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軽貨物事業者が使える「補助金」「助成金」の概要と注意点を紹介|開業時や設備投資で活用できる

軽貨物事業の開業や設備導入には、まとまった初期費用が必要になるため、補助金や助成金を上手に活用することが大切です。

国や自治体、非営利法人などでは、軽貨物事業者を対象とした補助金や助成金を用意しており、さまざまな場面で資金面のサポートを受けられます。

本記事では、軽貨物事業者が開業時や設備導入時に活用できる「補助金」や「助成金」の概要と、申請時の注意点について分かりやすく紹介します。

※各助成金、助成事業は公募回や、地域ごとに異なる場合があります。

1. 軽貨物事業者|補助金・助成金・支援金の違い

軽貨物事業者が利用できる公的支援制度には、「補助金」「助成金」「支援金」など、名称が異なる制度があります。

基本的にどれも返済義務はありませんが、支援対象や支援目的、管轄や申請条件に違いがあり、正しく理解し、活用することが重要です。

そこで本記事では、「補助金」「助成金」「支援金」の基本的な違いを分かりやすく解説し、軽貨物事業者が受けられる支援を最大限に活かすためのポイントをお伝えします。

補助金とは?

補助金とは、国や地方自治体、非営利法人が政策目標に沿った事業を行う事業者に対して支給する公的資金で、主に新規事業の立ち上げや設備投資、創業支援などを目的としています。

経済産業省や中小企業庁などが管轄し、税金を財源としており、支給額が数百万円から数億円と比較的大きいのが特徴です。

申請には公募期間が設けられており、タイミングを逃すと申請できません。

また、助成金と異なり、審査に通過し採択されなければ受給できない点にも注意が必要です。

助成金とは?

助成金とは、国の政策に基づき、労働環境の改善や雇用促進、人材育成などに取り組む事業者に対して支給される公的資金です。

主に厚生労働省やトラック協会などの非営利法人が管轄しており、雇用保険料を財源として、数十万円から百万円程度の支援が受けられます。

法人だけでなく、従業員を雇用する個人事業主も対象になる場合があります。

補助金と比べて金額は小さいものの、年間を通して申請でき、要件を満たせば原則受給できる点がメリットです。

ただし、申請から受給までに1年以上かかることもあり、計画的な準備が求められます。

支援金とは?

支援金とは、災害や経済的困難など、何らかの影響を受けた個人や事業者を対象に支給される公的資金で、生活や事業の継続を支援することを目的としています。

交付金や給付金も同じ目的で実施される支援制度です。

用途が限定されていないため、補助金のように特定の事業に使う必要がなく、比較的自由に活用できるのが特徴です。

申請に必要な書類も少なく、要件を満たせば基本的に交付されるため、補助金や助成金に比べて手続きが簡単で競争もありません。

ただし、支給額は補助金や助成金に比べて、数万円から10万円程度と少額である場合が多いようです。

2. 軽貨物事業者向け|4つの補助金

軽貨物事業者が活用できる補助金制度には、さまざまな種類があります。

特に注目したい補助制度は、「事業再構築補助金」「エイジフレンドリー補助金」「IT導入補助金」「脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金」の4つで、事業の拡大や安全対策、環境対策などに役立ちます。

この章では、4つの補助金制度について詳しく紹介します。

事業再構築補助金

「事業再構築補助金」は、コロナ禍などで事業の見直しが必要になった中小企業を対象に、新たな事業展開や業態転換などを支援する大型の補助制度です。

軽貨物事業者の場合、EC対応や移動販売、倉庫業や流通加工業への参入など、新しい分野への進出を行う際に活用できます。

補助額は通常100万円〜6,000万円、最大で1億円と高額な支援が期待でき、補助率は基本的に2/3です(※補助額、補助率は公募回ごとに変更の可能性があります)。

ただし、補助金にはいくつかの申請枠があり、要件や補助額が異なるため、事前に内容をしっかり確認することが大切です。

参考:事業再構築補助金|株式会社パソナ

エイジフレンドリー補助金

エイジフレンドリー補助金は、高齢者を含む労働者が安全・安心に働ける職場づくりを支援する制度です。

従来は「高年齢労働者の労働災害防止コース」「転倒や腰痛の予防のための運動指導コース」「コラボヘルスコース」の3つが用意されていましたが、令和7年度から、中小企業が専門家と連携しながら、より効果的に安全対策をすすめられるよう、「エイジフレンドリー総合対策コース」が加わりました。

「エイジフレンドリー総合対策コース」では、専門家が職場のリスクを見極め、優先度の高い対策を提案・実施することが想定されており、補助率がほかのコースより高く、4/5に設定されています。

従来の3つのコースの場合、乗降しやすい車両の導入や専門家による健康指導、禁煙やメンタルヘルス研修の実施費用などが補助対象で、補助率は1/2〜3/4、上限100万円程度で、ドライバーの安全確保や労働環境の改善に活用されています。

令和7年度の募集開始予定は、5月初旬〜10月末日とされているため、申請期間を見逃さないよう、厚生労働省のホームページで最新情報をチェックしましょう。

参考:令和7年度予算概算要求の主要事項(PDF)|厚生労働省

IT導入補助金

IT導入補助金は、業務効率化や生産性向上を目的とした、ITツールの導入を支援する制度です。

軽貨物事業者では、配車管理システムや勤怠管理アプリ、アルコールチェック記録の自動化ツール、売り上げ管理を行う会計ソフト、クラウドサービスの利用料などが対象です。

ただし、事務局の登録を受けたITツールのみが補助対象となるため、IT導入補助金2025の公式サイトで利用可能なITツールを事前に確認しましょう。

補助金額の上限は30〜450万円で、中小企業のみが対象です。

補助金の支給後、ITツール導入以外の用途に充てた場合、募集要領の規定に反するとみなされ、登録抹消リストに掲載されるため、募集要領に則って補助金を活用しましょう。

参考:IT導入補助金2025|中小企業庁

脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金

脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金は、CO₂排出削減と経済成長の両立を目指す設備投資を支援する制度で、EV(電気自動車)や再エネ設備の導入などが補助対象です。

近年、運送事業者において環境に配慮した事業展開が求められており、EV車両を積極的に導入することで、環境対応だけでなく、燃料費削減や他社との差別化が可能です。

補助額は大きいものの、予算上限に達すると抽選になる場合があるため、早めの情報収集が重要です。

なお、令和6年度の募集は2025年3月に終了しており、令和7年度の募集開始は未定です。

このほか、「令和7年度 環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業補助金」「令和7年度 商用車等の電動化促進事業補助金」「令和7年度 低炭素型ディーゼルトラック普及加速事業補助金」などの制度も用意されているため、EV車両の導入を検討している方は、補助金執行事業者の公式ホームページで詳しい内容を確認しましょう。

参考:一般財団法人 環境優良車普及機構

3. 軽貨物事業者向け|10の助成金

軽貨物事業者が活用できる助成金には、安全性向上や労働環境の整備、環境対策、人材確保などを支援するさまざまな制度があります。

そこで本章では、トラック協会の会員企業向けの助成金を10項目紹介します。

運送業者の義務項目である「アルコールチェック」や「点呼」は、機器の導入が欠かせないため、設備投資を支援する助成金は要チェックです。

助成金を上手に活用し、軽貨物事業の経営負担を軽減しながら、法令遵守や業務効率化を強化しましょう。

※地域や公募時期によって上限額や、対象機器などは異なる場合があります。

安全装置等導入促進助成事業

事業用トラックの事故防止を目的に、安全装置の導入を支援する助成事業です。

各都道府県のトラック協会を通して支給され、装置ごとに助成金額と条件が異なります。

【助成対象装置と助成内容】
対象装置 装置の条件 対象事業者 助成金額
後方視野確認支援装置 常時後方を確認できるバックアイカメラ すべての事業用トラック 価格の1/2(上限2万円)
側方衝突監視警報装置 左折時の歩行者・自転車感知と警報 車両総重量7.5トン以上(トラクターは第5輪荷重8.5トン以上) 価格の1/2(上限10万円)
アルコールインターロック 呼気で起動制御する装置(国土交通省の基準に適合していること) すべての事業用トラック 価格の1/2(上限2万円)
携帯型アルコール検知器 遠隔点呼用、自動送信機能付き Gマーク認定事業者限定 価格の1/2(上限2万円)
トルク・レンチ 締付力600N・m以上の大型車両 8トン以上の車両を保有する事業者 価格の1/2(上限3万円)

助成金の申請や助成対象機器の型式で不明な点がある場合、各都道府県のトラック協会に問い合わせたり、公式ホームページなどで確認しましょう。

参考:令和7年度 安全装置等導入促進助成事業について|公益社団法人 全日本トラック協会

ドライバー等安全教育訓練促進助成制度

ドライバーや安全運転管理者などを対象に、安全教育訓練の研修費用を助成する制度です。

事故削減やコンプライアンス強化を目的に、全日本トラック協会および各都道府県トラック協会が連携して実施しています。

【助成内容】
研修内容 日数 申請期間 助成金額 特記事項
一般研修 1泊2日 令和7年4月1日〜令和8年3月31日 一律1万円 指定研修に限る
特別研修 2泊3日 受講料の70%(最大) Gマーク認定事業所は全額助成

申請は各都道府県トラック協会から行ってください。

研修の予約は事前に各施設へ確認し、万が一中止になった場合は施設側から連絡が入ります。

近年、EC市場の拡大に伴い軽自動車での宅配需要が高まる一方、事業用軽自動車の重大事故件数が過去数年で約5割増加しています。

こうした背景から、軽貨物事業者では「貨物軽自動車安全管理者の設置」が義務つけられており、安全教育や安全管理の重要性が高まっています。

研修を受講する際は、助成金を上手に活用して安全管理に役立てましょう。

以下の関連記事では「貨物軽自動車安全管理者」について、業務内容や罰則など詳しく紹介しているので、あわせてご確認ください。

関連記事:『貨物軽自動車安全管理者とは

参考:令和7年度 ドライバー等安全教育訓練促進助成制度について|公益社団法人 全日本トラック協会

トラック運転者の「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」スクリーニング検査助成事業

トラックドライバーの健康管理と事故防止を目的に、SASスクリーニング検査費用の一部を助成する制度です。

全日本トラック協会と各都道府県トラック協会が連携して実施します。

【助成内容】
検査内容 助成金額 備考
第1次検査 費用の半額(上限500円/人) 健康保険適用外の検査のみ対象
第2次検査 費用の半額(上限2,000円/人)
両方同時実施 合計費用の半額(上限2,500円/人)

検査前に各都道府県トラック協会への事前申請が必要です。

提出書類は協会ごとに異なるため、所属協会の様式を使用してください。

検査機関は指定されているため、検査前に全日本トラック協会、もしくは各道府県トラック協会に問い合わせて確認しましょう。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)を持つトラックドライバーは、居眠り運転や注意散漫による事故リスクが約2.5倍に上昇すると報告されています。

重大事故を引き起こす前に、助成金を活用して睡眠時無呼吸症候群(SAS)スクリーニング検査を受け、安全運転と健康維持に努めましょう。

以下の関連記事では、居眠り運転の罰則や過去事例、防止策について詳しく紹介しています。居眠り運転の危険性への理解を深め、安全運転の意識を高めましょう。

関連記事:『居眠り運転

参考:令和7年度 トラック運転者の「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」スクリーニング検査助成事業について|公益社団法人 全日本トラック協会

血圧計導入促進助成事業

トラックドライバーの過労死や健康起因による事故を防ぐため、乗務前点呼での血圧測定を促進し、高機能な業務用全自動血圧計の普及を図る助成制度です。

【助成内容】
対象機器 対象事業者 助成金額
管理医療機器かつ特定保守医療機器である全自動血圧計(業務用) 各都道府県トラック協会会員の中小企業(資本金3億円以下または従業員300人以下) 機器取得費用の1/2(上限5万円)

血圧測定を習慣化することで、健康リスクの早期発見・事故防止につながります。

高血圧は心臓疾患の危険因子であり、心臓に大きな負担をかけます。

特にトラックドライバーの長時間労働や不規則な勤務時間は、心筋梗塞や不整脈などの心臓疾患を発症するリスクが高いと考えられており、過労運転や労働災害の原因になっています。

助成金を活用して血圧測定機器を導入し、ドライバーの健康と安全を守りましょう。

関連記事:『過労運転

参考:令和7年度 血圧計導入促進助成事業について|公益社団法人 全日本トラック協会

アイドリングストップ支援機器導入促進助成事業

アイドリングストップ支援機器や燃費改善機器の導入にかかる費用を助成する制度です。

燃料費の削減や環境負荷の軽減につながり、エコ対応への第一歩として多くの軽貨物業者が注目しています。

【助成内容】
対象機器 対象事業者 助成金額
・エアヒーター
・車載バッテリー式冷房装置
各都道府県トラック協会の会員事業者 機器取得価格の1/2以内の額(上限6万円)

省エネや環境対策に取り組みながら、ドライバーが休憩や荷待ち時にエンジンを止めても快適に過ごせるよう、労働環境の整備もすすめられます。

参考:令和7年度 アイドリングストップ支援機器導入促進助成事業について|公益社団法人 全日本トラック協会

若年ドライバー等確保のための運転免許取得支援助成事業

少子高齢化による人手不足の解消を目的に、若年層や外国人労働者をトラックドライバーとして確保するため、運転免許の取得にかかる費用を支援する制度です。

【助成内容】
項目 対象内容 補足
特例教習の講習 特例教習の講習費用 事業者が負担した場合のみ
準中型免許の取得 ①新規取得
②5トン限定解除
①は、普通免許取得後の準中型取得も含む
外国免許切替講習 外国人ドライバーの日本免許への切り替えに必要な講習

各都道府県トラック協会で助成金額や条件が異なるため、事前に確認しましょう。

また、トラック協会では、外国人就労者の雇用を検討している軽貨物事業者や、外国人特定技能制度を活用して、日本でトラックドライバーとして就労する方向けに、「学習用テキスト(日本語・英語・ベトナム語)」を公開しています。

軽貨物業界の担い手確保に貢献し、外国人就労者を雇用する事業者にとっては非常に有用です。

助成金やテキストを上手に活用し、担い手を確保しつつ、法令遵守の徹底や安全運転への意識づけに役立てましょう。

参考:令和7年度 若年ドライバー等確保のための運転免許取得支援助成事業について|公益社団法人 全日本トラック協会

中小企業大学校講座受講促進助成制度

トラック運送事業者の経営力強化・人材育成を目的に、中小企業大学校の講座受講にかかる費用を助成する制度です。

【助成内容】
対象講座 対象事業者 助成金額
①トップのための経営戦略、経営計画等に関する講座
②実践的な財務管理、利益計画等に関する講座
③管理者のための人材育成、労務管理等に関する講座
④女性リーダーの能力開発等に関する講座
⑤情報化、システム構築に関する講座
⑥その他物流事業に関する講座
各都道府県トラック協会会員の中小企業(資本金3億円以下または従業員300人以下)の経営者、後継者および管理者 受講料の1/3(国、自治体、他団体からの助成金の合計が受講料の2/3を超える場合は対象外)

中小企業大学校は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する「中小企業の人づくり」のための人材養成機関です。

現在、全国に9校および金沢キャンパス、四国キャンパス、WEB校(WEBee Campus)が設置されており、活力ある中小企業を養成するための高度で実践的な研修等が行われています。

講習を受講する際は、所属する各都道府県トラック協会に事前申請を行い、協会の承認後、中小企業大学校に受講手続きを行いましょう。

中小企業大学校から受講受け入れの通知があった後、受講料全額を直接納付してください。

受講終了後は、所定の書類を添付して、所属する各都道府県トラック協会に提出しましょう。

条件に基づき、協会から受講料の1/3が助成されます。

参考:令和7年度 中小企業大学校講座受講促進助成制度について|公益社団法人 全日本トラック協会

自家用燃料供給施設整備支援助成事業

運送事業者の燃料費対策を目的に、自社敷地内への軽油タンクなどの燃料施設の導入・増設費用を助成する制度です。

運行コストの削減と利便性向上を両立でき、長期的な経費削減につながります。

【助成内容】
対象事業 対象者 対象条件 申請期間 助成金額
1,000L以上の軽油タンクを伴う燃料供給施設の新設・増設・代替設置 各都道府県トラック協会の会員事業者、協同組合、連合会(過去に同様の助成を受けた場合は対象外。) 設備を設置し、令和7年4月1日〜令和8年2月27日までに、「完成検査済証の交付」を受け、設備の支払いを完了すること 令和7年8月1日〜10月31日(申請額が予算額1億円に達した場合は受付終了。) ・軽油タンクの新設:100万円
・軽油タンクの増設または増設を伴う代替:30万円

助成は1会員1施設までで、支払い完了には割賦契約の締結(支払明細の確定)も含まれます。

申請期間の初日などに申請数が予算総額を超過した場合、1件あたりの助成金額が減額される場合があります。

参考:令和7年度 自家用燃料供給施設整備支援助成事業について|公益社団法人 全日本トラック協会

自動点呼機器導入促進助成事業

運送事業者の安全性向上、労働環境の改善、人手不足対策を支援するため、業務後の自動点呼機器の導入費用を助成する制度です。

アルコールチェックや健康確認が一括で行える機器が対象となり、法令遵守と業務効率化が図れます。

【助成内容】
対象機器 助成条件 対象事業者 助成金額
国土交通省が認定した自動点呼機器(周辺機器、セットアップ費用、サービス利用料も含む) ・国土交通省の認定を受けた機器で令和7年4月1日以降に契約もしくは利用開始したもの。
・「業務自動点呼の実施にかかる届出書」の写しの添付が必須。
各都道府県トラック協会会員の中小企業(資本金3億円以下または従業員300人以下) ・1台分の対象機器の導入:上限10万円
・Gマーク認定の事業所がある場合は最大2台分:上限20万円

国土交通省が認定した機器は「運行管理高度化ワーキンググループ」のページ下部に掲載されています。

自動点呼のメリットや導入の流れについては、関連記事で詳しく解説しているので、業務効率化と法令遵守を両立するための第一歩として、ぜひ参考にしてください。

関連記事:『自動点呼とは

参考:令和7年度 自動点呼機器導入促進助成事業について|公益社団法人 全日本トラック協会

「働きやすい職場認証制度」認証取得費助成事業

運送業界の職場環境改善と人材確保を目的として、国土交通省が推進する「働きやすい職場認証制度」の認証取得にかかる費用の一部を助成する制度です。

【助成内容】
対象事業者 申請期間 助成金額
各都道府県トラック協会の管轄内に営業所を有する事業者など
(そのほかの対象条件は各都道府県トラック協会によって異なる)
令和7年4月1日〜令和8年2月27日(申請額が予算額に達した場合は受付終了) 10,000〜50,000円程度(各都道府県トラック協会によって異なる)

提出書類は、各都道府県トラック協会によって異なるため、事前にホームページなどで確認しましょう。

参考:都道府県トラック協会一覧|公益社団法人 全日本トラック協会

「働きやすい職場認証」を取得することで、職場環境の改善がすすみ、求職者に対する企業の魅力も高まります。

そのため、多くの運送事業者が助成制度を活用して、より良い職場づくりに取り組んでいます。

参考:
【令和7年度】働きやすい職場認証取得助成|一般社団法人京都府トラック協会
令和7年度「働きやすい職場認証制度」認証取得費助成事業について|一般社団法人東京都トラック協会

4. 軽貨物事業者向けの支援金

近年の物流・運送業界は、燃料費の高騰や物価上昇などの影響を大きく受けています。

こうした負担を軽減するため、国や自治体では貨物事業者向けに「支援金」制度を設けています。

そこで本章では、地方自治体が実施している燃料費対策の支援金について紹介します。

貨物運送事業者燃料費価格高騰対策支援金

ガソリンや軽油の価格上昇により経営が圧迫されている貨物運送事業者を対象に、一定額を給付する制度です。

主に地方自治体が行っている支援事業で、給付額は事業者の区分や車両台数に応じて変動し、自治体ごとに異なります。

軽貨物の場合、1台につき10,000〜30,000円程度、1事業者あたりの最大上限金額は100〜300万円程度です。

燃料費の一部を補填することで、安定した運送業務の継続を支援します。

申請には以下のような書類が必要です。

  • 申請書
  • 誓約書
  • 事業許可書や届出書
  • 事業活動が確認できる書類(所在証明書の写し、所得税青色申告決算書など)
  • 車検証の写し
  • 対象車両台数
  • 役員氏名
  • 本人確認書類(免許証など)の写し※個人事業主の場合
  • 振込先の口座情報  など

準備すべき書類や、対象事業者、支援金額は自治体によって異なるため、事前に公式ホームページや支援金制度の担当部署に確認しましょう。

参考:
貨物運送事業者への燃料価格高騰に対する支援金|神奈川県
第3時貨物運送事業者燃料高騰対策支援金|福岡県八女市

5. 申請時の3つの注意点

補助金や助成金、支援金は、国や自治体が定めた規定に基づいて支給されるため、申請時の対応や書類内容に不備があると、不支給になる可能性があります。

そこで本章では、申請時に特に気をつけたい3つのポイントについて解説します。

期限内に申請書を提出する

補助金や助成金は、申請期限が必ず設定されており、1日でも過ぎると受付不可になるケースがほとんどです。

補助金の場合、募集期間が短く、年に1回程度しか公募されないものもあるため、日頃から情報をチェックし、余裕を持って書類を準備することが大切です。

申請理由は分かりやすく丁寧に記載する

補助金や助成金の申請書には、「なぜこの支援を必要としているのか」を明確に記載する必要があります。

抽象的な表現は避け、自社の現状や課題、導入する設備の目的などを具体的に書くことが審査通過のポイントです。

「各段落はできるだけ簡素に、短い文章でまとめる」
「難しい言葉は使わず、必要に応じてわかりやすい説明を添える」
「信頼できるデータや統計をとって、数字の裏付けを明確に示す」
「図や写真を使用する」
などの工夫をしましょう。

特に義務項目の対応に必要な設備(アルコールチェッカー、自動点呼など)の導入は、その必要性を十分に訴えることが重要です。

書類の不備や記載漏れに注意する

申請書類に不備や記載漏れがあると、受理されず差し戻されることがあります。

支援金や助成金は簡易な手続きである反面、書類の正確性が重視されます。

差し戻された場合、受給のタイミングが遅れる可能性があるため、申請前に必ずチェックリストを使って内容を確認しましょう。

6. まとめ|補助金や助成金を活用し安全な軽貨物運送事業者を目指そう

本記事では、補助金や助成金の概要、軽貨物事業者が利用できる補助・助成制度、申請時の注意点について紹介しました。

軽貨物運送事業を安定して継続するためには、補助金や助成金、支援金といった公的制度を賢く活用することが欠かせません。

これらの制度を活用すれば、初期費用の軽減や設備投資、安全対策の強化などに役立ちます。

特にアルコールチェッカーの導入など、安全運行への取り組みは信頼性の向上にもつながります。

各制度の特徴と申請条件をしっかり理解し、計画的に申請を行いましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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