Fleet(フリート)とは?契約内容やメリット・デメリット、注意点を紹介
物流業界の2024年問題の解決策として、注目を集める「Fleet(フリート)」をご存知ですか?
フリートは、主に複数台の車両を保有している事業者に提供されるサービス全般を意味し、業務効率の向上や、コスト削減が可能です。
そこで本記事では、フリートとは何か、その契約内容やメリット・デメリット、導入時の注意点を解説します。導入を検討している事業者の方や、車両管理者の方は、本記事を読めばフリートの全容を把握できるので、車両管理や運行管理にお役立てください。
目次 / このページでわかること
1.Fleet(フリート)の意味
フリートとは、英語で「艦隊」を意味し、そこから派生して、企業などが保有する全車両(船舶、航空機も含む)を指します。
現在は、トラック・バス・営業車・レンタカーなど、業務用車両を指すことが一般的です。
これに関連して、複数の車両を企業にまとめて販売することをフリート販売、自動車保険ではフリート契約、車両管理ではフリートマネジメントといいます。
なお、自動車保険のフリート契約では、使用台数によって契約条件や保険料が大きく変化するため、加入前にフリート契約の仕組みを確認することが大切です。
2.Fleet(フリート)契約とノンフリート契約の違い
企業向けの自動車保険には「フリート契約」「ノンフリート契約」といった契約方式があり、複数の車両をまとめて保険に加入できます。また、その中間に位置する「ミニフリート契約」も近年注目されています。
複数の車両をまとめて契約することで、効率的な車両管理やコスト削減が可能です。ただし、保有台数や契約目的によって契約内容が変化するため、自社にとって適切な保険内容の契約が求められます。
そこで本記事では、「フリート契約」「ノンフリート契約」「ミニフリート契約」について解説します。
フリート契約とは?
フリート契約とは、車両を10台以上保有している企業や所有者を対象とした、自動車保険の契約方式です。契約は車両1台ごとではなく、会社単位(所有者単位)で一括して行います。
フリート契約条件の例は以下の通りです。
- 車検証の「所有者名」と「使用者名」が保険契約者の名義であること
- リース期間が1年以上あること
- 所有権留保条項付売買契約(月賦販売)によって購入した車両であること
- 保険契約者自身が使用している車両であること
契約方式は契約者が選べるものではなく、10台以上保有している場合、自動的にフリート契約に切り替わります。改造車の場合、改造内容や使用目的によっては、契約不可になる可能性があることを覚えておきましょう。
ノンフリート契約とは?
ノンフリート契約とは、保有車両が1〜9台の企業や所有者を対象とした契約方式です。フリート契約と同様に、契約者は契約方式を選べません。
また、保険会社によって引き受け対象外となる場合があります。たとえば、「自家用8車種以外の車両」「黒地または緑地ナンバープレートの車両」などです。
ノンフリート契約では、車両1台ごとに契約を行います。また、最大35歳まで段階的に年齢条件設定がある点が特徴です。
保険料の割り増し率は、「前契約の契約期間」「ノンフリート等級(※)」「事故有係数適用期間」「事故件数」などによって決まります。
※ノンフリート等級とは
契約者の事故の有無によって、1〜20の等級に分けられ、等級に応じて保険料が増減します。事故がないほど高い等級になり、保険料が割引されます。
無事故で20等級に該当する場合、最大63%の割引率が適用可能です。
ミニフリート契約とは?
ミニフリート契約とは、保有車両が3〜9台の企業や所有者を対象とした契約方式です。ミニフリート契約では、会社単位(所有者単位)で、複数台を一括して契約します。
車両台数に応じて保険料が割引されるため、ノンフリート契約より割引率が高いのが特徴です。保険会社によっては2台目から契約可能で、家族全員の自家用車をミニフリート契約するケースがしばしばみられます。
ただし、ミニフリート契約が適用できる車両は、契約者本人・配偶者・同居の家族である場合に限られます。別居している家族の車両は適用外です。
なお、保険会社によって「セミフリート契約」「複数台割引」と呼ばれ、名称が異なります。
以上のとおり、契約方式によってさまざまな特徴があり、企業や個人に適した契約方式を選ぶことで、保険料を抑えたり、手続きの手間を無くせます。
3.Fleet(フリート)契約のメリットとデメリット
フリート契約は、契約時の手間がかからないため、車両管理者や経営者にとって魅力的な選択肢です。しかし、フリート契約にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。
そこで本章では、契約前に知っておきたい、フリート契約のメリットとデメリットについて解説します。
フリート契約のメリット
フリート契約のメリットは以下のとおりです。
- 保険料の割引率が高い
- 年齢制限がない
- 契約の手間がかからない
ノンフリート契約の割引率が最大63%に対し、フリート契約では、最大70%〜80%まで割引率が上がります。すべての車両が割引対象なので、保険料を大幅に削減可能です。
また、年齢制限がなく車両を一括で契約できるため、契約時の手間を省けます。
加えて、フリート契約中に増車した場合でも、毎月1回増減の連絡を行えば、余計な手続きを行う必要はありません。
フリート契約のデメリット
フリート契約のデメリットは以下のとおりです。
- 事故を起こすと全車両の保険料が上がる
- 9台以下になると自動的にノンフリート契約になる
- ダイレクト型自動車保険での加入が難しい
フリート契約で事故を起こした場合、次年度の保険料が上がります。運送事業者など、日常的に車両を運行する企業の場合、1年間のうちに事故が相次ぐと、大幅に保険料がアップします。
またフリート契約では、10台以上の車両がある場合のみ契約可能なため、9台以下の状態で満期日を迎えると、更新日を待たずに自動的にノンフリート契約に切り替わります。
ノンフリート契約になると、割引率が異なり、車両1台ごとに契約が必要です。
さらに、保険料が安い通販系のダイレクト型自動車保険では、フリート契約を販売していないケースが一般的です。
ダイレクト型で取り扱いをしているのは、主にノンフリート契約であり、事故のリスクの高さや保険料の仕組みが異なることから、フリート契約は意図的に取り扱われていません。
フリート契約を行う場合は、代理店型の保険会社への加入が必要です。
4.Fleet(フリート)契約の切り替えの注意点
フリート契約は、10台以上の車両を保有している企業が対象であり、9台以下になると自動的にノンフリート契約に切り替わります。
そこで本章では、保有台数の増減による、契約切り替えの注意点について解説します。
フリート契約からノンフリート契約
フリート契約中に、保有台数が9台以下になる場合、ノンフリート契約へと自動的に切り替わります。
ただし、減車後すぐに切り替わるわけではなく、次の満期日までに10台以上保有していれば、フリート契約は継続されます。
9台以下の状態で満期日を迎えた場合、更新日を待たずに、ノンフリート契約へと切り替わるため注意が必要です。ノンフリート契約は、車両1台ごとに契約が必要なため、手間がかかります。ノンフリート契約への切り替えが見込めるのであれば、早めに保険会社に相談しましょう。
ノンフリート契約からフリート契約
ノンフリート契約中に、保有台数が10台以上になると、自動的にフリート契約に切り替わります。
ただし、ダイレクト型自動車保険でノンフリート契約を行っていた場合、同じ保険会社でフリート契約ができない可能性が高いです。
ダイレクト型自動車保険では、フリート契約の取り扱いがないのが一般的なので、新たに代理店型自動車保険でフリート契約を行う必要があります。
最初から代理店型自動車保険に加入している場合は、引き続き同じ保険会社に連絡を入れることで、フリート契約に切り替えが可能です。
5.2024年問題で注目が高まるフリートマネジメントとは?
フリートマネジメントとは、企業が保有する車両を適切に管理し、運行の効率化を図るための仕組みを指します。
主に、配送業務を行う企業、営業者を多く保有する企業で採用されており、車両の位置情報の把握・配車指示・コスト削減・業務効率化・燃料消費量のモニタリング・ドライバーの労務管理などが行われています。
また、フリートマネジメントを支える重要なツールとして、「デジタコ」が注目されています。
デジタコは、車両の運行状況を自動で記録するデジタル式の運行記録計です。デジタコでは、走行速度・距離・急ブレーキ・車両の位置情報・アイドリングなどが記録可能です。
記録したデータは、メモリーカード保存やクラウド保存ができるため、データ管理が簡単で、データを活用して、燃費改善やムダなアイドリングの削減、安全運転指導に役立てられます。
フリートマネジメントにドラレコを活用することで、業務効率の向上やコスト削減、ドライバーの健康を守ることが可能です。
6.フリートマネジメントの6つのメリット
フリートマネジメントを行うことで、主に6つのメリットが得られます。
- ・最適な運行ルートの提案ができる
- ・コストの削減ができる
- ・売り上げアップにつながる
- ・事故のリスクを下げられる
- ・法令遵守の徹底につながる
- ・管理者の負担が減る
フリートマネジメントでは、リアルタイムで車両の位置情報や道路状況を収集でき、渋滞や事故が発生した際は、事務所からドライバーに対して、最適な運行ルートの指示が可能です。
また、取引先からの急な依頼や注文にも素早く対応できたり、運行データをもとに、燃費の良いルートやCO2排出量が少ないルートを指示できたりします。これにより、売り上げアップやコスト削減が可能になります。
さらに、デジタコやアルコールチェッカーのデータをもとに、事故の多発地点や、ドライバーの稼働状況・健康状態を把握できるため、事故のリスクを下げることが可能です。
加えて、フリートマネジメントを行うことで、法で定められた定期点検や車検の漏れを防ぎ、法令遵守を徹底することができます。
経営者や車両管理者にとって、複数の車両を適切に管理することは大きな負担であり、どのようにして負担を減らすかが、2024年問題を解決する鍵となります。
フリートマネジメントに取り組むことで、車両に関する情報管理や適切な人員配置、記録データの保存・管理が簡単に行えるため、納得のいく車両管理が行えていない企業や、今後、車両台数を増やす予定の企業は、フリートマネジメントに取り組んでいきましょう。
7.まとめ|Fleet(フリート)契約で効率的な車両管理を
本記事では、フリート契約について、契約方式や条件、ノンフリート契約との違い、切り替え時の注意点などについて解説しました。
フリート契約は、10台以上の車両を保有する場合に必要な自動車保険であり、車両数が多い企業にとって、コスト削減が見込めます。ただし、事故による割引率の低下といったデメリットがあるため、自社にとって適切な契約方式を選び、デジタコなどを活用した、フリートマネジメントへの取り組みも重要です。
本記事で紹介した内容を参考に、安全で効率的な車両管理を目指しましょう。