貸切バスの制度改正で何が変わる?デジタル点呼記録義務やアルコールチェック時の写真撮影について

貸切バスの安全性向上に向けた法改正が、令和6年4月1日から開始されました。
この改正は、令和4年に発生した貸切バスの事故を踏まえて、二度と悲惨な事故が発生しないよう施行されることとなりました。
これまでの制度や改正される内容について確認することで、普段利用している貸切バスの安全が今後どのように守られていくのか、本記事を通して見ていきましょう。
目次 / このページでわかること
1.そもそも旅客自動車運送事業運輸規則とは?
旅客自動車運送事業運輸規則とは、旅客自動車運送事業の適正な運営を確保することにより、輸送の安全および旅客の利便を図ることを目的として定められた規則です。
そして、旅客自動車運送事業とは「他人の需要に応じ、有償で自動車を使用して旅客を運送する事業」と道路交通法により定められている事業のことで、貸切バスもこの事業に該当します。
運賃に関する規定や、事故発生時の対応に関する内容、ドライバーが安全運転を行うために重要な過労防止に対する項目や乗務記録について規則として定めたものとなっています。
2.旅客自動車運送事業(貸切バス)制度改正の背景は?
令和4年10月に静岡県で貸切バスの横転事故(死傷者計29名)が発生したことを受け、同様の悲惨な事故を防ぐため、貸切バスの安全性向上に向けた新たな対策として改正が行われることとなりました。
この事故では、運転手の健康状態の管理不足や安全対策の不備が指摘され、国土交通省は貸切バス事業者への監査を強化しました。
運行管理体制や安全対策の実施状況について調査した結果、管理体制の見直しが必要であることが明らかとなりました。
そのため、今回の制度改正では、アルコールチェックの厳格化やデジタル点呼の導入、安全管理の強化など、運転手の健康管理を徹底し、安全な運行を確保するための対策が盛り込まれています。
この改正により、貸切バス事業者は、運行管理体制を再構築し、デジタル技術を活用した管理の強化が求められます。一方で、適切な対応を行うことで、安全性の向上と業務の効率化が両立できる可能性もあります。
参照:貸切バスの安全性向上に向けた対策のための制度改正を行いました(1.背景)|国土交通省
制度改正のスケジュールは?
旅客自動車運送事業(貸切バス)の制度改正スケジュールを紹介します。
【公布】令和5年10月10日
【施行】令和6年4月1日(令和6年3月31日以前に新規登録を受けた事業用自動車に係る運行記録計による記録については、令和7年3月31日までは、アナログ式運行記録計の使用が特例で認められます。)
3.制度改正で何が変わる?5つの改正概要を解説
制度改正のポイントを5つに分けてそれぞれの内容を確認していきましょう。
- ①輸送の安全面に関わる書面の保存期間延長と電磁的記録を義務化
- ②点呼記録の録画・録音を義務化
- ③アルコールチェック時の写真撮影を義務化
- ④デジタル式の運行記録の使用を義務化
- ⑤安全取組のため運転の実技指導を追加・公表内容の拡充
①輸送の安全面に関わる書面の保存期間延長と電磁的記録を義務化
これまで運送引受書や点呼記録等の書類の保存義務は1年とされていましたが、改正に伴い保存期間が3年に延長されるとともに当該記録は電磁的記録(デジタルデータ)での保存が義務付けられます。
②点呼記録の録画・録音を義務化
点呼を行った際の状況を録音および録画し(電話点呼については録音のみ)、その電磁的記録を90日間保存することが義務付けられます。
なお、映像からは点呼実施者と運転手のどちらもが判別できる画質・画角にする必要があります。遠隔地の運転手には、電話点呼(録音)での対応が可能です。
③アルコールチェック時の写真撮影を義務化
アルコール検知器を用いて運転者のアルコールチェックを行う際、②により点呼記録の録画をしている場合を除き、当該検査を行っている状況の写真撮影が義務付けられます。撮影した画像は、点呼実施日を1日目として90日間の保存が必要です。
④デジタル式の運行記録の使用を義務化
事業に使用する自動車の運行距離等を運行記録計により記録し、当該記録の保存が義務付けられていましたが、本記録をデジタル式運行記録計(デジタコ)により行い、電磁的記録で3年間保存することが義務付けられます。
⑤安全取組のため運転の実技指導を追加・公表内容の拡充
事業者に対しインターネット等で公表が義務付けられている安全取り組みの内容として、運転者に対して行う安全運転の実技指導が追加されます。
4.貸切バス事業の制度改正に対応したアルコールチェックと点呼にはアルキラーNEX
アルキラーNEXでは、ドライバーと管理者がアルキラーNEXのアプリを通じて直接ビデオ通話ができます。
そのためアルコールチェックの一連の流れとして簡単に法令遵守に対応したアルコールチェックを伴う点呼の電磁的記録を残すことができるとともに、遠隔であってもドライバーの健康状態を視覚的に確認できます。
また、点呼開始時に管理者への呼び出し音機能で管理者は常に待機の必要はなく、ワンボタンで録画・録音に対応しており、最大9名のドライバーと同時に点呼することが可能となります。
5.まとめ:貸切バス事業の制度改正に落ち着いて対応しよう
本記事では、貸切バスの制度改正について、その背景や改正内容、具体的な変更点を解説しました。
特に、アルコールチェック時の写真撮影の義務化やデジタル点呼記録の導入といった新たなルールが、事業者にとってどのような影響を与えるのかを詳しく見てきました。
書類管理のデジタル化や点呼記録の録画・録音義務により、事業者には新たな対応が求められますが、一方で、適切なシステムを導入することで業務の効率化や安全対策の強化が可能になります。
今回の制度改正は、貸切バスの安全性を高め、利用者がより安心して貸切バスで移動できる環境を整えるためのものです。今後も業界全体の安全性向上に向けた規制が続く可能性があるため、事業者は最新情報を常にチェックし、適切な対応を進めていくことが求められます。
貸切バスの制度改正を前向きに捉え、適切なツールを活用しながら、安全かつ効率的な運行管理を実現していきましょう。