悪酔いとは?防止する対策や二日酔いとの違い・酔い方の種類について解説
お酒を飲むと楽しい気分になり、つい飲むペースが速くなったり、飲酒量が増えてしまったりしがちです。
適量のお酒を楽しむことは、ストレス解消やコミュニケーションが円滑になるなど、さまざまなメリットがあります。
しかし、体質によっては「悪酔い」しやすい人もおり、お酒が好きで普段はたくさん飲む方でも、体調次第では頭痛、吐き気、めまいなどの症状が現れることがあります。
そこで本記事では、悪酔いを防ぐための具体的な対策や「二日酔いとの違い」「酔い方の種類」「酔う原因」について詳しく解説します。
目次 / このページでわかること
1.悪酔いとは?二日酔いとの違い
お酒を飲むと気分が高揚し、楽しい時間を過ごせる一方で、悪酔いや二日酔いに悩まされる場合もあります。
悪酔いと二日酔いの症状こそ似ていますが、その原因は異なります。
そこで本章では、悪酔いと二日酔いの違い、それぞれの特徴について詳しく紹介します。
悪酔いとは?
悪酔いとは、飲酒中や飲酒直後に、頭痛や吐き気などが引き起こされた状態を指します。
アルコールの過剰摂取や、飲むペースが速すぎることで悪酔いしやすくなると考えられています。
飲酒後30分~2時間程度で、血中アルコール濃度がピークに達し、頭痛や吐き気などの不快な症状が現れます。
また、記憶が飛ぶ、暴れる、他人に執拗に絡むなど、いわゆる「酒乱」とも言える状態を「悪酔い」と表現することもあります。
専門用語では「異常酩酊」と言い、お酒に酔って心身が正常に働いていない状態を指します。
二日酔いとの違い
悪酔いと二日酔いは、どちらもアルコールによる不快な症状を表す言葉ですが、発症する時間や原因が異なります。
悪酔いは飲酒後30分〜2時間程度で症状が現れるのに対し、二日酔いは、飲酒後8時間以上経過してから引き起こされます。
飲酒後に体調不良を感じる場合は「悪酔い」、翌日以降に体調不良を感じる場合は「二日酔い」と考えると分かりやすいでしょう。
また、悪酔いの主な原因は、「アセトアルデヒド」であると言われています。
アセトアルデヒドは、アルコール分解過程で生成される毒性物質であり、血中濃度が高まると、頭痛や吐き気などの悪酔い症状を引き起こします。
一方で、二日酔いの原因は完全に解明されていません。
現段階では、以下の要因が関係していると考えられています。
- 軽度の離脱症状
- ホルモン異常による脱水や低血糖
- 体の酸塩基平衡(酸性・アルカリ性のバランス)の乱れ
- 炎症反応
- アセトアルデヒドの影響
- お酒に含まれるメタノールや不純物
2.悪酔いは大きく2種類|単純酩酊と異常酩酊
お酒を飲んだ際の酔い方には、主に「単純酩酊」と「異常酩酊」の2種類があります。
それぞれ症状や原因が異なり、適切な飲酒対策を行うことで、悪酔いを防ぐことが可能です。
そこで本章では、単純酩酊と異常酩酊について詳しく解説します。
単純酩酊とは?
飲酒後のアルコール血中濃度に応じた酔い方を「単純酩酊」と言います。
酔いが進むと、感情が不安定になったり、普段と違う性格が出たりすることはあります。しかし、異常に興奮したり、不自然な行動をとったりすることはありません。
また、単純酩酊には血中アルコール濃度に応じて6ステージに分けられます。
ステージ | 血中アルコール濃度 | 症状 |
---|---|---|
爽快期 | 0.02〜0.04% |
|
ほろ酔い期 | 0.05〜0.10% |
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酩酊初期 | 0.11〜0.15% |
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酩酊極期 | 0.16〜0.30% |
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泥酔期 | 0.31〜0.40% |
|
昏睡期 | 0.41%以上 |
|
イッキ飲みのように、短時間で大量のアルコールを摂取する飲み方は、血中アルコール濃度が急上昇し、脳が麻痺して呼吸中枢が正常に機能しなくなるおそれがあります。
また、急性アルコール中毒による救急搬送や死亡事故は、毎年のように発生しています。そのため、短時間での大量飲酒は絶対に避けましょう。
異常酩酊とは?
飲酒後のアルコール血中濃度に相反した酔い方を「異常酩酊」と言います。
叫ぶ、怒るなどの激しい興奮状態を伴う酔い方であり、酒乱とも呼ばれます。
異常酩酊は、血中アルコール濃度とは関係なく強く酔ってしまう状態であり、遺伝や精神状態が原因と考えられています。
また、異常酩酊は「複雑酩酊」と「病的酩酊」の2種類に分類されます。
複雑酩酊とは?
複雑酩酊とは、飲酒によって気分の変化が激しくなり、些細なことで不機嫌になったり、大声でわめくなどの興奮状態を指します。
持続時間が長く、激しい感情のアップダウンを繰り返すのが特徴です。
複雑酩酊は、アルコールの摂取によって、平常時では抑えられている脳機能の衝動性や未熟な部分が表面化する現象と考えられています。
ただし、酩酊時の記憶や判断力は保たれている場合が多いため、突発的な犯罪行為や事故などを起こした際の責任能力が求められます。
病的酩酊とは?
病的酩酊とは、幻覚が見えたり、周囲の状況を認識できなくなったりする異常な酔い方です。
少量の飲酒でも、突然激しい興奮状態になり、本人は翌日まったく覚えていないのが特徴です。
病的酩酊は、幻覚や妄想によって重大な犯罪を引き起こす危険があります。しかし、原則として刑事責任は追求されません。
異常酩酊は繰り返すことが多く、事件や事故につながる危険性が高いため、速やかに専門の医療機関を受診し、禁酒を始めることが推奨されています。
3.悪酔いしやすい人の特徴
悪酔いしやすい人には、体質や生活習慣に共通する特徴があります。
あらかじめ悪酔いの原因を知ることで、悪酔いを防止することが可能です。
本章では、悪酔いしやすい人の特徴について詳しく紹介します。
アルコールの代謝能力が低い
女性は男性に比べて体格が小さいため、血中アルコール濃度が上がりやすく、悪酔いしやすい傾向があります。
また、高齢者の場合、代謝機能が低下し、体内の水分量が減少するため、アルコール分解がスムーズに行われず、悪酔いしやすくなります。
さらに、アルコールの代謝能力は体質によって大きく異なります。
とくに日本人は、アセトアルデヒドを分解する「ALDH2」という酵素の働きが弱い、もしくは機能していない人が多いと言われています。
そのため、少量の飲酒で悪酔いしやすい人や、お酒を飲むと顔が赤くなる人は、飲み方を工夫する必要があります。
精神的ストレスがかかっている
アルコールには気分を和らげる効果があるとされ、適量であればストレス解消につながり、心身に良い影響をもたらすと言われています。
しかし、異常酩酊を繰り返す場合、極度の疲労や衰弱、アルコール依存症など、深刻な精神的ストレスを抱えている可能性があります。
このような場合は、早期に専門機関を受診し、必要に応じて断酒を検討することが求められます。
異常酩酊を放置し、飲酒量が増え続けると、肝臓や胃腸に負担をかけ、がんや臓器障害などのリスクが高まるだけでなく、不眠や集中力の低下を招くおそれがあります。そのため、早期の対策が必要です。
4.お酒を飲む「前・最中・後」にできる悪酔い防止対策
悪酔いを防ぐためには、お酒を飲む「前」「最中」「後」の3つのタイミングで適切な対策をとることが重要です。
飲酒前後のケアや飲み方を工夫することで、お酒を楽しみながら悪酔いを防ぐことができます。
そこで本章では、お酒を飲む「前」「最中」「後」に実践できる悪酔い防止対策について紹介します。
お酒を飲む「前」の悪酔い防止対策
飲み始める30分〜1時間前に、食べ物を入れておくことで、悪酔いを防止できる可能性があります。
コンビニでおにぎりを1個食べたり、温かいスープなどの液体を飲んだりするのも良いでしょう。
食べ物をつまむ時間がない場合は、水やソフトドリンクを飲むだけでも悪酔い防止になります。
また、コンビニやドラッグストアで販売されている栄養補助ドリンクは、肝臓の働きを助けるため、お酒を飲む前に飲んでおくと安心です。
栄養補助ドリンクを飲む際は、用法・用量を守るようにしましょう。
お酒を飲んでいる「最中」の悪酔い防止対策
血中アルコール濃度の急上昇を抑えることで、悪酔いを防止できます。
そのため、度数が低いサワーや酎ハイから飲み始め、ビール、日本酒やワイン、焼酎の順で飲むのがおすすめです。
また、合間に水を飲むのも効果的です。途中で水を飲むことで、体内の水分量が増え、血中アルコール濃度の上昇がおだやかになります。
さらに、アルコール分解を助けるタンパク質、ビタミンB群、ビタミンCを多く含む食材を食べるのも悪酔い防止対策として有効です。
おすすめの食材は、枝豆やチーズ、レバーや生ハム、トマトやピーマンなどです。
どれも居酒屋料理の定番メニューに使用されることが多いため、意識して料理を選ぶと良いでしょう。
お酒を飲んだ「後」の悪酔い防止対策
お酒を飲んだ後にしっかり水を飲むことで、血中アルコール濃度を下げ、悪酔いを防ぐ効果が期待できます。また、アルコール代謝に必要な栄養素を含むスポーツドリンクやフルーツジュースもおすすめです。
アルコールには利尿作用があり、脱水状態になりやすいため、飲酒後は積極的に水分を補給しましょう。
さらに、翌日の二日酔いを防ぐためには、十分な睡眠時間を確保することも大切です。
5.日頃からできる悪酔いを防止する対策
悪酔いを防ぐためには、飲酒時だけでなく、健康的な生活習慣の心がけが大切です。
日頃からできる対策を実践することで、悪酔いしにくい体を作り、飲酒時のトラブルを防ぐことができます。
そこで本章では、日頃からできる悪酔い防止対策について2つ紹介します。
① 休肝日をつくる
アルコールの代謝は、主に肝臓で行われます。
慣れない飲酒や、習慣的な飲酒は肝臓に負担をかけるため、週に1~2日程度の休肝日を設けることをおすすめします。
また、アルコールは依存性があるとされており、日常的に飲酒習慣がある場合、アルコール耐性がつき、飲酒量が徐々に増加する傾向があります。
飲酒量が増えると、アルコール性肝障害や脂肪肝、肝炎、肝硬変などを引き起こすリスクが高まります。
休肝日を設けることで、肝臓に関連する病気を予防する効果が期待できるため、健康が気になる方は、積極的に休肝日を取り入れましょう。
② アルコール体質検査を行う
自分のアルコールに対する体質を知ることも、悪酔いを防ぐ重要な対策のひとつです。
アルコール体質検査では、アルコールを分解するALDH2酵素の働きが、どれほど強いかを把握できます。
検査結果をもとに、自分に合った飲酒量やお酒の種類を選ぶ目安がわかるため、悪酔い防止につながります。
最近では、自分で検査キットを購入し、口腔粘膜を採取して返送することで、検査機関から結果が届くサービスも登場しています。
以下の関連記事では、実際にアルコール体質検査を受けたレポートを掲載しています。ぜひ参考にしてください。
関連記事:『【体験談】アルコール体質検査を体験|適切な飲酒量を把握して上手に付き合おう』
6.まとめ|上手なお酒の飲み方を心がけ悪酔いを防止しよう
本記事では、悪酔いのメカニズムや二日酔いとの違い、悪酔いを防ぐための対策について紹介しました。
悪酔いは、飲酒前・飲酒中・飲酒後の対策を適切に行うことで、防ぐことが期待できます。
事前に食事をとる、飲むペースをコントロールする、しっかり水分補給をするなど、基本的なポイントを意識することが大切です。
また休肝日を設けたり、自分の体質を理解することで、悪酔いのリスクを軽減できます。
上手な飲み方を心がけ、健やかにお酒を楽しみましょう。