

アルコールチェッカーは、J-BAC認定機器のため、信頼性と精度の面でも安心して利用できます。

以下のような特徴があり、多くの事業者様から支持をいただいています。

【アルキラーNEXの特徴】
特徴 内容
クラウド連携測定結果は自動でクラウドに送信され、リアルタイムで管理者が確認可能。
位置情報取得GPSにより、測定場所が把握可能。
走行管理システムも搭載されているため、運行ルートの確認や緊急時のルート変更を迅速に行える。
顔認証機能測定時に自動で顔写真を撮影し、なりすまし防止に対応。
法令遵守アルコールチェックの記録・保存義務に対応(義務化の項目である1年間の保存が可能)。
選べる接続方式モバイル版・据え置き版のどちらにも対応しており、運用形態に応じた導入が可能。

複数拠点の一括管理や帳票出力機能、走行管理システムなども搭載されており、中小企業から大手運送事業者まで幅広く導入されています。

アルキラーNEXの製品ページでは、仕組みや機能、企業様の導入事例について、より詳しく紹介していますので、以下のページよりご確認ください。

アルキラーNEX|クラウド型アルコールチェッカー【アプリで簡単操作】

7. まとめ|クラウド型アルコールチェックシステムで管理体制を整えよう

本記事では、クラウド型アルコールチェックシステムの仕組みや選び方のポイント、運用時に必要なものや無料のクラウド型アルコールチェックシステムの特徴について紹介しました。

クラウド型のアルコールチェックシステムは、検知結果をクラウド上で記録・保存できる、実用性の高い効率的な管理手法として広く活用されています。

アルコールチェックの記録や管理が効率化されるだけでなく、記入漏れや検知忘れなど、人的ミスも防止できるため、法令遵守を徹底できます。

また、複数の拠点を持つ企業や、車両の管理業務負担が大きい企業にとって、クラウドによる一元管理は業務負担を大幅に軽減できるのが大きなメリットです。

アルコールチェックの義務化対象外の事業者においては、無料サービスを上手に活用するのもおすすめです。

クラウド型の仕組みを活かして、より安心・確実なアルコールチェックの管理体制を整えましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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