走行管理システムとは？主な機能や導入するメリット・デメリット・おすすめのシステムを紹介
走行管理システムとは、GPSや通信機能を用いて社用車の走行データをリアルタイムで管理できるシステムです。
複数の社用車を保有する企業では、業務の効率化やドライバーの安全性を確保するために、運行状況の把握が欠かせません。
そこで近年、注目されているのが「走行管理システム（走行管理機能）」です。
走行管理システムでは、車両の走行履歴や走行距離、走行速度を把握できるほか、ドライバーの運転傾向も確認できるため、安全運転指導に役立ちます。
ほかにもさまざまな機能が備わっており、上手に活用することで、企業全体の品質向上につながります。
そこで本記事では、走行管理システムの主な機能や導入のメリット・デメリットを解説し、選び方のポイントやおすすめのシステムについてご紹介します。
また、走行管理システムと似たものとして「走行メーター管理システム」がありますが、明確な違いがありますので、あわせて解説します。
車両管理の効率化を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次 / このページでわかること
1. 走行管理システム（走行管理機能）とは？
走行管理システムとは、GPSを活用して社用車の位置情報や走行履歴、走行時間、走行距離、速度などをリアルタイムで把握・管理できるシステムです。
利用できる機能はメーカーによって異なり、燃料の使用量やCO2排出量の自動記録、急加速・急ブレーキといった運転挙動の自動記録が可能な走行管理システムもあります。
走行管理システムは単体で導入される場合もありますが、車両管理システムや動態管理システムの一機能として搭載されるケースが一般的です。
なお、近年はGPS技術の進展により、各システムの機能的な違いは少なくなっています。
2. 走行メーター管理システムとの違い
「走行管理システム」と「走行メーター管理システム」は、どちらも車両に関する情報を把握・管理するツールですが、目的や機能に明確な違いがあります。
【走行管理システムの目的と機能】
GPSや通信機能を活用して、車両の位置情報、走行履歴、走行距離、速度、運転挙動などをリアルタイムで管理するシステムです。車両の稼働状況を把握し、業務の効率化や安全運転の促進、燃料コストの削減などを目的としています。さらに、日報の自動作成やドライバーへの運転指導にも活用されるなど、広範囲の運行管理に対応しています。
【走行メーター管理システム】
中古車業界の健全な発展と消費者保護を目的に、日本オートオークション協議会が開発したシステムです。中古車オークションに出品された中古車の走行距離データを蓄積し、該当するデータがないか照合できます。走行メーターの改ざんが疑われる車両を排除し、不正行為の未然防止につなげています。
つまり、「走行管理システム」が、企業の業務効率化を支援するツールであるのに対し、「走行メーター管理システム」は、車両の走行距離の数値を管理するシステムと言えます。
3. 走行管理システム（走行管理機能）の主な機能
走行管理システムには、社用車の運用を効率化し、ドライバーや管理者の負担を軽減する機能が搭載されています。
特に「走行時間」「走行距離」「給油量」「走行履歴・訪問先」「運転日報」の自動記録は、走行管理システムの代表的な機能であり、業務の効率化や安全性の向上に大きく関係します。
そこで本章では、走行管理システムに備わっている5つの主な機能について、詳しく解説します。
走行時間の自動記録
走行管理システムには、運転開始と運転終了のタイミングをアプリで手入力して走行時間を計算するシンプルな機能のものもあれば、エンジンの始動と停止のタイミングを検知し、走行時間を自動で記録できるものもあります。
これにより、ドライバーの労働時間や休憩時間を把握でき、法令を遵守した労務管理が可能です。
過労運転による事故は、ドライバーだけでなく、管理者や企業にも罰則が科されます。
事故を起こしていない場合でも、厚生労働省が定めた労働時間を超過した場合、企業や管理者に責任が追及され、一定期間の車両停止や業務停止の処分が科されます。
以下の関連記事では、過労運転による会社の責任やリスク、過労運転の防止対策を詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
走行距離の自動記録
走行距離の記録はオドメーター値を手入力するものやOCRで読み取りができるものもありますが、走行開始から終了までの移動距離を自動記録できるものもあります。
クラウド型の走行管理システムの場合、収集した走行距離データは、リアルタイムでクラウド上に保存されます。
車両の稼働状況や利用状況を正確に把握できるため、メンテナンス時期を予測しやすく、保有台数の最適化や、車両1台ごとの稼働率アップにつながります。
さらに、記録された走行距離データは、燃料費やリース費用などのコスト管理にも役立つため、企業全体の車両管理業務とコスト削減が可能です。
給油量の自動記録
一部の走行管理システムでは、燃料センサーや給油カードと連携し、給油量が自動記録されます。
車両ごとの燃料消費量を正確に把握でき、エコドライブの意識向上や、最適なメンテナンス時期の予測にも役立ちます。
また、ガソリン代の支出管理や特定のガソリンスタンドの価格比較にも利用できます。
走行履歴・訪問先の自動記録
GPS機能を活用し、車両の走行履歴や訪問先を自動的に記録できます。
「どのルートをいつ走行したのか」「どこでどれだけ滞在したのか」が明確になり、走行ルート改善や訪問先管理に大きな効果を発揮します。
また、リアルタイムで車両の位置情報を把握できるため、災害時や渋滞時には、営業所からドライバーに対して最適な走行ルートを指示できます。
運転日報の自動作成と保存
従来、ドライバーが手書きで作成していた運転日報は、走行管理システムの導入により自動作成が可能です。
走行時間や走行距離、給油量、訪問先などの情報がシステム上で自動的に記録されるため、記入ミスや漏れを防げます。
また、管理者は必要なデータを簡単に検索・確認できるため、業務効率が向上し、監査時もスムーズに対応できます。
正確な情報が記録されることで、ドライバーと管理者双方の業務負担軽減にもつながります。
4. 走行管理システム（走行管理機能）｜4つのメリット
走行管理システム（走行管理機能）の活用は、ドライバーや管理者だけでなく、企業全体に多くのメリットをもたらします。
そこで本章では、走行管理システム（走行管理機能）がもたらす4つのメリットについて、詳しく解説します。
走行管理システム（走行管理機能）の導入を検討している方は、導入の判断材料として参考にしてください。
① 燃料コストの削減
走行管理システムの導入で、ムダなアイドリングや遠回りのルートを把握・改善でき、燃料のムダ遣いを防止できます。
また、ルート提案機能を活用すれば、効率的な移動が可能になり、走行距離を削減できます。
これにより、ガソリン代などの燃料コストを大幅に抑えられ、経費削減につながります。
② 業務効率の向上
リアルタイムで車両の位置を把握できるため、管理者は、渋滞や遅延などのトラブル時に最適な走行ルートを指示でき、ドライバーのムダな移動や待機を減らせます。
また、運転日報などの書類作成も自動化でき、事務作業の手間を大幅に削減できます。
結果として、業務全体のスピードと正確性が向上し、効率的な車両運用が実現します。
③ 安全運転の徹底・事故の防止
急ブレーキやスピード超過などの危険運転を把握できるため、ドライバーごとの運転傾向に応じた安全運転指導が可能になります。
また、走行距離データをもとにメンテナンス時期を予測できるため、車両の故障や不具合を未然に防止できます。
社用車の事故はドライバーの安全を脅かすだけでなく、企業の信用にも大きな影響を与えるため、走行管理システムを有効に活用し、リスクを抑えることが重要です。
④ ドライバーの負担軽減
運転日報の自動作成機能は、ドライバーの事務作業を軽減します。
さらに、最適ルートの提示や無理のない運行スケジュールの作成により、移動や業務の負担を抑えることが可能です。
これにより、ドライバーのストレスや疲労を軽減し、働きやすい環境づくりに取り組めます。
5. 走行管理システム（走行管理機能）｜3つのデメリット
走行管理システムには、導入前に確認すべきデメリットも存在します。
本章で紹介する走行管理システムの3つのデメリットを把握し、自社に適した運用方法を考えてみましょう。
① 導入コストがかかる
導入時は、GPS端末やドライブレコーダーなどのデバイス購入・レンタル費、配線工事やシステム設定費用、契約手続きにかかる費用などが発生します。
特にデジタルタコグラフ搭載型は、初期費用が5〜20万円程度かかります。
導入後も、1,000〜3,000円の月額利用料が発生します。
一方、アプリ型やシガーソケット型は初期費用が無料な場合があります。
サービス内容やオプションによっても費用は異なるため、自社の予算に合ったプランを選び、費用対効果を確認して導入を検討しましょう。
② ドライバーにストレスを与える可能性がある
走行管理システムは、ドライバーの運行状況をリアルタイムで把握できる反面、ドライバーは「常に監視されている」と感じ、心理的ストレスを抱く可能性があります。
導入時は、走行管理システムの導入目的やメリットを事前に丁寧に説明し、ドライバーの理解と納得を得た上で導入をすすめることが大切です。
③ システムの乗り換えが難しくなる
走行管理システムは、デバイス次第で、専用機器の設置やシステム設定が必要です。
1つの走行管理システムを利用し始めると、導入後にほかの走行管理システムへの乗り換えが、難しいのが現状です。
走行管理システムは、契約期間が2年前後と定められているケースも多く、途中解約には費用が発生する場合もあります。
さらに、車載器の表示や設置方法が異なると、ドライバーの混乱を招く可能性もあるため注意が必要です。
導入後にムダなコストや手間をかけないために、導入前に無料トライアルを活用し、自社に合った操作性や機能を十分に確認しましょう。
6. 走行管理システム（走行管理機能）選びの3つのポイント
走行管理システムを導入する際は、自社の運用に適したシステムを選ぶことが、導入効果を最大化するポイントとなります。
本章では「デバイスの種類」「自社に適した機能」「従業員が使いやすいか」という3つのポイントに注目し、選定時に重視すべきポイントを解説します。
① デバイスの種類
走行管理システムは、主に以下の6つのデバイスがあります。
| OBD-II型 | 車両のOBD-IIポートに直接接続して走行データを取得する |
|---|---|
| シガーソケット型 | シガーソケットに専用の車載器を差し込み走行データを取得する |
| デジタルタコグラフ型 | ダッシュボード内やダッシュボード上に専用の車載器を設置し走行データを取得する |
| ドライブレコーダー型 | GPS機能を搭載したドライブレコーダーと連携し走行データを取得する |
| アルコールチェック型 | GPS機能を搭載したアルコールチェッカーと連携し走行データを取得する |
| アプリ型 | スマートフォンに専用のアプリをインストールして、走行データを取得する |
専用機器が必要な場合、機器の購入費用や設置費用がかかるため、コストが高めですが、高精度なデータを取得できます。
スマホ型は導入しやすく低コストですが、精度や機能面で制限がある場合もあります。
自社の予算や目的に応じて選びましょう。
② 自社に適した機能
走行管理システムには、位置情報の追跡、運転挙動の記録、レポート自動作成など、さまざまな機能があります。
すべての機能を使いこなせるとは限らないため、自社の業務に本当に必要な機能が備わっているかを見極めることが重要です。
不要な機能が多いと、かえって運用が煩雑になる可能性もあります。
③ 従業員が使いやすいか
企業によっては、IT機器の操作に慣れていないドライバーが、導入時に困惑する場合もあります。
操作画面がわかりやすく、直感的に使えるかどうか、サポート体制が整っているかも確認するとより安心です。
また、業務終了後に営業所のパソコンに走行データを移す必要があるか、運転日報の出力操作がしやすいかどうかなども確認しましょう。
7. 業務のムダを削減！アルキラーNEXで走行管理を最適化！
※画像はイメージです。実際の商品とはデザイン・仕様が一部異なる場合があります。
社用車の稼働状況やドライバーの運転データを的確に把握できる「アルキラーNEX」は、アルコールチェック機能に加えて、走行管理機能（オプション）も搭載したアルコールチェックシステムです。
業務のムダや非効率を削減し、安全性と生産性の両立を実現します。
本章では、アルキラーNEXの基本情報と利用できる機能について詳しく解説します。
アルキラーNEXとは？
アルキラーNEXは、クラウド型のアルコールチェックシステムです。
アルコールチェッカーとスマートフォンをBluetoothで接続し、検知結果をクラウドに送信することで、「いつ・どこで・誰が」検知したかをリアルタイムで確認できます。
日本製のセンサーを使用しているため、測定精度が高く、なりすましや不正防止機能も備わっているため、企業の法令遵守に役立ちます。
サポート体制も手厚く、拠点やドライバーが多い企業に適しており、業界を問わず多くの大手企業で導入されています。
また、開発は100%自社で行っているため、利用者のニーズに応じた機能改善やアップデートが柔軟に行われるのも特徴です。
アルコールチェックに加え、走行管理機能などの、業務を支援するさまざまな機能を利用できます。
アルキラーNEXの走行管理機能
アルキラーNEXは、2025年1月に走行管理機能を大幅アップデートしました。
GPSを活用し、走行履歴や走行距離の自動計算と自動記録ができるため、ガソリン代や有料道路などの経費算出にも活用できます。
急ブレーキや速度超過などの運転傾向も可視化でき、安全運転指導にも役立ちます。
さらに、運転日報の自動作成も行うため、業務の効率化が可能です。
アルキラーNEXで使用できる機能一覧は、以下のリンクから確認できます。ぜひご覧ください。
8. まとめ｜走行管理システムで業務効率化を成功させよう
本記事では、走行管理システム（走行管理機能）の主な機能や、導入によるメリット・デメリット、選び方のポイントについて紹介しました。
走行管理システムは、車両の運行状況を可視化し、コスト削減や法令遵守の強化に大きく貢献します。
さらに自社に適した走行管理システムの導入で、管理者の業務負担を減らし、業務効率の向上にもつながります。
ぜひ本記事を参考に、走行管理システムの導入を前向きに検討してみてください。
