calendar_month 2024-05-02

白タク(違法タクシー)とは?罰則と広がっている理由|解決策は?

近ごろ、白タクという言葉を耳にすることが増えてきました。

「そもそも白タクとは何なのか?」
「白タク行為をした場合どのような罰則があるのか?」

そもそも白タクと一概にいわれてもピンとこない方が多いことでしょう。

またタクシー業界では深刻な人手不足が進んでおり「ライドシェア」という仕組みが導入されました。

「ライドシェアと白タクの違いは?」
「今後ライドシェアがどのように広がっていくのか」

上記のように疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、白タクや現在注目されているライドシェアについての疑問を1つずつ解説します。

1.そもそも白タクとは?

白タクの「白」はナンバープレートの色のことで自家用車であること、「タク」はタクシーのことを示します。

つまり白タクとは国の許可を受けないで、自家用車やレンタカーに利用客を乗せ、有償で人や貨物を輸送する車両のことをいいます。

原則として日本では緑ナンバー以外の車両は、有償で人や貨物を輸送することができません。続いて、違いがわかりにくい緑ナンバーと白ナンバーについて解説します。

緑ナンバーと白ナンバーの違い

それぞれのナンバーは以下のように使い分けられています。

緑ナンバー 事業用自動車のことを指します。
人や貨物の輸送によって利益を得ることを目的とした車両です。
白ナンバー 自家用自動車のことを指します。
事業用自動車以外の一般的な車両のことで、こちらの車両で利益を得て人や貨物を輸送すると白タク行為となり違法となります。

さらに詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:『白ナンバーと緑ナンバーの違い|条件やメリット・デメリットを解説

2.白タクを取り締まる法律と罰則の内容は?

白タク行為をした際、どのような法律でどのような罰則が科されるのでしょうか?

法律と罰則について確認していきます。

白タクを取り締まる法律について

道路運送法に自動車道事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の免許を受けなければならないと定められています。よって国土交通大臣の免許がないにもかかわらず、人や貨物を有償で輸送した場合罰則の対象となりますので注意してください。

参考:道路運送法|e-Gov法令検索「第4章 自動車道及び自動車道事業|第47条

白タク行為をした際の罰則について

道路運送法に3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金と定められています。
よって白タク行為を行わないようにすると共に、見つけた際はすぐに警察へ通報しましょう。

参考:道路運送法|e-Gov法令検索「第7章 罰則|第96条

3.白タクの問題点、課題とは?

「白タク行為は違法であるにもかかわらず、なぜなかなか減らないのか?」
「白タクに乗った際に起こる問題とは一体何なのか?」

そんな問題点や課題について解説します。

白タクは取り締まる(検挙する)のが難しい

白タクの取り締まりが難しい理由として、近年ではアプリを利用して白タク行為を行っている場合が多いことがあげられます。すべてのやりとりがアプリ内で完結するため白タクと判断するのが難しいとされています。

また白タクと思われる現場を見つけたとしても乗せているのは「友達」や「親戚」などと答えられると、それ以上の介入ができないのが現状となっています。

事故が発生しても責任を負わない

タクシーの場合、運行に関する責任については全面的にタクシー事業者が負いますが、白タクの運行に関する責任については、事業者ではなくドライバーが負うとされています。
何か問題が起きた時にきちんと責任を取ってもらえるのかが課題となります。

アルコールチェックを含む安全への仕組みができていない

軽井沢で起きたスキーバスの事故以降、事業用車両の運転者には健康チェックの必要性が問われているため、二種免許の有無はもちろんアルコールチェックやドライブレコーダー画像による教育など、さらにドライバーへの安全と健康管理の徹底が要求されています。

しかし、白タクの安全管理については基本的にドライバー任せとなっています。
そのため車両の点検整備やアルコールチェックなどもドライバー任せとなるため、車両の整備不良や飲酒運転といった点で懸念があります。

参考:内閣府「軽井沢スキーバス事故を受けた対策について

4.白タクが広がっている背景は?

ここ数年でとくに白タクが広がってきています。違法な行為にもかかわらず、なぜここまで広がっているのでしょうか?

その背景について2つ紹介します。

タクシー事業の開業が難しい

白タクが広がっている1つ目の理由に「タクシー事業を開業するのが難しい」という理由があります。

国土交通省がタクシー事業を少しでも開業しやすいように、昨年「原則5台」とされていた必要な最低車両台数を、地域によっては4台以下でも開業できるよう改正する指針を出しています。

それでもタクシー事業を開業するハードルは高く、個人タクシー事業を開業するためには少なくとも10年以上のタクシー業界での経験が求められます。またコスト面でも設備資金、運転資金、自動車車庫に要する資金、保険料などさまざまなコストがかかります。

こういったことからも個人でタクシー事業を開業することは非常に大変であり、違法である白タクが増える一因になっていると考えられます。

参考記事:NHK「地方の移動手段確保へ 個人タクシー営業拡大などの指針 国交省

インバウンドの影響

インバウンドの増加にともない、白タク行為の増加も問題視されていますが、中でも中国人の白タク行為がニュースとなっています。その背景には中国語を話せるドライバーの需要の増加が理由の1つとしてあげられます。

中国本土(香港、マカオ、台湾を除く)はジュネーブ条約に加盟していないため、日本では国際運転免許証で運転することができないことから、必然的に移動手段からレンタカーが省かれてしまいます。そのため言語も通じて安価な白タクが、移動手段の選択肢として選ばれているという現状です。

参考記事:「東洋経済オンライン

5.白タクとライドシェアの違いは?

白タクやライドシェア、運転代行などさまざまな用語がありますが何がどう違うのか分かりにくいですよね。

白タクは違法行為になりますが他と何が違うのか詳しく説明していきます。

白タクとライドシェアの違いについて

ライドシェアとは一般ドライバーがプラットフォームを介して、利用客へ移動サービスを提供するというものです。白タクとライドシェアの違いについては下記表のとおりです。

懸念点 ライドシェア 白タク
料金トラブル ・ドライバーとの現金のやりとりはない
(プラットフォームを通じたキャッシュレス決済)
・通常現金でやりとりをする
ドライバーの身元 ・乗車前に運転手の氏名など基本情報を確認することができる
・問題のあるドライバーについて事前に排除する仕組みがある
・基本的には最後まで知ることはできない
・問題のあるドライバーを排除する仕組みがない
運転技術 ・重大な事故歴のあるドライバーや運転技術の低いドライバーが排除される仕組みがある
・事故やトラブルがあった際にドライバーの利用停止措置が可能
・運転技術を保証するような仕組みがない

白タクと運転代行との違いは?

運転代行とは、飲酒の際などに自分の車を運転することができなくなった利用客の代わりに、利用客の車を運転するといったサービス業のことです。こちらに関しても開業するためには公安委員会の認定が必要となります。また利用客の車を運転するドライバーは二種免許も必要です。

運転代行と白タクの大きな違いは下記のようになります。

  • ・利用客の車を代わりに運転し利用客を目的地まで運ぶ・・・「運転代行」
  • ・利用客以外の自家用車を用いて利用客を目的地まで運ぶ・・・「白タク」

仮に随伴用自動車(運転代行業者の車)に利用客を乗せて運んだ場合、白タク行為になりますので注意してください。

6.ライドシェア解禁によってどう変わる?

2024年4月より一部地域で条件付きにはなりますがライドシェアが解禁されました。
今回ライドシェアが解禁されたことによって今後のタクシー市場はどのように変わっていくのでしょうか?

実際に考えられるメリットとデメリットについて解説します。

メリット:タクシー不足が解消される

ライドシェアが解禁されたことにより、現在のタクシー業界の人手不足が解消されるといったメリットがあります。タクシーを探しても見つからないといったストレスから、少しは解放されることが考えられます。

メリット:自家用車を活用して仕事ができる

自家用車を運転するだけで収入を得ることができるため、簡単に始めやすくなります。そのため休日や夜の時間帯などの空き時間に副業としてライドシェアをすることも可能になります。

デメリット:詐欺や事件が増えるかもしれない

ライドシェアの普及と共に心配されるのが詐欺や事件の増加です。実際に海外ではライドシェアに関わる犯罪行為が起きています。たとえば性的暴行や盗難、殺人などの犯罪、不当な金銭要求・運転マナーが悪いといったトラブルなどです。

ライドシェアはプラットフォームを介してのサービス提供といえども、誰でもドライバーになることができるため、犯罪の可能性があることが課題です。
そのため、ライドシェアを普及させる上で法整備がとても重要となります。

関連記事:『ライドシェアリングの5つの問題点とは?日本における白タクとの違いや今後の課題

7.パイ・アールが考えるライドシェアの今後について

ライドシェアが今後日本国内で普及していくためには何が必要か、弊社が考えるライドシェアの今後について述べていきます。

安全への取り組み、仕組み化が重要

ライドシェアの課題として安全面が気になるという方が非常に多いです。解決するためには安全への取り組みや仕組み化が重要となっています。

そのためのアルコールチェックであったり、健康管理の確認をいかに徹底しておこなえるかが課題となっています。ライドシェアを広げていくためには、いかに安全面に配慮した取り組みをおこなえるかが今後の重要なポイントとなります。

ライドシェアを普及させるために必要なこと

日本でライドシェアを普及させるにはまだまだ「安全」や「安心」という点で課題は残っています。このような課題が残っている以上、ライドシェアの普及を推奨することに対して賛否両論の意見があるのは当然ですね。

ただこのような現在の課題を解決することで、今後ライドシェアは私たちの交通手段の選択肢を広げ、より快適に生活することに繋がるのではないかと考えています。ライドシェアを普及するためにはまず利用者が「安心」して活用できるような「安全」な取り組みがかかせないのではないでしょうか。

8.まとめ

白タク行為は違法なうえ、白タクに乗ることは安全面などで保証がないため危険のリスクが高くなっています。一方で、ライドシェアはプラットフォームを介して利用することができるため、多くの方が持たれている懸念点を解消した上で利用いただくことができます。

タクシー業界では人手不足のため、なかなかタクシーが見つからないなどの課題はありますが、ライドシェアの普及で少しずつ解消されていくことが予想されます。タクシーが必要な際は白タクを活用するのではなく緑ナンバーのタクシー、もしくは認可されているライドシェアを利用するようにしましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

PAGETOP