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二日酔いで運動やトレーニングがNGな5つの理由|軽い有酸素運動やサウナは大丈夫?

「運動して汗をかけば二日酔いが治る」と言われることがありますが、実はあまりおすすめできません。基本的に激しい運動やトレーニングはNGとされています。

運動をすると一時的にスッキリした気分になることがありますが、これは気分がリフレッシュしたり、アドレナリンが分泌されたりすることで起こる一時的な現象にすぎません。

体内では、アルコールやその代謝産物(アセトアルデヒドなど)が分解されきっていない状態が続いているため、無理に体を動かすと脱水症状や体調の悪化を招く恐れもあります。

結論、二日酔いを早く解消するためには水分補給と休息が最も効果的です。

それでも「運動すると少し楽になる気がする」という声があるのは確かです。

「二日酔いのときに、運動は身体にどのような影響を与えるのでしょうか?」
「二日酔いを無理なく回復させる方法はあるのでしょうか?」

本記事では、上記のような疑問を詳しく解説します。

1.二日酔いの症状の原因はアセトアルデヒド

二日酔いの主な原因は、アルコールが体内で代謝される過程で生じる「アセトアルデヒド」という有害物質です。

アルコールは肝臓でまずアセトアルデヒドに変化し、さらに酢酸へと分解されますが、このアセトアルデヒドが血中に長くとどまると、頭痛、吐き気、倦怠感などの二日酔いの症状を引き起こします。

また、アルコールには利尿作用があるため、脱水状態になることも症状を悪化させる原因の1つです。

このような影響が重なることで、二日酔いの症状はより辛く感じられます。

対策としては、水分補給を十分に行い、アセトアルデヒドが体外に排出されるまで休息することが大切です。

以下の関連記事では、アルコールの分解経路についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:『アルコールが抜ける時間は?分解時間の計算方法|飲酒後の運転は何時間後から大丈夫?

アセトアルデヒドは汗腺から排出されにくい?

「運動やサウナなどで、大量の汗をかけば二日酔いが早く治る」と考える方は多いようですが、実際にはその原因となっているアセトアルデヒドは、汗腺からほとんど排出されません。

アセトアルデヒドの分解は肝臓が担っており、酢酸を経て最終的に二酸化炭素と水に分解され体外に排出されます。

汗や尿で多少の排出はありますが、その量は全体のごくわずかです。具体的には、呼気から0.7%、汗から0.1%、尿から0.3~4%が排出されるとされています。これらの経路で排出される量は少なく、汗をかくことで二日酔いが劇的に改善することは期待できません。

むしろ、二日酔い時に運動やサウナで無理に汗をかくと、脱水症状が悪化し、かえって体調が悪くなることもあります。

二日酔いを改善するためには、肝臓の働きをサポートする水分補給と休息が効果的です。

参考:アルコールの吸収と分解|e-ヘルスネット(厚生労働省)

2.二日酔いでの運動・トレーニングがNGな理由5選

二日酔いの状態で運動やトレーニングを行ってしまうと、予期せぬ事故や体調不良を起こしてしまう可能性があります。

そこで、本章では二日酔いの状態で、運動やトレーニングがNGである理由を以下5つ紹介します。

  • 集中力が続かず怪我をする可能性がある
  • 脱水症状が悪化するリスク
  • 血管が膨張し動悸が起こる
  • 運動・トレーニングの効果が得られにくい
  • 自転車やモータースポーツでは飲酒運転のリスクがある

それぞれ解説します。

集中力が続かず怪我をする可能性がある

二日酔いの状態では、体内に残ったアルコールが神経系に影響を与え、集中力や判断力が著しく低下します。

その結果、普段であればやらないような動作ミスやフォームの乱れが発生しやすく、転倒や捻挫などリスクが増加します。

特に、筋肉トレーニングやランニングのように正しいフォームを維持することが重要な運動では、フォームが崩れることで関節や筋肉に過剰な負荷がかかり、思わぬ怪我につながることもあるので注意しましょう。

その中でも、高重量を扱うトレーニングの場合(ベンチプレスやスクワット)、怪我のリスクはさらに大きくなりますので、細心の注意が必要です。

脱水症状が悪化するリスク

アルコールには強い利尿作用があり、二日酔いのときはすでに脱水状態に陥っていることが多いです。

この状態で運動をすると、汗でさらに水分が失われ、脱水症状が悪化する恐れがあります。

脱水が進行すると、頭痛やめまい、倦怠感が増し、重症化すれば熱中症と同様の症状を引き起こすこともあります。

特に夏場の屋外での運動は体温調節が追いつかなくなり、危険度が増しますので、控えることをおすすめします。

血管が膨張し動悸が起こる

二日酔いのときはアルコールの影響で血管が拡張しており、運動によってさらに血流が増えると動悸が起こりやすくなります。

心拍数が急激に上がることで、胸の圧迫感や息苦しさを引き起こし、心臓への負担が大きくなります。

また、血流が早くなることで、アセトアルデヒドが身体全体を回るスピードも増すため、二日酔いの症状が悪化することも考えられます。

運動・トレーニングの効果が得られにくい

二日酔い時(特に脱水状態)は筋肉のエネルギー源であるグリコーゲンが不足しやすくなり、運動のパフォーマンスが著しく低下します。

特に、筋トレでは十分な力が出せず、狙った筋肉に負荷をかけることが難しくなり、トレーニング効果を得られにくくなります。

また、いつもの重量が扱えないことによる怪我のリスクも大きくなると考えられます。

有酸素運動の場合も、二日酔いの時は、体がアルコール代謝にエネルギーを使っているため、ペースが維持しづらく、息切れや疲労感がいつもより早く訪れます。

結果的に、普段なら達成できる距離や強度に届かず、運動効果が得られにくい状態となります。

参考:二日酔いの元凶はアルデヒドだけじゃない!?|日本経済新聞 / Overview: how is alcohol metabolized by the body?|National Library of Medicine

自転車やモータースポーツでは飲酒運転のリスクがある

二日酔いの状態は体内にアルコールが残っているケースが多く、その状態で自転車やバイクを運転すると飲酒運転とみなされることがあります。

アルコールの代謝速度には個人差があるため、「これくらいなら大丈夫だろう」と感じていても、実際には基準値を超えている場合もあるでしょう。

また、自転車競技やモータースポーツでは、速い動きの中で正確な操作が求められますが、体内にアルコールが残っていると反応速度が低下し、一瞬の判断ミスが大きな事故につながる危険性があります。

二日酔いの状態で、乗り物を操作する運動は、基本的に避けるべきです。

3.【Q&A】二日酔いや運動に関するよくある質問

本章では、二日酔いや運動に関するよくある質問を紹介します。

二日酔いの状態で行う軽い運動の効果や、サウナで症状の解消ができるのか、などの疑問を解消します。

  • 二日酔い時に軽いウォーキングやジョギングは効果的?

    二日酔い時に激しい運動は避けるべきですが、軽いウォーキング程度であれば体を適度に動かし、気分転換につながることもあります。

    水分補給が絶対条件ですが、軽い運動で二日酔いが楽になる方もいるようです。

    その日の体調や、個人差もありますので、様子をみながら無理のない範囲で行いましょう。

    また、長時間の運動や負荷の大きい運動は、体に負担をかけるため基本的には控えるようにしましょう。

  • 二日酔い時でも安全にできる運動はある?

    二日酔い時は基本的に安静にすることが最善ですが、どうしても体を動かしたい場合は、軽いストレッチや、短時間の散歩程度であれば試してみてもよいでしょう。

    ストレッチは血流を促し、凝り固まった筋肉をほぐす効果が期待できます。

    また、短時間のリラックス目的で行うヨガのような低負荷な運動もおすすめです。

    ただし、激しい運動は脱水症状や動悸を引き起こすリスクがあるため、基本的には控えるようにしましょう。

  • サウナで汗をかけば二日酔いが楽になる?

    二日酔い時に「サウナで汗をかけばアルコールが抜ける」と思われがちですが、実際には大きな効果は期待できません。

    二日酔いの原因であるアセトアルデヒドは主に肝臓で代謝されるので、汗からの排出量はごくわずかです。

    むしろ、サウナは大量の汗をかくため、脱水症状が助長され、さらに体調を悪化させる可能性があります。

    二日酔い時にサウナは避け、まずは十分な水分補給と休息をとることが大切です。

  • 二日酔いにならないためにできる対策は?

    二日酔いを防ぐために、飲酒前、飲酒中、飲酒後とそれぞれのシーンで対策をしましょう。

    飲酒前では、「あらかじめ食べ物を胃に入れておく」「二日酔い対策のドリンクを飲む」などがおすすめです。

    また、飲酒中はチェイサーを飲みながら、ゆっくりとしたペースでお酒を楽しむように心がけましょう。

    飲酒後は、小まめな水分補給と睡眠時間の確保が大切です。

    以下の関連記事では、飲酒前、飲酒中、飲酒後それぞれの二日酔い対策を紹介しています。ぜひ参考にしてください。
    関連記事:『飲酒前・中・後の二日酔い対策を紹介|翌日の適切なケアやNG行動も解説

  • アルコールが抜けるまでにどのくらい時間がかかる?

    アルコールが完全に抜けるまでの時間は、体格や性別、代謝能力などによって異なりますが、一般的な目安として1時間に約0.1g/kgのアルコールが分解されると言われています。

    たとえば、体重が60kgの成人男性の場合、ビール中瓶1本(アルコール量約20g)の分解には約4〜5時間かかる目安です。

    飲酒量が増えるほど代謝に必要な時間は延びるため「もう大丈夫だろう」と思っても、実際には体内にアルコールが残っているケースがあります。

    また、アルコールを早く抜くための方法は基本的にはありません。

    水分補給や休息をしながら体内で自然に分解されるのを待つことが唯一の方法ですので、運転や仕事前には十分な時間を確保し、安全を最優先にしてください。

4.まとめ|二日酔いのときは運動を控えて水分摂取と休養を

二日酔いはアルコールの影響で体がダメージを受けているような状態です。頭痛や吐き気、倦怠感など、その症状は人によって異なります。

「運動して汗をかけば治る」という説もありますが、実際には運動がかえって症状を悪化させることがほとんどです。

特に激しい運動やサウナは、脱水症状を引き起こし、さらに体調を悪化させる原因になるため、控えるようにしましょう。

二日酔いを早く改善するには、水分補給と十分な休養が最も効果的です。体内のアルコールが自然に分解されるのを待ちながら、無理をせず体調の回復を待ちましょう。

また、二日酔いを防ぐためには、飲酒前後の適切な対策も欠かせません。アルコール分解の過程で生成されるアセトアルデヒドは、二日酔いの原因の1つと考えられています。

正しい知識を身につけ、無理のない方法で健康を維持しながらお酒を楽しみましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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