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【注目】相次ぐ飛行機パイロットの飲酒問題を事例を交えて解説|航空業界のアルコールチェック制度

近年、国内外でパイロットの飲酒問題が相次いで発覚し、社会的な関心が高まっています。

国土交通省は2019年にアルコールに関する規定を強化したものの、現在でも運行前のアルコールチェックで基準値を超える数値が検出されており、安全性が懸念されています。

国土交通省による行政処分や、飛行機便の遅延、運行中止に至ったケースも少なくありません。

こうした背景を受け、各航空会社ではアルコールチェック体制を独自に強化し、再発防止が進められています。

そこで本記事では、実際に起きた事例を交えながら、パイロットの飲酒問題の実態や各航空会社の安全対策、海外におけるパイロットの飲酒問題について紹介します。

1. 国内における飛行機パイロットの飲酒問題と処分事例

航空業界では2018年頃からパイロットによる飲酒問題が問題視されるようになり、安全運行を守るために、厳格なアルコールチェック体制が求められています。

しかし、現在でも飲酒に関する不祥事が相次ぎ、飛行機の利用を不安視する人も少なくありません。

そこで本章では、実際に発生した事例を交え、どのような処分や安全対策が講じられたかを紹介し、飲酒問題が相次ぐ理由について探ります。

1-1 運航規程違反の事例

2025年8月、ハワイのダニエル.K.イノウエ国際空港発、中部国際空港行きの便に乗務予定のパイロットが、社内の運航規程で定められている「滞在先での禁酒」に違反し、乗務不可になりました。

滞在先ホテルで出発前に自主的なアルコールチェックを行ったところ、アルコール反応が確認されたため、本人が自ら申し出たということです。

これにより交代要員の確保に時間がかかり、3便に最大18時間以上の遅れが出たため、国土交通省は厳重注意を行い、航空会社はパイロットの懲戒解雇処分と全役員の報酬減額に踏み切りました。

同航空会社では、パイロットや乗務員による飲酒問題が相次いでおり、アルコールに対する意識の甘さや、長時間勤務になりやすいパイロットの心身のサポートなどが必要という声が挙がっています。

航空会社は飲酒リスクが高いパイロット6人を乗務から外し、減酒指導を行うと発表しています。

参考:日本航空、飲酒リスク高いパイロット6人を乗務から外す…なお十数人にリスクの疑い|読売新聞オンライン

1-2 基準値超え・運航規程違反の事例

2019年8月、鹿児島空港発、羽田空港行きの便に搭乗予定のパイロットから、国の基準値を超過するアルコールが検知されました。

飛行勤務開始の1時間前に酒を飲んでおり、運航規程で定められている「飛行乗務開始前12時間以内の禁酒」に違反したとして、航空業務停止100日間の行政処分が下されています。

当時はパイロットによる飲酒問題が社会的に問題視された時期であり、航空会社は全運航乗務員へのアルコール教育や個別面談、飲酒傾向に懸念がある乗務員のカウンセリングや治療を実施すると発表しました。

参考:飲酒に起因する不適切な事案等を受けた航空運送事業者及び運航乗務員に対する不利益処分等について|国土交通省

1-3 基準値超えで逮捕された事例

2018年10月、ロンドンのヒースロー空港発、羽田空港行きの便に乗務予定だったパイロットから、イギリスの法令に定められた基準値の9倍を超えるアルコールが検知され、逮捕・拘束されました。

当便は、パイロットが3名編成のところを2名編成に変更して運航し、運航規定に違反したとされています。

パイロットは社内のアルコールチェックをすり抜けており、酒臭さに気づいたバス運転手の通報で発覚したとのことです。

イギリスの法律で禁錮10か月の実刑判決が言い渡され、これを受けて航空会社はパイロットに懲戒解雇処分を適用しました。

また、国土交通省はパイロットに対して航空従事者技能証明、航空英語能力及び計器飛行証明の取り消しと文書警告による行政処分、航空会社には事業改善命令を実施しました。

参考:JAL、英での実刑判決の副操縦士を懲戒解雇 乗務前に過剰飲酒|BBC NEWS JAPAN

1-4 アルコールチェック未実施の事例

2019年4月、ドクターヘリのパイロットが法律で義務付けられた乗務前のアルコールチェックを行わないまま、飛行勤務を実施しました。

国土交通省は、航空会社に対して文書で厳重注意を実施し、再発防止策の報告を義務付けました。

航空業界におけるアルコールチェックの義務化は、2019年4月1日から施行されており、当時は施行直後であったことから、未実施が発生したと考えられます。

同航空会社は、社内規則の明文化、検査方法の周知徹底などの再発防止策を講じています。

参考:飲酒に起因する不適切な事案等を受けた航空運送事業者及び運航乗務員に対する不利益処分等について|国土交通省

2. 航空業界のアルコールチェック制度

航空業界では、運航の安全を守るためにアルコールチェック体制の強化が進んでいます。

飛行機の運航においても、トラックやバスと同様に徹底したアルコールチェックの実施は重要です。

2019年にはアルコールチェックに関連する法律が改正され、パイロットだけでなく航空運送従事者にも適用されています。

そこで本章では、パイロットの飲酒基準や、航空運送従事者と航空会社に適用されている規制について詳しく解説します。

2-1 飛行機パイロットの飲酒基準

飛行機のパイロットには航空法施行規則第70条に基づいて、アルコール濃度の基準値が設定されています。

【アルコール濃度の基準値】

血中濃度:0.2g/l未満、呼気中濃度:0.09mg/l未満

上記の基準は、道路交通法に基づく自動車の飲酒運転に比べて厳しく設定されています。

アルコール濃度の基準値は、事業用・自家用問わず日本で運航するすべてのパイロット(外国機含む)が対象です。

基準値を超過した場合、「戒告」「航空業務停止」「免許取り消し」などの行政処分がパイロットに科されます。

航空会社によっては「呼気中濃度0.00mg/lを超える場合は不合格にする」など、より厳しい数値を独自に設定しているケースがあります。

関連記事:『酒気帯び運転(飲酒運転)とは|基準となる数値や罰則内容をわかりやすく解説

参考:航空従事者の飲酒基準について①(PDF)|国土交通省

2-2 航空運送従事者に対する規制

航空法第104条に基づき、パイロット、客室乗務員、運航前整備の作業者、運行管理者に対して、アルコールチェックが義務付けられています。

また、アルコールチェックを実施する際は、以下のような項目を遵守する必要があります。

【航空運送従事者のアルコールチェックの内容】

  • 業務前のアルコール検知器(ストロー式)による検査を実施すること
  • アルコールが検知された場合には業務禁止
  • 検査時の不正(なりすまし・すり抜け)防止する体制を整えること
  • 検査時に第三者の立ち会いを実施すること(モニターなどの活用も可)
  • 検査情報の記録、保存(日時、氏名、結果等)をすること

パイロット及び客室乗務員は、旅客へ直接運航サービスを行うため、乗務後のアルコール検査も義務化されており、飛行勤務開始8時間以内の飲酒も禁止されています。

また、自家用飛行機を操縦する場合にも、義務化の項目が適用されます。

2-3 航空会社に対する規制

航空会社に対しては、大きく分けて3つの項目が義務付けられています。

【航空会社に対する義務化の項目】
アルコール教育の徹底・依存症対応 ・経営者含む全関係職員への定期的なアルコール教育を義務化(危険性、分解速度など)
・依存症職員等の早期発見、対応のための体制整備(職員への教育、報告制度、カウンセリング環境など)
アルコール不適切事案の航空局報告義務 ・飲酒に関わる不適切事案(アルコール検査で不合格の場合や適切に実施されなかった場合など)について、航空局への報告義務化
飲酒対策に係る体制の強化 ・安全統括管理者の責務として飲酒対策を明確に位置付け、必要な体制を整備することを義務付け、飲酒対策に係る体制を強化する

航空局は義務化の項目以外にも、監査時に抜き打ちでアルコールチェックを実施するなどして、航空事業への指導監督を強化しています。

抜き打ちのアルコールチェックは、海外の航空会社にも同様に適用されるため、外国当局や航空会社への周知徹底を要請しています。

参考:航空従事者の飲酒基準について②|国土交通省

3. 航空業界のアルコールチェックが強化された背景

近年、航空業界でアルコールチェックが強化された背景には、パイロットの飲酒問題の多発が関係しています。

特に2018年、ロンドンのヒースロー空港で日本人パイロットから、基準値を大幅に超えるアルコールが検出され、現地の警察に逮捕された事件は、社会的に大きな衝撃を与えました。

この事件をきっかけに、国土交通省は2019年から国内の航空会社に対し、第三者立ち会いのもと乗務前のアルコールチェックを義務付けました。

一方で、パイロットの仕事は、不規則な勤務体制である上に高度な集中力を要し、医学的身体検査や昇級試験など多くのストレスが伴うため、アルコールに依存しやすい環境にあると指摘されています。

実際、規制の強化後に、飲酒を隠して乗務を試みた事案も発生しており、単なる「気のゆるみ」ではなく、アルコール依存症の可能性があると懸念されています。

アルコール依存症は、自分では気づかないうちに進行するのが特徴です。

本人の力だけでは回復が難しい傾向があるため、アメリカでは、依存症を抱えたパイロットの治療と復帰を支援するプログラムが運用されています。

日本でもJAPA(日本航空機操縦士協会)が、日本版のプログラムを提供しており、再発防止と支援体制の強化が進められています。

関連記事:『アルコール依存症の症状とは?依存度のチェック方法や進行ステージ・予防法について解説

参考:日本版HIMSガイドライン|公益社団法人 日本航空機操縦士協会

4. 海外における飛行機パイロットの飲酒問題

海外におけるパイロットのアルコール規制は、日本よりも厳しい場合が多いですが、依然として飲酒問題が発生しています。

【2023年7月】

フランスのパリ・シャルルドゴール空港にて、ユナイテッド航空のパイロットから、フランスが定めている基準値の6倍の血中アルコール濃度が検出され、便が欠航になりました。
「前日にワインを2杯飲んだだけ」と主張しましたが、裁判長は「飛行機事故が起きる可能性があり、267人の乗客を危険にさらした」として、執行猶予付きの懲役6か月と5,000ドルの罰金刑、1年間の飛行禁止処分が言い渡されました。

【2025年1月】

米国のサバンナ・ヒルトンヘッド空港にて、サウスウエスト航空のパイロットが飲酒検査で基準値を超過し、警察に逮捕されました。運輸保安局職員から「酒に酔っているように見える」との通報が入り、コックピットから退去を求められ、検査の結果アルコールが検出されました。飲酒運転の罪で起訴され、当便はパイロット手配に時間を要し5時間の遅れが出ました。

海外の航空会社や関連法規におけるアルコール規制は、日本よりも厳格かつ制度的に整備されているケースが多いのが特徴です。

特にヨーロッパはパイロットのアルコール規制が厳しいことで知られており、操縦前の準備段階でも摘発が可能です。

2019年以降、日本も規制強化が進んだものの、依存症治療や復職支援の制度化が遅れていたり、刑事罰よりも行政指導が中心で抑止力に限界があると指摘されています。

5. 各航空会社のアルコールチェック規程と安全対策

航空業界では、航空運送従事者の飲酒問題を防ぐため、各航空会社が独自のアルコールチェック規程や安全対策を設けています。

国土交通省が設定した基準よりも厳格な数値を設定する航空会社もあり、企業ごとの規定や安全対策もさまざまです。

そこで本章では、国土交通省が公表した資料「航空運送事業者における飲酒対策(PDF)」や、各航空会社が発表している資料をもとに、日本の航空会社が独自に運用しているアルコール規程や安全対策を紹介します。

5-1 ANAのアルコールチェック規程と安全対策

ANA(全日本空輸株式会社)は過去の飲酒問題を受け、運航の安全を守るためにアルコール管理体制の徹底と再発防止策を強化しています。

主な内容は以下のとおりです。

【ANAのアルコールチェック規程と安全対策】

  • 乗務12時間前以降の飲酒制限
  • 乗務12時間前のアルコールを2単位にコントロール(※)
  • ストロータイプの記録式検査器を全空港に設置
  • パイロットに対し呼気検査器を貸与
  • カウンセリング窓口設置の周知と利用促進を行う
  • 空港内で車両を運転するグループ社員にも始業前にアルコールチェックを実施
  • など

※アルコールを2単位にコントロールとは

アルコールの「単位」は、適量飲酒の目安です。純アルコール約20gを含む酒量を指し、ビール中瓶1本、日本酒1合、ウイスキーダブル1杯などが1単位に相当します。

1単位のアルコール分解には約3〜4時間かかるとされていますが、体質や体調、性別などによって分解能力が異なるため、女性や高齢者、体調が悪い場合は酒量を控えることが推奨されます。

以下の関連記事では、お酒の種類ごとのアルコールが抜ける時間の目安や、アルコールが抜ける時間の計算方法について詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

関連記事:『アルコールが抜ける時間は?分解時間の計算方法|飲酒後の運転は何時間後から大丈夫?

5-2 JALのアルコールチェック規程と安全対策

JAL(日本航空株式会社)は、パイロットによる飲酒問題が相次いでおり、アルコール対策特別委員会やアルコール対策専門部会を設置し、安全管理体制を強化しています。

また、以下のような規程や安全対策を運用しています。

【JALのアルコールチェック規程と安全対策】

  • 滞在先での飲酒禁止(当面)
  • パイロットのアルコールの基準値を0.00mg/lに設定
  • 乗務編成変更の禁止
  • 飲酒リスクを6段階に分類し、高リスクのパイロットは乗務不可にする
  • 飲酒リスクがあるパイロットに対して月1回の面談を実施
  • グループ全運航乗務員に「4ドリンクカード」を配布
    (乗務12時間前までのアルコールを4ドリンク(2単位)に制限する内容を推奨)
  • パイロットの乗務前アルコールチェック3回を滞在先で1回増やす
  • 外部の専門家を招き管理体制を再構築(2025年12月から本運用)
  • など

JALではパイロットの飲酒問題を根絶するために、安全管理体制の構築に力を入れています。

従来、3段階に分けていた飲酒リスクを6段階に増やし、より細かくリスクを評価できる体制を整えました。

また、教育プログラムやカウンセリング体制の充実も図り、再発防止と信頼回復を目指しています。

関連記事:『従業員の飲酒運転(酒気帯び運転)による会社の責任と仕事への影響|事例と対策4選

5-3 Peachのアルコールチェック規程と安全対策

Peach Aviation株式会社は2025年1月7日、シンガポール発関西行のフライトにおいて発生した「機長及び副操縦士が運航規程に基づく乗務前アルコール検査の未実施の状態で乗務した」件について国土交通省より厳重注意を受け、報告書を提出しています。

結果、アルコールが検出されたわけではありませんでしたが、安全管理体制に懸念が残りました。

このような背景も含め、社内のアルコール規定と安全対策に反映されています。

【Peachのアルコールチェック規程と安全対策】

  • 乗務前12時間以内の飲酒厳禁
  • 社内アルコール検査と法定検査の2重チェック体制
  • アルコール検査に合格しなければ飛行計画を承認しない運用
  • 飲酒リスク対策として全乗務員に意識徹底の教育プログラムを実施
  • 違反時は行政処分(機長は30日間業務停止例あり)
  • 再発防止策として検査管理担当者の確認責任強化、システム未検査表示時の確認徹底
  • 定期的な社内研修の充実、安全意識向上のための講義や試験
  • 国土交通省への定期報告義務の導入(再発防止策として)

Peachでは他の企業同様、飲酒リスクの管理強化とともに、システム上でアルコール検査が未実施の場合は必ず確認・対処することが義務付けられています。

また、乗務前検査の失念や虚偽説明が判明すれば厳重注意または業務停止処分となるように規定しているようです。

参考:
厳重注意に対する再発防止策の提出について(PDF)|Peach Aviation株式会社
Peach・Aviation株式会社に対する厳重注意について|国土交通省

5-4 スカイマークのアルコールチェック規程と安全対策

スカイマーク株式会社では、乗務前12時間の飲酒を禁止しており、就業規則では「呼気中のアルコール濃度0.00mg/lであること」が出社要件として定められています。

このほかのアルコールチェックに関する規定や安全対策は以下のとおりです。

【スカイマークのアルコールチェック規程と安全対策】

  • すり抜け、なりすまし防止機能がついたアルコールチェックシステムの導入
  • 地上運航従事者がいない空港ではテレビ電話を用いて酒気帯び確認をする
  • カウンセリング利用促進の周知
  • 安全管理部門を新設
  • 全社員に対してコンプライアンス教育を実施

アルコールチェックシステムは、測定したアルコールチェック内容を自動で記録・送信し、管理者がリアルタイムで確認できるシステムです。

顔認証機能が搭載されているアルコールチェックシステムの場合、なりすましやデータの改ざんを防止できるため、企業のコンプライアンス対策や事故防止に役立ちます。

従業員数が多い企業にとって、アルコールチェックの業務負担が大きくなるため、近年は専用のスマホアプリと連動したアルコールチェックシステムを導入する企業が増えています。

以下の関連記事では、アルコールチェックアプリの利用方法やおすすめのアルコールチェックアプリについて紹介しています。あわせて参考にしてください。

関連記事:『【2025最新】アルコールチェックアプリ15選|機能比較・選定ポイントを解説

5-5 ソラシドエアのアルコールチェック規程と安全対策

株式会社ソラシドエアでは、客室乗務員によるアルコールチェックの不正が発生しており、従来の客室乗務員同士の相互確認から、客室乗務員以外のスタッフが直接立ち会う体制に変更しています。

このほか、以下のようなアルコールチェック規程や安全対策を実施しています。

【ソラシドエアのアルコールチェック規程と安全対策】

  • 役員と全運航乗務員を対象とした定期的なアルコール教育の実施
  • 全社向けインフォメーション「飲酒が及ぼす体への影響」を発行
  • 全事業所に呼気検査機器を配備し、随時検査が可能な体制を構築
  • など

2024年中は乗務開始前のアルコールチェックの未実施が2件発生しており、飲酒状態での業務は行っていないものの、再発防止や適正飲酒の徹底の取り組みを行っています。

5-6 NCAのアルコールチェック規程と安全対策

NCA(日本貨物航空株式会社)は、日本で唯一の国際航空貨物専門会社です。

アジアや欧米の主要都市を結ぶ定期便やチャーター便の運航を行っています。

生鮮食品や医療品、半導体製造装置など、さまざまな貨物を輸送するノウハウを持ち、世界の物流を支えています。

【NCAのアルコールチェック規程と安全対策】

  • パイロットにアルコールチェッカーを貸与
  • 自宅や宿泊先を出発する前にアルコールチェッカーで自己確認を実施
  • 安全管理統括者から注意喚起、報告指示文書を発行
  • 全部門で「飲酒に関する関連規定類の遵守」を徹底
  • 全社員を対象としたアルコール教育の実施
  • など

NCAは、2025年8月からANAの子会社となり、今後、貨物便ネットワークのさらなる拡大が予測されています。

これに伴い、ANAグループの安全管理基準に基づいたアルコールチェック体制の強化が進められる可能性があります。

6. なりすまし・すり抜け防止対策に「アルキラーNEX」

アルキラーNEXでアルコールチェックを実施するイメージ

アルコールチェックのなりすまし・すり抜け防止対策に有効なのが、クラウド型アルコールチェックシステム「アルキラーNEX」です。

アルキラーNEXは、専用のスマホアプリを活用したアルコールチェックシステムで、測定結果は自動でクラウド上に送信・記録・保存でき、管理者はリアルタイムで全社員の測定状況を把握できます。

測定時は、事前に登録した顔写真と照合する顔認証機能や、使用中の検知器の適性を判断するワンタイムパス認証が機能し、なりすましなどの不正を防止できます。

また、ビデオ点呼にも顔認証による管理者のなりすまし防止機能を追加し、遠隔地で働く乗務員や出張者にも対応可能です。

企業全体での飲酒トラブルの防止とコンプライアンス強化を実現できるため、業界を問わずさまざまな企業で導入されています。

アルキラーNEXを提供する株式会社パイ・アールは100%自社開発なので、自社システムとの連携やカスタマイズ開発への対応、ユーザーの声を元にした柔軟なアップデートなども可能です。

例として、フライトスケジュールとのシステム連携を実現するなど、航空会社の運用に合わせたカスタム開発を行いました。

アルキラーNEXの詳細は、以下の製品ページからぜひご確認ください。

参考:アルキラーNEX|クラウド型アルコールチェッカー【アプリで簡単操作】

7. まとめ|航空業界のアルコールチェックは厳格化!各企業の安全対策に期待

本記事では、過去に発生したパイロットの飲酒問題の事例や義務化の項目、規制強化の背景や各航空会社の安全対策について紹介しました。

航空業界におけるアルコールチェックは、過去の不祥事や社会的関心の高まりを受けて年々厳格化しています。

1つのミスが重大な事故に繋がるため、慎重な対応が求められます。

現在では、第三者立ち会いによる出発前後のアルコールチェックや結果の記録・保存が義務化され、再発防止のための教育・啓発活動も強化されています。

今後は、AIやクラウドを活用したアルコールチェックシステムの導入や、パイロットのメンタルケアをサポートする制度の整備が進められると見込まれます。

私たちが今後も安心して搭乗できるよう、各航空会社の安全対策に期待したいですね。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求している 株式会社パイ・アール は、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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