お酒で顔がむくむ原因とは?むくみのメカニズムや予防法・解消法を解説

お酒を飲んだ翌朝、顔がパンパンにむくんでしまった経験はありませんか?
楽しい飲み会の後に、鏡を見て驚くこともあるでしょう。
実は、お酒による顔のむくみには、体内の水分バランスや血流の変化が大きく関係しています。
むくみのメカニズムについて正しい知識を持つことで、お酒によるむくみの予防・解消が可能です。
そこで本記事では、むくみのメカニズムを解説し、飲酒後のむくみを予防・軽減する方法や、翌朝のむくみの解消法について紹介します。
目次 / このページでわかること
1.むくみはなぜ起きる?
むくみとは、体内の水分バランスが崩れ、細胞間に余分な水分が溜まることで起こる現象です。
人間の体は、約60%が水分で構成されており、2/3が筋肉や脂肪などの細胞内に存在し、1/3が血管やリンパ管、細胞間などの細胞外に存在します。
むくみを引き起こす水分は、細胞間に存在する細胞間質液が関係しています。
【細胞間質液とは?】
細胞と細胞の間に存在する液体のことで、組織液・細胞間リンパ液とも呼ばれます。
血管と細胞を行き来し、酸素や栄養を細胞に届けたり、老廃物を血管やリンパ管に運んだりする働きをしています。
お酒や塩分を摂り過ぎると、細胞間質液が過剰に増え、血管やリンパ管の流れが悪くなります。そして、流れが滞ることで、血管やリンパ管に運ばれるはずの水分が細胞間に過剰に溜まり、皮膚が膨張することでむくみが発生します。
2.むくみが起きる6つの原因
むくみは生活習慣や食事の影響を受けやすく、自分でも気付かないうちに、むくみを悪化させている可能性があります。
そこで本章では、むくみの主な原因として考えられる6つの原因について解説します。
① 長時間同じ姿勢をとっている
デスクワークや長時間の立ち仕事など、同じ姿勢をとり続けると、血液やリンパの流れが悪くなり、むくみが生じやすくなります。
むくみはどの部位でも起こりますが、とくに足は心臓から遠く、重力の影響を受けるため、血流が滞りやすいです。
血流が滞ると、血管やリンパ管から水分がしみ出やすく、余計な水分が溜まり、むくみが発生します。
② 女性特有のむくみ
女性はホルモンバランスの影響を受けやすく、生理前や妊娠中、更年期には特にむくみやすくなります。
また、女性は男性に比べて筋肉量が少ないため、血液の循環が滞りやすく、むくみや冷えに悩む方も多く見受けられます。
③ 薬の副作用
市販の鎮痛剤や非ステロイド鎮痛剤を服用すると、尿として排泄される水分が少なくなるため、顔がむくむ場合があります。
また、気管支喘息、腎臓病、膠原病、アレルギー疾患などの治療に利用される、副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)でも、同じようにむくみやすくなると言われています。
薬の服用によるむくみが気になる場合は、医師や薬剤師に相談し、適切な対策を取ることが大切です。
④ 水分の摂り過ぎ・水分不足
水分の摂り過ぎも、不足も、むくみの原因になります。
人間の体は、1日に約2.5リットルの水分を排出していますが、体の水分バランスが崩れることで、むくみやすくなります。
水分を摂取し過ぎた場合、水分の排出が間に合わずむくみやすくなり、水分不足の場合、体が水分を溜め込もうと働きかけ、むくみにつながります。
⑤ 塩分の摂り過ぎ
人間の体には、元の状態に戻ろうとする機能「ホメオスタシス(恒常性)」が備わっています。
塩分を摂り過ぎると、体内の塩分濃度が上昇するため、ホメオスタシスが元の正常な塩分濃度を保つために、水分を溜め込むよう働きかけます。
これが結果として、水分が体内に余分に溜まり、むくみにつながります。
⑥ お酒の飲み過ぎ
アルコールには、体内の水分を奪う作用があります。
お酒を飲み過ぎると、血管内の水分が失われ、血中アルコール濃度が上昇します。
すると体は危険を回避するために、水分を血管内に取り込もうと働きかけ、取り込んだ水分の一部がむくみとなって現れます。
また、アルコールには利尿作用もあるため、喉の乾きを感じやすいです。
喉の渇きを潤すために水分を多量に摂取すると、水分代謝がうまく行われず、むくみやすくなります。
3.飲酒後に顔が腫れるほどむくむ場合は病気の可能性も
お酒を飲んだ翌朝に顔がむくむ場合、単にアルコールの摂り過ぎが原因と考えられます。
しかし、まぶたが腫れるほど顔がパンパンにむくむ場合は、単なる飲み過ぎではなく、何らかの病気のサインかもしれません。
とくに、腎臓病では水分の調節機能が低下するため、顔のむくみが目立ちやすくなると言われています。
また、肝臓はアルコール代謝を担う重要な臓器ですが、日常的な飲酒習慣や大量飲酒が続くと、肝臓に大きな負担がかかるため脂肪肝や肝硬変などのアルコール性肝障害のリスクが高まります。
飲酒後に顔が腫れるほどむくむ場合は、単なる二日酔いと思わず、早急に医療機関を受診し、医師や専門家の判断を仰ぐようにしましょう。
また、健康リスクを下げるために、定期的に休肝日を設け、肝臓をはじめとする消化器官を修復させるように心がけましょう。
4.お酒の席でできる3つのむくみ予防
お酒を飲んだ翌朝、顔や体がむくむのは多くの人が経験することですが、飲み方の工夫で予防が可能です。
そこで本章では、お酒の席で実践できる、むくみを軽減する方法を3つ紹介します。
① 自分に合った飲酒量を心がける
日本人における、1日あたりの純アルコール摂取量の目安は、20g程度(女性・高齢者・お酒に弱い人はそれ以下)が適正飲酒とされています。
ビールならロング缶1本(500ml)、日本酒なら1合(180ml)弱が目安です。
ただし、アルコールの代謝能力は、体質、年齢、性別などによって個人差があるため、人によって目安量が異なる可能性があります。
そのため、自分がどの程度の飲酒量で酔いがまわり、どのような状態になるか知ることが大切です。
無理な飲酒を回避するために、アルコール遺伝子検査など、手軽に試せるサービスを利用して、自分の体質を理解することも1つの方法です。
② 塩分の高い食べ物を控える
塩分の高い食事は喉の渇きを引き起こしやすく、その結果ついついお酒を飲み過ぎてしまい、むくみの原因になることがあります。
そのため、外食する場合、ラーメンなどはスープを残したり、お寿司や刺身などは醤油をつけ過ぎたりしないように工夫すると減塩が可能です。
さらに、生ハムや明太子、漬物などの塩漬け食品も塩分濃度が高いため、むくみを予防したい方は、塩辛い食べ物を避けるように心がけましょう。
③ タウリンやカリウムを多く含む食材を摂る
タウリンは、肝臓のアルコール代謝をサポートする栄養素と言われています。
タコ、イカ、シジミ、牡蠣、アサリなどの魚介類に多く含まれているため、お酒を飲む際は、魚介類をチョイスするとむくみ予防として効果的です。
また、アボカドやほうれん草、さつまいもや大豆に多く含まれるカリウムは、体内の塩分を排出する働きがあります。
バナナやイチゴ、キウイやメロンなどの果物などにも多く含まれているため、食後のデザートに果物を選ぶのもおすすめです。
5.お酒を飲んだ翌日におすすめ|顔のむくみ解消法4選
お酒を飲むと体内の水分バランスが崩れるため、翌朝に顔がむくみやすくなります。
しかし、正しいケアを行えば、すっきりとした顔を取り戻すことが可能です。
そこで本章では、お酒を飲んだ翌日におすすめのむくみ解消法を4つ紹介します。
① マッサージ
ボディクリームやベビーオイルなど、すべりの良いものを準備しましょう。
適量を手に取り、顔の中心から外に向かって、円を描くようにのばします。
次に、頬→こめかみ→耳→首→鎖骨の順で、優しくなぞるように流します。
その後、鎖骨の上下にあるくぼみをさすりましょう。
鎖骨や耳の周辺には、老廃物を流すリンパ管が集中しています。
顔のむくみを解消したい場合は、老廃物をリンパ管に流すことを意識して、マッサージを行いましょう。
② 蒸しタオル
顔を温めると血行が改善されるため、むくみの解消につながります。
最初に、水で濡らしたタオルをしっかり絞り、電子レンジで1分程度温めます。
顔にゆっくり乗せ、上から優しく手で抑え、2〜3分程度待ちましょう。
加熱し過ぎたタオルは、乾燥や赤みの原因になると言われているため、気持ちよさを感じる温度まで下げてから顔に乗せるようにしましょう。
また、蒸しタオルをあてた後は、保湿も忘れずに行いましょう。
③ 漢方薬
一時的な顔のむくみを解消したい場合は、市販の漢方薬もおすすめです。
水分代謝を促す「五苓散(ごれいさん)」や、体を温めて血行の改善を促す「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」は、顔のむくみ改善に効果的と言われています。
ただし、副作用が出る場合があるため、使用する際は用法・用量を守り、持病がある方は、薬剤師や漢方専門医、かかりつけ医などに事前に相談してください。
また、市販の漢方薬は慢性的に使うのではなく、一時的な症状に対処したいときに使用することをおすすめします。
④ 温水冷水で交互に洗顔
温水と冷水で交互に洗顔すると、血管の収縮と拡張が繰り返されるため、老廃物や余計な水分が代謝され、むくみが解消されやすいと言われています。
また、血行が促進するとメイクのりもよくなります。
シャワーで温度を変えながら洗顔し、最後に保湿を忘れず行いましょう。
6.まとめ|お酒によるむくみはセルフケアで対策・解消しよう
本記事では、むくみのメカニズムやむくむ原因、むくみの予防法と解消法について解説しました。
お酒によるむくみは、アルコールによる水分バランスの乱れが主な原因です。自分に合った飲酒量を守り、食事内容を工夫することでむくみ予防につながります。
また、飲酒後や翌朝にむくむ場合は、マッサージや蒸しタオル、漢方薬などを取り入れることでむくみを素早く解消できます。
顔が腫れるほどむくむ場合は、病気の可能性が疑われるため、早めに医療機関を受診し、医師の指示を仰ぎましょう。