【事例】モペットの交通事故が急増|罰則や賠償リスク・対処法・正しい交通ルールを解説
近年、モペットによる交通事故が各地で相次ぎ、運転者だけでなく歩行者が巻き込まれるケースが増えています。
自転車感覚で乗れる手軽さがありますが、道路交通法上は原付に区分されるため、無免許運転やノーヘル走行は罰則の対象です。
そこで本記事では、モペットによる事故が急増している今、改めてモペットの車両区分や運転手に対する義務項目、事故の推移、万が一事故を起こした場合の対処法について解説します。
目次 / この記事でわかること
1. モペットと自転車の決定的な違いとは?

モペットと自転車の決定的な違いは、「自走できるかどうか」という点です。
また、「モペット」は法律用語ではなく、一般に「ペダル付き電動バイク」を指す呼称です。
車両の仕様によっては一般原付(または自動二輪)として扱われる可能性があり、免許・ヘルメット・ナンバー登録・自賠責加入などが必要な点も自転車と大きく違う点です。
基本的に、モペットはペダルを漕がなくても自走可能な作りで、自転車や電動アシスト自転車は、ペダルを漕がないと進みません。
モペットは、ペダルが付いている見た目から、自転車と勘違いされやすいですが、法律上は「原動機付自転車」に分類されます。
一方で、自転車は法律上「軽車両」に分類され、モペットとは交通ルールや義務項目が大きく異なります。
関連記事:『モペット(フル電動自転車)が免許不要の対象ではない理由|特定小型原動機付自転車との違いを解説』
参考:「電動アシスト自転車」と「ペダル付き電動バイク」の違いについて|警視庁
1-1 モペットと特定小型原動機付自転車の違い
モペットと特定小型原動機付自転車(一部のモペットや電動キックボード)は、どちらも小型の原動機付き車両ですが、法律上の車両区分が異なります。
車両区分は、車体の大きさや電動機の定格出力等によって決まります。
モペットの場合、原付一種として扱われるモデルが多く、運転免許やヘルメット着用が必須です。
一方、特定小型原動機付自転車に区分されるモペットは「電動機の定格出力が0.60kW以下、車体の長さが1.9m以下、幅0.6m以下で、かつ最高速度が20km/h以下」とされています。
※特定小型原付に該当するかは要件(出力・速度・寸法など)で個別に決まる
| モペット (一般原付区分) | 特定小型原動機付自転車 (電動キックボード等) |
|
|---|---|---|
| 運転免許 | 必須 | 不要(16歳以上) |
| ヘルメット | 義務(違反は点数加算) | 努力義務 |
| 通行場所 | 車道のみ(歩道不可) | 車道(特例時は歩道も可) |
見た目やサイズが近くても、守るべきルールや義務項目が異なるため、なんとなくで交通ルールを判断せず、それぞれの区分を正しく理解しましょう。
なお、電動キックボードはナンバープレートの取得が必要です。
以下の関連記事では、電動キックボードのナンバープレートの取得方法や、正しい交通ルールについて解説しているので、あわせて参考にしてください。
2. 「知らない」では済まされない!モペットの「6つの義務」

モペットはペダルが付いているため、自転車のように見えますが、法律上は原付として扱われます。
運転免許や保険加入、車両の整備など、一般的な原付と同じ義務が課されるため、違反や事故を起こした場合は、重い罰則や賠償のリスクも考えられます。
「知らなかった」では済まされないため、正しい知識を身につけ、安全運転を心がけることが大切です。
ここでは、モペットを運転するにあたり、運転者に求められる6つの義務項目について解説します。
2-1 モペットには運転免許が必要
モペットを運転するには、原動機付自転車免許または、普通自動車免許以上の取得が必須です。
無免許での走行は「無免許運転」に該当し、「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」という非常に重い刑事罰の対象となります。(※2025年6月1日以降、刑罰用語が「拘禁刑」に一本化されています。)
自転車感覚で未成年が無免許走行してしまうケースもありますが、無免許運転は重大な交通違反であることを認識しなければいけません。
貸し借りで友人に乗せる場合も同様で、車両の持ち主や保護者が責任を問われるおそれがある点にも注意が必要です。
2-2 自賠責保険への加入
公道を走行するすべてのモペットには、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)への加入が義務付けられています。
これは、交通事故の被害者を救済するための最低限の保険です。
未加入で走行した場合、「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」に加え、即座に免許停止(違反点数6点)の対象となります。
モペットの場合、自賠責保険に加入・納付後、ステッカーが配布されるので、ナンバープレートに貼り付けましょう。
運転する際は、自賠責保険を納付した際に渡される「自賠責保険証明書」を携行しましょう。
2-3 ナンバープレートの設置
モペットを公道で運転するためには、市区町村で登録手続きとナンバープレートの取得・取り付けが法律で義務付けられています。
ナンバープレートを未取得のまま走行した場合、無登録運行として道路運送車両法違反の取り締まりの対象となります。
また、ナンバープレートは、夜間に番号を視認できる「番号灯(ライセンスランプ)」の整備も必須です。
ナンバープレートを隠したり、判別困難な角度で取り付ける行為も禁止されています。
正しい位置でナンバープレートを固定し、汚れや破損があれば速やかに交換しましょう。
2-4 モペットの保安装置の整備
モペットにも、ミラー、ライト、ブレーキランプ、ウインカー、速度計など、原付として必要な保安装置の装備と整備が求められます。
装置が故障したまま走行した場合、視認性の低下や合図不十分による事故を招くだけでなく、整備不良として取り締まりの対象になります。
また、ブレーキの制動力も基準を満たしている必要があるため、日常点検と定期的なメンテナンスを心がけましょう。
2-5 ヘルメットの着用義務
モペットを運転する際は、道路交通法によりヘルメットの着用が義務付けられています。
自転車用のヘルメットは基準を満たさない場合が多く、必ず「PSCマーク」「SGマーク」が付いた乗車用ヘルメットを選びましょう。
最近では、自転車用ヘルメットが努力義務化されましたが、モペットは「着用しなければ交通違反」です。
万が一の転倒時に頭を保護し、命を守るためにも、正しく装着する習慣を身につけましょう。
2-6 通行区分の遵守
モペットの通行区分は、原則として「車道の左側端」です。
ペダルを漕いでいる状態であっても、歩道を走行することは一切認められていません。
歩道走行は「通行区分違反」として取り締まりの対象となり、歩行者との事故を起こした場合は、過失の程度に応じた責任を問われます。
また、一方通行の逆走禁止や二段階右折の遵守など、原付としての交通ルールを徹底しましょう。
エンジンを切って押して歩く場合は歩行者扱いとなります。
3. 【2026年最新】モペットによる事故件数の推移

モペットによる交通事故は増加傾向にあり、警察庁の資料や報道によると、人身事故は、令和4年(2022年)の27件から令和5年の57件、令和6年(2024年)には68件となり、この3年で約2.5倍に増加しています。
東京都内でも同様の傾向が見られ、警視庁管内のモペット関連人身事故は、2022年の8件から2023年には24件と、わずか1年で急増しました。
また、2024年11月1日から道路交通法が改正されたことをきっかけに、取り締まりが強化され、2024年11月から2025年9月までの東京都内のモペットの取り締まり件数は、計1,214件(暫定値)と増加しています。
さらに、飲酒運転による摘発事例も報告されており、重大事故のリスクが社会的に問題視されています。
モペットは「原付」である以上、事故の際の過失責任は重く、数千万円規模の賠償や刑事罰が科されるケースも少なくありません。
運転者には、正しい交通ルールの把握と、安全運転の遵守が求められています。
4. モペットによる事故の事例

近年、モペットの運転マナーや飲酒運転が問題視されており、たびたびモペットによる交通事故が報道されています。
ここでは、2024年から2026年にかけて報告された、社会的影響の大きい3つの事例を通して、モペットに乗る際に気をつけるべき点を解説します。
4-1 モペットで一方通行を逆走し自転車と衝突した事例
2024年10月、東京都世田谷区で22歳の大学生が、無免許のままモペットを2人乗りで運転し、一方通行の道路を逆走して自転車の男性と衝突しました。
男性は頭部に重い障害が残る大怪我を負い、運転者には無免許危険運転致傷罪などで懲役3年の実刑判決が言い渡されました。
事故当時、時速約33kmで走行し、スピード違反に加え、ナンバープレートの未取得や自賠責保険の加入もない状態だったとされ、複数の交通違反が重大事故と重い刑事罰に直結したと考えられます。
参考:一方通行を逆走して男性と衝突した“原付のペダル付モペット”。運転者が「無免許危険運転致傷罪」で懲役3年の実刑判決(東京地裁)|Motor-Fan[モーターファン]
4-2 信号無視で横断中の歩行者をはねた事例
2025年1月、東京都中央区日本橋の国道で、45歳の会社員がモペットを運転中に赤信号を無視して交差点へ進入し、横断歩道を渡っていた20代女性に衝突しました。
女性は全治3週間の怪我を負い、運転者は自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで逮捕されました。
事故前にも、一方通行逆走や複数回の信号無視をしていたとみられており、「自転車に近い乗り物だから」と信号や優先関係を軽視した結果、重い罪に問われたケースです。
4-3 複数の交通違反を犯し歩行者を負傷させた事例
2025年4月、44歳の自営業の男が2人乗りでモペットを運転し、一方通行を逆走していた際、歩行中の10代の男子大学生に後ろから衝突し軽傷を負わせたほか、同乗していた40代の女性に左手首を骨折する重傷を負わせる事故が起きました。
男は警察が現場に着いた際に、その場から60メートルほど離れた場所まで逃走し、ひき逃げの疑いもあり、免許も携行しておらず、ヘルメットやナンバープレートも付けていませんでした。
さらに、同乗者とともに呼気から基準値を超えるアルコールが検出されており、警察は、同乗していた女性についても、道路交通法違反(酒気帯び運転同乗)の疑いで調べを進めています。
度重なる交通違反を犯しており、その危険性と深刻さ、モペットに対する交通ルールの認識の甘さがよく分かります。
モペットは自転車ではなく、原付であるため、交通ルールと交通マナーを遵守し、安全運転を心がけることが大切です。
関連記事:『飲酒運転の同乗者も罪に問われる?罰則対象になる基準や刑罰の内容・取り調べ時の対応を解説』
参考:「モペット」酒を飲んだ状態で無免許運転 一方通行逆走で歩行者ひき逃げ疑いの男を逮捕 ヘルメットやナンバープレートもなし |FNNプライムオンライン
5. モペットの事故が発生した場合の対処法

万が一、モペットで事故を起こした場合や、モペットによる事故に巻き込まれた場合、パニックになってその場を離れたり、相手と口論になったりすると、状況はさらに悪化します。
まずは、人命を最優先にしつつ、警察や救急への通報、現場状況の記録、連絡先の交換など、落ち着いて適切な手順を踏むことが重要です。
本章では、加害者・被害者のどの立場でも共通して押さえておきたい基本的な対処法を解説します。
5-1 119番|ケガ人の救護と安全確保
事故が発生した際、最優先すべきは人命救助です。
ただちに車両を安全な場所に止め、負傷者がいないか確認してください。
怪我がある場合は、速やかに119番通報を行い救急車を要請しましょう。
救護を怠りその場を立ち去ると「救護義務違反」に問われます。
また、後続車による二次被害を防ぐため、車両を路肩に寄せ、必要に応じて発煙筒で周囲に危険を知らせる「道路上の安全確保」も運転者の義務です。
モペットを転倒させたまま放置すると、後続のバイクや自動車を巻き込む可能性があるため、迅速な対応が求められます。
5-2 110番|警察への通報
怪我の有無や被害の大きさに関わらず、必ず110番で警察に通報しましょう。
人身事故はもちろん、物損事故でも基本的に通報が必要です。
110番では「事故の場所」「車両の種類」「怪我人の有無」などを落ち着いて伝えましょう。
事故を起こした場合、運転者には「報告義務」があり、これを怠ると当て逃げやひき逃げとして処罰の対象になります。
また、警察への届け出がないと、被害者の保険金請求に必要な「交通事故証明書」が発行されません。
「自転車同士だと思った」「相手が大丈夫だと言った」という理由で警察を呼ばないのは厳禁です。
モペットは原付であるため、警察の介入なしにその場で示談交渉を始めてしまうと、後日、法外な賠償請求をされたり、自身の正当な権利を主張できなくなったりするリスクが高まるため注意しましょう。
5-3 現場の状況整理と連絡先の確保
通報と救護を済ませたら、事故の状況を整理し記録しておきましょう。
スマホで現場や車両の損傷箇所、ブレーキ痕、信号や標識などを撮影しておくと、過失割合の判断材料として役立ちます。
また、加害者、被害者共に相手の氏名・住所・電話番号・ナンバープレート・加入している保険会社名などを確認し、必ずメモしておきましょう。
その場の感情に流されて口約束だけで済ませると、後々トラブルにつながる可能性があるため、必ず記録を残しましょう。
5-4 必ず病院を受診する
事故直後はアドレナリンの影響で痛みを感じにくく、自覚症状がない場合も多いですが、必ず当日中に病院を受診してください。
特に「むちうち」などは、数日後に症状が現れることが多く、受診が遅れると事故との因果関係が認められず、治療費や慰謝料が支払われないおそれがあります。
医師に診断書を作成してもらい、警察へ提出することで、事故の扱いを「物損事故」から「人身事故」へ切り替えることができます。
警察に届け出る際は、事前に交通課などに電話で連絡し、加害者側の保険会社にも、人身事故に切り替えることを連絡しましょう。
5-5 被害者の場合|損害賠償の請求
モペット事故の被害者になった場合、治療費や通院交通費、休業損害、慰謝料などを加害者側に請求できる可能性があります。
まずは警察への届出を済ませた上で、自賠責保険や任意保険の窓口に相談し、必要書類や手続きの流れを確認しましょう。
示談交渉では、感情的にならず、診断書・領収書・事故状況の記録など客観的な資料をもとに進めることが大切です。
金額や条件に不安がある場合は、交通事故に詳しい専門家への相談も検討しましょう。
6. まとめ|モペットの事故が年々急増中!正しい交通ルールを把握しよう
本記事では、モペットの車両区分や運転手に対する義務項目、事故の推移や、万が一、事故を起こした場合の対処法について解説しました。
モペットは原動機付自転車であり、運転免許証が必要です。
近年は、ルールの誤解や認識不足から、無免許・ノーヘル走行などによる事故が急増しています。
免許の保有、ヘルメットの着用、ナンバープレートの装着、自賠責保険への加入などは法律上の義務であり、自分と周囲の人の安全を守るために必要な項目です。
「知らなかった」では済まされないため、正しい知識を身につけて、安全運転を心がけましょう。


