飲酒後に運転できるのは6時間後?8時間後?飲酒運転をしないために
日頃から車を運転する人にとって「飲酒後、運転できるのは何時間後?」と疑問を持つことは、安全運転を守るために重要です。アルコール分解のスピードは個人差があり、6〜8時間経ったから(一度睡眠をとったから)といって安全とは限りません。
具体的に計算する場合、「体重(kg)× 0.1 = 1時間に分解できる純アルコール量(g)」が基本的な目安とされています。
例えば、60kgの体重の方がアルコール度数5%のビールを500ml(ロング缶1本)飲んだ場合、純アルコール量は20g(1単位)であり、運転できるようになるまでは最低でも3時間半程度は必要となります。
【計算式】20(純アルコール量)÷(60(体重)×0.1)=3.33…
万が一、違反すれば免許停止や罰金だけでなく、刑事責任を問われる可能性もあります。ほんの一瞬の気のゆるみが、自分や他人の人生を大きく狂わせることにつながります。
本記事では、飲酒後に運転できる時間の目安や罰則内容、実際の逮捕事例などを紹介し、安全運転の重要性について解説します。飲酒の機会が多い方や車両をよく運転する方は、飲酒運転を防ぐ知識を確認してください。
目次 / この記事でわかること
1.アルコール摂取後から何時間で運転できる?

アルコールの分解スピードは個人差があり、飲酒量や種類、性別や体重などによって目安時間が変化します。
飲酒後に、自分の体が何時間でアルコール分解できるか知りたい方は、福岡県警の公式サイトでアルコールが消失するまでの目安を計算できます。目安となる数値を把握し、運転可否の判断に役立てましょう。
加えて、実際に株式会社パイ・アールではお酒を飲んだ後、時間を刻みながらアルコールチェッカーでアルコールが抜ける時間を測定する実験を行いました。
飲酒時の体感と実際の数値にギャップがあり、興味深い結果になりました。アルコールが抜ける時間について気になる方は、下記関連記事を確認してください。
関連記事:『【実験】飲酒後どのくらいの時間でアルコールが抜ける?アルコールチェッカーを用いて測定』
なお、アルコールの分解時間は、簡易計算で判定可能です。簡易計算を用いた場合、「1時間で分解可能な純アルコール量の目安」は、体重60kgの人で約5gです。
毎朝の通勤や、仕事で運転する方にとって、前夜に飲んだアルコールが抜けたかは心配になるポイントです。
では、飲酒後の経過時間を6時間、8時間と仮定した場合、運転可能なアルコールの摂取目安量はどれくらいでしょうか?次の章で詳しく解説します。
1-1 飲酒から6時間後に運転できる推定のアルコール量は?
体重60kgの人が、飲酒後6時間で運転する場合、摂取可能なアルコール量の推定目安は以下の通りです。
- 日本酒(1合180ml):1.5合
- 缶ビール(350ml):2本
- 缶チューハイ(350ml):2本
- 焼酎(1合180ml):1合
- ワイン(1杯120ml):3杯
- ウイスキー(シングル30ml):3杯
数値や飲酒量は、あくまでも推定目安です。アルコール分解能力は個人差があるため、運転前にアルコールチェッカーを用いて酒気帯び確認をするなど、十分注意してください。
1-2 飲酒から8時間後に運転できる推定のアルコール量は?
体重60kgの人が、飲酒後8時間で運転する場合、摂取可能なアルコール量の推定目安は以下の通りです。
- 日本酒(1合180ml):2合
- 缶ビール(350ml):3本
- 缶チューハイ(350ml):2本
- 焼酎(1合180ml):1合
- ワイン(1杯120ml):4杯
- ウイスキー(シングル30ml):5杯
数値や飲酒量は、あくまでも推定目安で個人差があります。体調によっては分解されていない可能性があるため、あきらかに体調に違和感がある場合は、車の運転を控えてください。
2.アルコールを少しでも早く抜く方法はある?

結論から言うと、アルコールを早く抜く方法はありません。
一般的に、「ビタミンを摂取すると良い」「水を飲むと良い」などと言われていますが、一時的な体調回復にとどまり、アルコールの分解速度には大きな影響を与えません。
アルコールを早く抜くことはできませんが、アルコール分解を遅らせない方法として、水分摂取がおすすめです。
アルコールの分解には水分が必要ですが、アルコールには脱水作用があるため、アルコールの分解が遅れる可能性があります。そのため、飲酒後は十分な水分をとり、安静に過ごしましょう。
一部では、サウナや入浴などで汗を流すと良いと言われますが、アルコール分解に必要な水分が足りず、脱水症状がひどくなる恐れがあります。
飲酒後はしっかり水分をとり、入浴はシャワーで済ませるなど、できるだけ体に負担をかけないように過ごしましょう。
関連記事:
『アルコールが抜ける(分解)時間と計算方法|飲酒後の運転は何時間後から大丈夫?』
『飲酒後の入浴・サウナ・運動でアルコールは抜けるのか?汗や尿を出せばいいわけじゃない』
3.飲酒運転をした場合の罰則

飲酒運転の罰則には、酔いの程度によって
- ・「酒気帯び運転」
- ・「酒酔い運転」
の2種類に分けられます。
本章では、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の罰則内容について解説します。
関連記事:『酒気帯び運転(飲酒運転)とは|基準や処分・罰則内容をわかりやすく解説』
3-1 酒気帯び運転の罰則
酒気帯び運転は、「呼気中のアルコール濃度が1リットルあたり0.15mg以上含まれる状態で運転すること」を指します。
酒気帯び運転の違反者には以下のような罰則と行政処分が科されます。
| 呼気中アルコール濃度 | 罰則 | 違反点数 | 行政処分 |
|---|---|---|---|
| 0.15mg/l以上 0.25mg/l未満 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 13点 | 免許停止(停止期間90日) |
| 0.25mg/l以上 | 25点 | 免許取消(欠格期間2年) |
酒気帯び運転は、検出されるアルコール濃度によって、行政処分の内容が異なります。
3-2 酒酔い運転の罰則
酒酔い運転は、「呼気中アルコール濃度に関係なく、アルコールの影響で正常な運転ができない恐れがある状態」を指します。
そのため、呼気中アルコール濃度が処分対象の値に満たない場合でも、状態によっては酒酔い運転に該当することもあります。
酒酔い運転の罰則と行政処分の内容は以下のとおりです。
| 呼気中アルコール濃度 | 罰則 | 違反点数 | 行政処分 |
|---|---|---|---|
| 数値基準なし(正常な運転ができないおそれがある状態) | 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 35点 | 免許取消(欠格期間3年) |
酒酔い運転は、酒気帯び運転よりも重い罰則および行政処分が科されます。
さらに、「酒酔い運転」も「酒気帯び運転」も、物損事故や人身事故を起こした場合は、賠償責任が発生します。一般的に保険会社の補償として保険金がおりますが、契約内容や事故当時の状況次第では、全額自己負担になる可能性もあります。
また、罰則は運転者だけでなく、同乗者にまでおよびます。
4.飲酒運転は同乗者にも罰則がある

飲酒運転は、同乗者にも罰則が下されます。
また、運転者が「酒酔い運転」か「酒気帯び運転」かにより、罰則内容が異なります。
同乗者への罰則、行政処分の内容は以下のとおりです。
| 呼気中アルコール濃度 | 罰則 | 違反点数 | 行政処分 | |
|---|---|---|---|---|
| (運転者が) 酒気帯び運転 | 0.15mg/l以上 0.25mg/l未満 | 2年以下の懲役または30万円以下の罰金 | 13点 | 免許停止(停止期間90日) |
| 0.25mg/l以上 | 25点 | 免許取消(欠格期間2年) | ||
| (運転者が) 酒酔い運転 | 数値基準なし | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 35点 | 免許取消(欠格期間3年) |
同乗者が罰則対象になる判断基準は「運転者の飲酒運転の事実を知っているかどうか」です。「運転免許を持っていないから、罰則の対象にならない」といった言い訳は通用しません。
また、飲酒運転による物損事故や人身事故を起こした場合、事故の状況次第で同乗者にも損害賠償責任が発生します。
運転者は加入する保険から補償されますが、同乗者においては、運転者もしくは同乗者本人が加入している保険によって賠償額が大きく異なります。補償がない場合は、全額自己負担の可能性があることを覚えておきましょう。
5.飲酒運転で逮捕された事例

飲酒運転による悲惨な事故は、いまだに後を絶ちません。飲酒後は気が大きくなりやすいため、運転者、同乗者、お酒の提供者全員が「飲酒運転をしない!させない!」という強い意志を持つことが重要です。
飲酒運転の危険性を再確認するため、本章では、実際に逮捕者が出た飲酒運転の事例を紹介します。
飲酒運転の事実を知りながら運転者に車両を提供した場合、車両提供罪で罰せられます。また、車だけでなく飲酒後の電動キックボードやモペット、自転車の運転も罰則対象です。
なお、モペットに関しては免許の取得が必須です。電動モビリティの交通ルールや罰則に関して、関連記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:
『モペット(フル電動自転車)が免許不要の対象ではない理由|特定小型原動機付自転車との違いを解説』
『飲酒した状態で電動キックボードに乗るのは交通違反|罰則や事故の事例を紹介』
6.【Q&A】飲酒後に運転ができるまでの時間に関する質問

飲酒後の運転や、罰則などについてよくある質問をまとめました。
本記事の補足の情報として、参考にしてください。
飲酒運転の「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の違いは?
「酒気帯び運転」は、呼気中のアルコール濃度が0.15mg/l以上の状態で運転する行為を指します。
数値的な基準が明確に定められており、呼気検査によって判断されます。
一方「酒酔い運転」は、数値に関係なくアルコールの影響で正常な運転ができない状態を指し、挙動や言動など総合的に判断します。
酒酔い運転のほうが悪質とされ、懲役や免許取消などの重い罰則が科されます。
どちらも重大な違反であり、事故を起こさなくても人生を大きく狂わせる行為です。
以下の関連記事では、罰則などの詳細を含めた内容を解説していますので、あわせて参考にしてください。
飲酒運転をしないために具体的にどのような対策が有効?
もっとも効果的なのは「飲んだら乗らない」を徹底することです。
飲み会などの予定がある場合は、あらかじめ代行サービスや公共交通機関、タクシーを利用する計画を立てましょう。
また、車で行かない選択を先に決めておくことが重要です。
近年はアルコールチェッカーの携帯も一般的になっており、数値で確認する習慣を持つことが再発防止に役立ちます。
自分自身の環境を整えることと、強い意思を持つことが重要です。
飲酒運転による事故を起こした場合に保険は適用される?
基本的に、飲酒運転による事故は多くの自動車保険で「免責対象(保障外)」とされます。
契約上は保険金が支払われる場合でも、後日保険会社から加害者に対して求償(支払額の返還)されるケースが少なくありません。
つまり、結果的に自己負担となる可能性が非常に高いということです。
また、人身事故を起こした場合は刑事責任・民事責任の双方を負い、被害者への賠償義務も発生します。
経済的にも社会的にも大きな代償を払うことになりますので、飲酒運転は絶対に避けるべきです。
飲酒運転の通報はどのように行えば良い?通報者の情報は守られる?
飲酒運転を目撃した場合は、ためらわずに「110番通報」を行うのがもっとも確実です。
通報時は、車種・ナンバー・走行方向・運転者の様子などをできる範囲で伝えると警察の対応が早くなります。
通報者の個人情報は原則として守られ、運転者に知られることはまずありません。
また、匿名での通報も可能です。
通報をためらう人も多いものの、放置すれば重大事故につながる恐れがありますので、自分や他人を守るための行動として、勇気を持って通報することが大切です。
アルコールが抜けていれば飲酒から数時間後でも運転して大丈夫ですか?
アルコールが完全に分解されていれば、理論上は運転可能ですが、「アルコールが抜けたかどうか」は体感では判断できません(体感で判断して運転してはいけません)。
睡眠や入浴を経ても、体内にアルコールが残っているケースは珍しくないため、安易に運転すると酒気帯び運転に該当する恐れがあります。
判断の目安として、お酒を飲んだ量にあわせて算出し、最低でも6〜8時間以上あけ、出発前にアルコールチェッカーで確認することが推奨されます。
体調や睡眠不足、疲労によっても代謝速度は変化するため、少しでも不安を感じたら運転は控えましょう。
7.まとめ|アルコールを摂取した場合の運転可能時間は人によって違う
本記事では、飲酒後6時間と8時間で運転できるアルコール量や、アルコールを早く抜く方法、飲酒運転の罰則内容、逮捕事例について解説しました。
運転を行う予定がある場合は、自身の体重と運転までの時間を考え、飲んでも大丈夫なアルコール量を逆算しましょう。
その上で、運転前には、アルコールチェッカーを用いてアルコールが体から抜けていることを確認して運転をしましょう。
飲酒運転は重大な犯罪であり、自分だけでなく他者の命も危険にさらします。アルコールの分解スピードには個人差があるため、少しでも不安がある場合は運転を控えてください。


