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【2024年】安全運転管理者とは?選任義務から罰則、業務内容まで詳しく解説

一定台数以上の自動車を所有する企業や事業所は拠点ごとに、

  • ・運転者の安全運転指導
  • ・点呼等による過労、病気等により正常な運転をすることが出来ない恐れの有無の確認
  • ・安全運転確保のための運行計画書の作成
  • ・酒気帯びの有無の確認

など、自動車の安全な運転に必要な業務を行う者として、安全運転管理者を選任することが道路交通法74条の3にて義務付けられています。

また安全運転管理者を選任していない場合は50万円以下の罰金が科せられるのはご存じでしょうか?

どのような企業や事業所に安全運転管理者の選任が必要となるのか選任の基準や要件、必要な手続きと安全運転管理者が担う業務について詳しく確認しましょう。

1.そもそも安全運転管理者制度とは?

道路交通法第74条の3にて、自動車の使用者(経営者)は定められた台数以上の自動車の使用の本拠ごとに、必要な要件を備える者のなかから安全運転管理者を選任しなければならないと定めています。

選任された安全運転管理者は運転者に対し、自動車の安全な運転を確保するための交通安全教育やその他自動車の安全な運転に必要な業務を行う必要があります。

参考:道路交通法 | e-Gov法令検索『安全運転管理者等|第74条の3

副安全運転管理者とは?

20台以上の車を使用している場合は、安全運転管理者だけではなく副安全運転管理者の選任が必要です。

副安全運転管理者とは安全運転管理者の業務を補佐する役割を担い、安全運転管理者の業務を補助したり不在時に代行して業務を行います。安全運転管理者同様に資格要件があり警察署への届出も必要です。

関連記事:『副安全運転管理者は必要?資格要件や業務内容について徹底解説

2.安全運転管理者と運行管理者の違いは?

安全運転管理者と運行管理者は、どちらも法律に基づいてドライバーの安全管理を行う役割があります。大きな違いは、管理対象とする車両が安全運転管理者は「白ナンバー」であるのに対し、運行管理者は「緑ナンバー」である点です。

それぞれの違いを以下の表にまとめましたので、ご覧ください。

  安全運転管理者 運行管理者
資格要件
  • ・20歳以上
  • ・運転管理の実務経験が2年以上であること
  • ・5年以上の実務経験と所定の講習を5回以上受講すること
  • ・運行管理者試験に合格する
必要人数

1人
※車両台数20台~は副安全運転管理者の選任が必要

車両台数
1~29台:1人
30~59台:2人
※30台ごとに1名追加

運行管理者の詳しい内容は以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:『運行管理者とは|業務内容や必要資格、安全運転管理者との違いを紹介

3.安全運転管理者の選任は義務!その対象や条件は?

安全運転管理者は誰でも選任できるのではなく、資格要件や講習受講などが定められており、企業・事業所の規模で必要な人数も変わります。

  • ・安全運転管理者の選任が義務になる対象は?
  • ・安全運転管理者の人数は何人必要?
  • ・安全運転管理者になるための資格・要件は?

対象や条件について項目ごとに詳しく確認していきましょう。

安全運転管理者の選任が義務になる対象は?

乗車定員が11名以上の自動車を1台以上保有、または自動車を5台以上保有している場合に安全運転管理者の選任が義務となります。
※ただし、原動機付自転車を除く自動二輪は1台につき自動車0.5台としてカウントされます。

また、運送業で配置が義務付けられている運行管理者をすでに選任している場合は対象外となります。

安全運転管理者の人数は何人必要?

安全運転管理者は定められた一定台数の自動車を使用する本拠(事業所等)ごとに選任の必要があります。
また、20台以上の自動車を保有している場合は副安全運転管理者も選任が必要となり、20台ごとに副安全運転管理者を1人ずつ追加する必要があります。

安全運転管理者になるための資格・要件は?

安全運転管理者になるために必要な資格要件を一覧にまとめました。

 安全運転管理者副安全運転管理者
年齢

20歳以上
※副安全運転管理者の選任が必要な場合は30歳以上

20歳以上
運転管理の実務経験
(いずれかに該当していること)
  • ・自動車の運転管理に関し2年以上の実務経験を有する者
  • ・上記と同等以上の能力を有すると公安委員会が認定した者
  • ・自動車運転の経験期間が3年以上の者
  • ・自動車の運転管理に関し1年以上の実務経験を有する者
欠格要件
  • ・公安委員会の命令により安全運転管理者等を解任され、解任から2年を経過していない
  • ・下記の違反行為をした日から2年を経過していない
    • ・ひき逃げ
    • ・無免許運転、酒酔い運転、酒気帯び運転、麻薬等運転、無綿羊運転にかかわった車両の提供、無免許運転の車両への同乗
    • ・酒酔いまたは酒気帯び運転にかかわった車両の提供、酒類の提供、酒酔いや酒気帯び運転の車両への同乗
    • ・酒酔いまたは酒気帯び運転、無免許運転、過労運転、放置駐車違反等の下命や容認
    • ・自動車使用制限命令違反
    • ・妨害運転(著しい交通の危険、交通の危険のおそれ)

安全運転管理者になるための資格要件などについて、詳しい内容は以下の記事で解説しています。

関連記事:『安全運転管理者に必要な4つの資格とは?法定講習を受けなかったらどうなる?

4.安全運転管理者の公安委員会への届け出について

安全運転管理者、副安全運転管理者は選任日から15日以内に公安委員会に届出を行う必要があり、交代の場合も前任者の解任と後任者の届出が必要となります。

必要な書類や提出方法について詳しく説明します。

準備するべき必要な書類

安全運転管理者、副安全運転管理者の選任の申請に必要な書類は以下があげられます。
都道府県で申請書様式や必要な書類等が異なるため、詳しくは都道府県警察の手続きサイトを確認しましょう。

  • ・安全運転管理者等選任届出書
  • ・戸籍抄本または本籍の記載のある住民票の写し
  • ・運転免許証の表面および裏面の写し
  • ・運転記録証明書(発行から1か月以内で過去3年間もしくは5年間のもの)
  • ・自動車運転管理実務経歴証明書
  • ・居住証明書(以下に該当する場合は別途必要)
    • ・選任者の住民票住所や免許証住所と実際の住所が異なる
    • ・選任者の住民票住所と事業所の住所の都道府県が異なる

参考:警察行政手続サイト「道路交通法関係 届出

届け出の方法

届出の方法は、以下の方法があります。

  • ・警察署窓口
  • ・警察署へ郵送
  • ・警察行政手続サイト

自動車の使用者は安全運転管理者等の選任、変更から15日以内に自動車の使用の本拠地を管轄する警察署を経由して、公安委員会に届け出る必要があります。

参考:警察行政手続サイト「安全運転管理者の選任の届出

要注意!解任や変更も届け出が必要

安全運転管理者を解任や変更する際にも選任と同様に届け出が必要となります。
まず安全運転管理者等を解任する理由としては次のような理由があげられます。

  • ①自動車の台数が基準値以下になったとき、事業所が別の警察署管内に移転したとき、または事業所が閉鎖することになったときなど。
  • ②安全運転管理者等が「安全運転管理者の選任の資格要件」を備えなくなったときのほか、交通安全教育指針に基づく職場の交通安全教育を怠り、自動車の安全運転が確保されていないと認めるとき公安委員会は、自動車の使用者に対して安全運転管理者等の解任を命ずることができる(解任命令)。

5.安全運転管理者が必要な理由は?

令和3年6月に千葉県で児童5名が死傷する凄惨な交通事故を起こした運転者が勤めていた事業所は、安全運転管理者の選任を行っておらず、さらに運転手に安全運転教育やアルコールチェックなどが行われていませんでした。

安全運転管理者は、事故を未然に防ぐためにも車両の状態の確認や運転者の飲酒運転を防ぐためのアルコールチェックなどを日々行い、運転手に安全運転を指導する役割であるため企業や事業所に必要な業務となっています。

関連記事:『安全運転管理者は必要ない?義務となるケースや解任(解除)についても解説!

6.安全運転管理者制度を怠った場合の罰則は?

安全運転管理者制度を怠った場合、4つの違反行為に対する罰則があります。2022年10月の道路交通法改正により、罰則の追加と罰金が引き上げられました。

現在の罰則については以下となります。

選任義務違反

安全運転管理者の選任義務の対象であるにもかかわらず、企業や事業所が選任しない場合

50万円以下の罰金

解任命令違反

安全運転管理者の解任命令が出されても適切な手続きを取らず、安全運転管理者の職務を続ける場合

50万円以下の罰金

是正措置命令違反安全運転管理者に対して是正措置命令が出されても適切な対応を取らなかった場合

50万円以下の罰金

選任解任届出義務違反安全運転管理者の選任や解任を適切に届け出ない場合

5万円以下の罰金

安全運転管理者制度を怠った場合の罰則については、以下の記事でも詳しく解説しています。罰則が重くなった背景、安全運転管理者制度を怠った場合のリスクなどについても掲載しています。合わせてご覧ください。
関連記事:『安全運転管理者制度の義務を怠った場合の罰則について解説!その背景は?

7.安全運転管理者の9つの業務内容

安全運転管理者は、その管理下の運転者に対して安全運転教育や安全運転管理業務を行わなければなりません(道路交通法施行規則第9条の10)。

主な業務を9つ紹介します。

①運転者の状況把握

自動車の運転についての運転者の適正、知識、技能や運転者が道路交通法の規定を守っているか把握する業務です。

②運行計画の作成

運転者の過労運転の防止、その他、安全な運転を確保するために自動車の運行計画を作成する業務です。

③交代要員の配置

長距離運転もしくは夜間運転となる場合、疲労等により安全な運転ができないおそれがあるときは交替するための運転者を配置する必要があります。

④異常気象時等の安全確保の措置

異常な気象・天災その他の理由により、安全な運転の確保に支障が出る可能性がある際は、安全確保のために必要な指示や措置を講じる必要があります。

⑤安全運転の指示

安全運転の指示とは、運転しようとする運転者に対して点呼等を行い、車両点検の実施および飲酒、疲労、病気などにより正常な運転ができないおそれがないかを確認し、安全に運転できるよう必要な指示を出す業務です。

⑥アルコール検知器を用いた運転前後の酒気帯び確認

運転前後の運転者に対して、酒気帯びの有無について該当運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器を用いて確認を行うことです。

⑦アルコールチェックの1年間の記録保存・アルコール検知器の常時有効に保持

酒気帯びの有無の確認内容を記録し1年間保存することに加え、アルコール検知器を常時有効に保持する業務のことです。

⑧運転日誌の記録

運転日誌の記録とは、運転の状況を把握するため、運転終了後の運転者に必要事項を記録させることです。

⑨運転者に対する指導

運転者に対して「交通安全教育指針」に基づく教育のほか、自動車の運転に関する技能や知識、その他、安全な運転を確保するため必要な事項について指導を行うことも重要な業務の1つです。

 

参考:e-Gov法令検索|道路交通法施行規則「安全運転管理者の業務|第9条の10

8.安全運転管理業務を正しく効率的に行う方法

安全運転管理者の業務については前項で確認しましたが、その1つとしてアルコールチェックがあり、法令で定められた8項目の記録と点呼は安全運転管理者にとって大きな業務負担になる場合があります。

毎日きちんとアルコール検知を行っていても、不正がおきたり検知データが管理できていなければ意味がありません。また正しく検知できているのか分からない方や時間がなくデータ管理ができていない方も多いかと思います。

そこで正しく効率的に安全運転管理業務を行うためには、アルコールチェッカーの選定が非常に重要となってきます。

選定ポイントとして、以下の2点が重要です。

  • ①不正やなりすましができないようなアルコールチェッカーを選ぶ
  • ②必要な測定データが自動で保存されるようなアルコールチェッカーを選ぶ

弊社が提供しているアルコールチェッカー「アルキラーNEX」であれば、不正ができないような精度の高い国内製センサーを用い、ワンタイムパス認証の導入によるなりすまし防止にも力を入れています。
また検知データに関しては必要なデータが自動的にクラウドへ送信されますので、手間なく法令に必要なデータを簡単に管理することが可能です。

参考:『アプリで簡単操作が可能なクラウド型アルコールチェッカー「アルキラーNEX」

9.まとめ

安全運転管理者は運転者が安全な運転を行うために必要な業務を担う重要な役割を果たしているため、選任は法律で義務付けられており選任義務違反等の罰則は重いものとなっています。

また誰でも安全運転管理者に選任できるわけではなく、実務経験や必要な要件などが定められています。
安全運転管理者が必要な企業は選任できる人材の確保や、業務負担を軽減できるツールを利用し安全運転管理者や副安全運転管理者が円滑に業務が行える環境づくりを行い、安全な事業を行っていきましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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