チェイサーとは?由来や役割・チェイサーにおすすめの飲み物・上手なお酒の飲み方について解説

バーやお酒の席などで、「チェイサー」という言葉を耳にしたことはありませんか?
チェイサーとは、アルコール飲料と一緒に飲む水やソフトドリンクのことで、口直しや酔いの回りをおだやかにする目的で用いられます。
また、悪酔いや二日酔いを防ぐ効果も期待できます。
一般的にチェイサーは水などのノンアルコール飲料とされますが、一部の文化では低アルコール飲料が用いられることもあります。
本記事では、チェイサーの役割や言葉の由来、チェイサーにおすすめの飲み物、上手なお酒の飲み方について詳しく解説します。
お酒をより美味しく、健康的に楽しむための知識を身につけましょう。
目次 / このページでわかること
1.チェイサーとは?
チェイサーの役割について知っている方は多いですが、言葉の由来や、水以外のチェイサーについては、あまり知られていないのではないでしょうか。
そこで本章では、チェイサーの意味や適した飲み物について、詳しく紹介します。
「チェイサー」の由来
チェイサーは、英語の「Chase(追いかける)」が由来と言われ、お酒を飲んだあとに追いかけるように飲むことから「Chaser(追いかけるもの)」と言われ始めたとされています。
実は、日本にも古くからチェイサーと同じ役割を持つ「和らぎ水」があります。
日本酒を楽しむ際に用意される常温の水で、飲んでいる日本酒の仕込み水と同じ水質の水を選ぶと、よりお酒の味わいを楽しめると言われています。
チェイサーはノンアルコール飲料とは限らない
チェイサーは一般的にノンアルコール飲料とされていますが、一部の文化では低アルコール飲料が用いられることもあります。
メインに楽しんでいるお酒よりも度数が低い飲み物をチェイサーと呼ぶ場合もあるため、必ずしも水などのノンアルコール飲料とは限りません。
また、バーなどでは、お茶やジンジャエールなど、お酒との相性を考えたチェイサーが提供されることがあるようです。
さらに、メキシコではテキーラを楽しむ際に、トマトジュースとオレンジジュースなどで作られた「サングリータ」と呼ばれるソフトドリンクがチェイサーのような役割を果たします。
2.チェイサーの4つの役割
チェイサーは単なる「お酒の合間に飲む水」ではなく、お酒をより楽しく味わうために、重要な役割を持ちます。
適切に取り入れることで、味覚をリセットしたり、脱水症状や二日酔いを防いだりと、さまざまなメリットがあります。
本章では、チェイサーの4つの主な役割について詳しく解説します。
味覚をリセットする
お酒の風味を存分に楽しむためには、味覚のリセットが欠かせません。
特にウイスキーやワイン、日本酒などの度数が高いお酒は、飲み進めるうちに舌や鼻が慣れ、本来の味わいや香りが分かりづらくなります。
次の一杯をよりクリアな状態で楽しむために、水や炭酸水などのソフトドリンクをチェイサーとして取り入れることがおすすめです。
脱水症状を防ぐ
アルコールには利尿作用があり、飲み過ぎると体内の水分が不足し、脱水症状を引き起こす場合があります。
「トイレが近くなるから水は飲まない」という方もいますが、症状が進むと、体のふらつき、頭痛、嘔吐などの体調不良を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
特に度数が高いお酒を飲む際は、こまめにチェイサーを取り入れることで、脱水症状による体調不良を防止しながらお酒を楽しめます。
悪酔い・二日酔いを防ぐ
アルコールの分解過程で生成される「アセトアルデヒド」は、頭痛や吐き気などの、悪酔いや二日酔いを引き起こす毒性物質であり、アセトアルデヒドの分解には水分が必要です。
アルコール度数が高い酒類を短時間で多量に摂取すると、体内でのアルコール代謝が追いつかず、血中アルコール濃度が急激に上昇します。その結果、最悪の場合、急性アルコール中毒を引き起こす可能性があります。
最後まで安全に楽しくお酒を楽しむために、こまめにチェイサーを飲むことが重要です。
関連記事:『悪酔いとは?防止する対策や二日酔いとの違い・酔い方の種類について解説』
『飲酒前・中・後の二日酔い対策を紹介|翌日の適切なケアやNG行動も解説』
お酒との相性を楽しむ
チェイサーは、単に口直しのためだけでなく、お酒との相性を楽しむ役割もあります。
たとえば、ウイスキーと炭酸水、日本酒と水、テキーラとトマトジュースなど、組み合わせ次第でお酒の風味をより引き立てられます。
お酒が強い方の中には、ビールなどの低アルコール飲料を間に挟むことで、味の変化を楽しむ方もいます。ただし、チェイサー本来の役割を考えると、基本的には水や炭酸水などのソフトドリンクが推奨されます。
適切なチェイサーを選ぶことで、お酒の楽しみ方が広がり、新たな味わいを発見できるかもしれません。
3.チェイサーを取り入れるべきお酒の種類とは?
チェイサーは、アルコール度数が高いお酒や、強い味わいを持つお酒を楽しむ際に取り入れられています。
特にアルコール度数が高い蒸留酒は、喉や胃の粘膜にダメージを与えるため、チェイサーを飲むことで、体への負担を軽減しながら飲酒を楽しめます。
そこで本章では、チェイサーを取り入れるべき代表的なお酒の種類について紹介します。
ウイスキー | アルコール度数が40度前後と高く、ストレートやロックで飲む場合は、チェイサーを飲むことで喉や胃への負担を軽減できます。 水や炭酸水がおすすめです。 蒸留所のマスターブレンダーや、プロのバーテンダーの間では、常温の軟水や仕込み水を選ぶ人が少なくないと言われています。 |
---|---|
日本酒 | アルコール度数が15度前後と、比較的高めです。 常温の軟水やミネラルウォーター、仕込み水がおすすめです。 熱燗を楽しむ時に、白湯が飲まれる場合もあります。 |
焼酎 | 芋焼酎や麦焼酎などの本格焼酎も、アルコール度数が25度前後と高いため、ストレートやロックで飲む場合は、チェイサーが必要です。 水や炭酸水が一般的ですが、フルーツジュースやお茶なども相性が良いとされています。 |
テキーラ、ラム、ウォッカ | アルコール度数が40〜50度前後と高く、メーカーによっては70度や90度を超えるお酒も作られています。 度数が高いお酒は、喉から胸にかけて焼けるような刺激を感じる場合があります。 喉や胃などの粘膜を保護するために、チェイサーは忘れず用意しましょう。 |
お酒の原材料や原産地次第で、相性が良いチェイサーが変化することがあります。
組み合わせのバリエーションが広がり、お酒の楽しみ方がより深まるでしょう。
度数が高いお酒を飲む際は、飲み過ぎに注意し、こまめにチェイサーをはさむように心がけてください。
4.チェイサーにおすすめの飲み物
お酒の味わいをより楽しみたい場合、チェイサーとして選ぶ飲み物を工夫してみましょう。
一般的に、水が飲まれることが多いですが、ウイスキーやワインなど、洋酒の原産地では水以外にもさまざまなチェイサーが親しまれています。
本章では、チェイサーにおすすめの飲み物を紹介します。
水
最も基本的なチェイサーは水です。
アルコールの吸収をおだやかにし、体内のアルコール濃度を薄める役割を果たします。
体に負担をかけないために、常温の水や白湯が良いとされています。
より美味しくお酒を味わいたい方は、水の種類にもこだわりましょう。
日本酒やウイスキーなどは、製造工程で水が使用されるため、製造元で使用されている仕込み水を選ぶと、よりお酒の風味を楽しめます。
仕込み水の用意が難しい場合は、硬度が合った水がおすすめです。
たとえば、スコッチウイスキーの仕込み水は軟水が多く、カナディアンウイスキーやアメリカンウイスキーの仕込み水は硬水が多いとされます。
硬度が合った水を準備することで、お酒の風味や香りをより感じられるので、お酒が好きな方は味の違いを楽しんでください。
お茶
緑茶や紅茶、ウーロン茶などは、口の中をさっぱりさせたい時におすすめです。
特に焼酎やウイスキーなどはお茶との相性が良く、すっきりとした後味を楽しめます。
ただし、お茶に含まれるカフェインは、アルコールによる酔いの変化を隠す作用があるため、飲み過ぎにつながる恐れがあります。
適量であれば安全にお酒を楽しめるので、過剰摂取しないように注意しましょう。
炭酸飲料
炭酸水はウイスキーとの相性が抜群です。
炭酸水にレモンやライム果汁、ミントなどを入れて香り付けすると、口の中をリフレッシュできます。
また、りんごのお酒「シードル」は、微量の炭酸ガスとりんごの爽やかな香りが特徴で、ウイスキーと一緒に楽しむ飲み方もあります。
ただし、シードルはアルコール飲料(度数2〜8%前後)のため、チェイサーとしてではなく、相性の良い組み合わせとして捉えるのがよいでしょう。
香りが強いバーボンには、ジンジャーエールがおすすめです。樽の香りや、バニラやココナッツのような甘く焦げたような味わいがあるため、生姜のキリッとした香りと、炭酸水の刺激で口の中をリセットできます。
野菜・フルーツジュース
テキーラの原産地であるメキシコでは、トマトジュース、オレンジジュース、ライムやスパイスがベースになった「サングリータ」と呼ばれるソフトドリンクがチェイサーとして親しまれています。
日本のメキシコ料理店でも、チェイサーとしてサングリータが提供されることがあります。
また、焼酎には柚子やカボスのジュースなども相性が良いとされています。
お酒の途中でひと休みしたい時や、お酒との意外な相性を楽しみたい時に試してみてください。
牛乳
牛乳はチェイサーとして優秀です。
特にアメリカンウイスキーのバーボンと相性が良いことが知られています。
牛乳がアルコールの刺激やツンとした香りを和らげるため、マイルドな味わいになり、寒い時期はホットミルクにして飲む人もいます。
また、「牛乳は飲酒の前に飲むと酔いづらくなる」と言われるように、胃や食道などの粘膜を保護し、アルコールの吸収をおだやかにすると考えられています。
ビール
お酒が強い方は、度数が低いアルコールを間に挟むことで、味の変化を楽しむのも1つの方法です。
海外の一部の文化や外国人が多い日本のパブでは、ウイスキーやテキーラを飲む際に、ビールを間に挟む飲み方が親しまれています。
これは「口直し」としての役割があり、特にクセのないすっきりとしたタイプのビールが好まれる傾向にあります。
ただし、ビールはあくまでアルコール飲料であり、一般的なチェイサー(ノンアルコールの水や炭酸水)とは異なります。アルコール摂取量が増える可能性があるため、飲み過ぎには十分注意が必要です。
このように、お酒の楽しみ方にはさまざまなスタイルがありますが、適量を守りながら楽しむことが大切です。
5.チェイサーで悪酔い防止|上手なお酒の飲み方とは?
お酒を楽しむ際に気をつけたいのが「悪酔い」です。
飲みすぎやアルコールの急激な吸収が原因で、頭痛やめまい、吐き気を引き起こす場合があります。
最後までお酒を楽しむために、チェイサーを上手に取り入れ、飲み方を工夫することが大切です。
本章では、お酒を快適に楽しむためのポイントを3つ紹介します。
お酒と同量以上のチェイサーをこまめに飲む
アルコールには脱水作用があるため、水分補給が欠かせません。
日本酒の蔵元や酒造組合では「上手な日本酒の飲み方」として、日本酒と同量以上の和らぎ水を交互に飲むことが推奨されています。
水を飲むことで、アルコールの吸収を抑え、肝臓や胃への負担を軽減できるため、意識的にチェイサーを取り入れましょう。
食事と一緒にお酒を楽しむ
お酒を飲む時は、食事と一緒に楽しく飲むことが理想です。
肝臓に負担をかけないために、空腹時の飲酒を避け、良質なタンパク質、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれるおつまみを選ぶようにしましょう。
また、家で飲む時は、お酒や料理に合わせて器を変えてみたり、季節の食材を楽しんだりすることもおすすめです。
充実した晩酌時間を過ごすために、自分なりに工夫してみましょう。
体質に合った飲み方を心がける
飲酒による体の影響には個人差があり、無理に飲み過ぎると悪酔いの原因となります。
自分に合った飲酒量を把握し、飲むスピードをコントロールすることが大切です。
お酒に弱い人の場合、遺伝的にアセトアルデヒドの分解能力が低い、もしくは機能していない体質であると考えられています。
最近では、自宅でアルコールの体質検査を行えるサービスが広がっており、唾液を採取して返送するだけで結果を受け取れます。
関連記事では、実際にアルコール体質検査キットを使用した弊社従業員の体験談を紹介しています。
検査費用が気になる方や、お酒との付き合い方を身につけたい方は、ぜひ参考にしてください。
6.まとめ|チェイサーを工夫して充実した晩酌時間を過ごそう
本記事では、チェイサーの由来や役割、チェイサーにおすすめの飲み物、上手なお酒の飲み方について解説しました。
適切なチェイサーを取り入れることで、お酒の味わいを引き立て、飲みやすさが向上します。また、悪酔いや二日酔いの予防、体への負担軽減にもつながり、より快適にお酒を楽しめます。
ウイスキーや日本酒には仕込み水、テキーラにはサングリータなど、お酒の種類に合わせたチェイサーを選ぶと風味のバランスが整い、より深い味わいを堪能できます。
自分に合ったチェイサーを見つけ、お酒との相性を楽しみながら、健康を意識して楽しい晩酌時間を過ごしましょう。