車の盗難防止対策5選|盗まれた時の対応方法と対策グッズも5つ紹介
近年、高級車やスポーツカーなどの盗難が多発しており、テレビやネットニュースなどで注目されています。鈍器などを用いて強引に盗難されるわけではなく、高性能なツールや手口を用いての車の盗難が増加しており、しっかりとした対策が欠かせません。
そこで本記事では、車の盗難防止対策やグッズを紹介するとともに、万が一、盗難にあった場合の適切な対応も解説します。
愛車を守るために、今すぐできる盗難防止対策をチェックして、安心・安全のカーライフを楽しみましょう。
目次 / このページでわかること
1.車の盗難防止の必要性は?
車の盗難は、愛車を失うだけでなく、翌年度以降の保険料が上がる原因にもなります。「自分は大丈夫」と安心せずに、万が一の事態に備えての盗難防止対策が必要です。
大手自動車メーカーでは、最新の盗難防止システムを搭載するなど、近年は車の盗難防止に向けた取り組みが強化されています。
そこで本章では、車の盗難防止の必要性を確認するために、車両盗難の動向や、狙われやすい車両の共通点について解説します。
盗難件数は減少傾向
日本の車両盗難件数は、ピーク時に比べると減少しているものの、依然として多発しています。実際に、車両盗難被害にあったケースをみてみると、以下のような特徴があります。
キーなし
被害にあった車両の4台に3台が、盗難時にキーなしの状態。
カーナビやナンバープレートも被害
カーナビやナンバープレートが盗まれる被害も発生。
盗んだナンバープレートは、警察の捜査を逃れるため、他の犯罪に利用される可能性が高い。
不正販売・不正輸出
車両を解体して他の車両と合体させて、不正に登録を受けて販売。カーナビなどの部品を販売。中古品として海外に不正輸出して販売といった特徴がみられる。
犯罪組織の資金源
車の盗難は犯罪組織が関与しており、不正販売で得た資金を、別の犯罪に利用している特徴がみられる。
車の盗難には以上のような特徴が共通してみられます。また、テレビやネットで注目されたことにより、防犯意識の向上や警察の監視強化が作用して、被害は減少傾向にあります。ただし、盗難防止対策を行わない場合、依然として盗難リスクが高いため、個人での防犯対策が必要です。
5つの地域に被害が集中している
令和5年度の、都道府県全体の車の盗難件数は5,762件でした。車の盗難は、千葉県、愛知県、埼玉県、茨城県、神奈川県の上位5県だけで、被害全体の55.6%を占めています。
また、無被害の都道府県はなく、地方の被害件数が微増している傾向にあります。盗難被害が少ない地域に住んでいても、いつどこで愛車が狙われてもおかしくありません。
車の保管場所を人目の多い場所にしたり、防犯設備が整った駐車場を利用したりするなど、日頃から防犯意識を高めることが必要です。
盗難されやすい車種は?
警視庁が発表した、令和6年上半期における車種別盗難被害は以下の通りです。
メーカー | 車名 | 盗難台数(※) |
---|---|---|
トヨタ | ランドクルーザー | 590 |
アルファード | 303 | |
プリウス | 287 | |
レクサスLX | 112 | |
レクサスRX | 80 | |
ハイエース | 60 | |
ダイハツ | ハイゼット | 55 |
トヨタ | クラウン | 44 |
レクサスLS | 44 | |
スズキ | キャリイ | 44 |
(※)「盗難台数」とは、盗難車両手配がなされた車名が明らかな車両であり、ミス等を含まないため、犯罪統計における自動車等認知件数とは異なる。なお、小型トラック・中型トラック・大型トラックは含まない。
車の盗難においては、新しい年式の車両のほか、西暦2000年以前に製造された古い年式の車が狙われることもあります。また、小型トラック・中型トラック・大型トラックの盗難被害も増えており、事業用車両の盗難防止対策が今後さらに必要になると考えられます。
2.すぐにできる車の盗難防止対策
防犯対策を徹底することで、車の盗難被害を回避できます。そこで本章では、すぐに実行しやすい5つの盗難防止対策について紹介します。
車の盗難被害に遭わないために、紹介する内容を参考にしてください。
駐車場・車庫に対策する
車を安全に保管するためには、まず駐車場や車庫の防犯対策が重要です。以下のような、盗難防止対策がおすすめです。
- セキュリティライトをつける
- 防犯カメラを設置する
- 防犯ステッカーを貼る
- 壁や他の車と密接して駐車する
- セキュリティがしっかりしている駐車場、車庫に駐車する
- 明るい駐車場、車庫に駐車する
駐車場所や、駐車の仕方次第で、盗難リスクを大きく下げられるため、車に近づきにくくする工夫を行いましょう。
鍵の保管場所を工夫する
自宅内であっても、玄関近くに鍵を置くとリレーアタックなどで電波をキャッチされる危険があります。
スマートキーを使用する車に乗る方は、電波遮断ケースや専用ポーチを使って、キーを保管することがおすすめです。
お菓子を入れるブリキ缶やアルミ缶も一定の効果がありますが、完全に防げるわけではないため、できるだけ専用の電波遮断ケースなどに保管するようにしましょう。
短時間の駐車でも施錠する
買い物や用事の合間などの短時間でも、車を離れる際には必ず施錠しましょう。
短時間であれば安心しがちですが、後をつけて、人目が少ないタイミングを狙う窃盗犯も少なくありません。施錠せずに車を離れると、財布やスマホなども盗難に遭う可能性があります。
短時間の駐車でも、必ず施錠するよう心がけましょう。
車盗難の手口を把握する
車盗難の手口は主に以下の4つです。
CANインベーダ攻撃
車のCAN(内部の通信配線)に直接接続し、不正操作を行う盗難手法。車の自動システムを乗っ取り、エンジン始動やドアロック解除ができてしまう。
リレーアタック
スマートキーの微弱な電波をキャッチして、遠隔で車のロック・エンジン始動を不正に行う盗難手法。電波を盗み取ることで、キーがなくても車を動かせてしまう。
コードグラバー
スマートキーのロック・アンロック信号を読み取り、複製したのち、車の解錠・エンジン始動を行う盗難手法。特定の周波数で発信された信号を記録し、後から悪用する。
その他の盗難手口
ドアロックのピッキング。窓ガラス破壊による物理的な盗難。また、GPS妨害装置をつけて、防犯装置を無効化する盗難手法もある。
窃盗犯は、あらゆる手口を使って盗難を企てます。車の盗難被害に遭わないために、施錠を忘れず行い、盗難防止グッズなどを利用することが重要です。
車の盗難防止グッズを利用する
車の盗難防止グッズの利用は、効果的で簡単にできる対策のひとつです。
たとえば、ハンドルロックやタイヤロックを使用することで、物理的な盗難が難しくなります。また、電波遮断ケースや専用ポーチでのキーの保管は、リレーアタックによる盗難防止になります。
またGPS追跡装置を設置し、万が一、盗難に遭った場合の対策も行いましょう。盗難手法は、車の機能に合わせて変化するため、新たな手法に対応した盗難防止グッズを活用しましょう。
次の章で、防犯グッズ、サービスを5つ紹介します。
3.車の盗難防止グッズ・サービス5選
車の盗難手法は時代とともに変化しているため、最新の手法に対応した盗難防止グッズやサービスの活用がおすすめです。
そこで本章では、基本の盗難防止グッズから、現代の盗難手口に対応したサービスについて紹介します。
ハンドルロック
ハンドルロックは、ハンドル部分に長い棒状の専用バーを装着する盗難防止グッズです。
ダイヤル式や鍵式のハンドルロックがあり、物理的な盗難や、リレーアタックによるエンジンの始動を防ぐことができます。また、見た目で盗難防止をアピールでき、抑止効果も期待できます。取り付けが簡単で、2,000〜7,000円程度で購入可能です。
他にも、ブレーキペダルロックなどもあるため、自分が扱いやすい盗難防止グッズを活用しましょう。
タイヤロック
タイヤロックは、タイヤホイールにリング状の器具を装着する盗難防止グッズです。
タイヤの回転を防ぐためのロックで車が動かせなくなり、盗難防止効果が期待できます。とくに長時間の駐車や、野外駐車場での防犯対策におすすめです。
赤色や黄色のタイヤロックが多く、一瞬で目を引くため、見た目で盗難防止をアピールできます。
イモビライザー
イモビライザーは、正規のキー以外で、エンジンが始動しないようにする電子式の防犯システムです。
車とキーに搭載する防犯システムであり、それぞれに事前に登録されたIDを、微弱な電波をキャッチして照合し、一致した時だけエンジンを始動させる仕組みです。
車のキーの形状が一致しても、IDが異なるとエンジンは始動できません。多くの車に標準装備されていますが、後付けで設置することも可能です。
追跡アプリ・GPS
追跡アプリ・GPSは、車の現在位置をスマホなどでリアルタイムで確認できる防犯グッズです。
手のひらサイズのGPS発信機を車に装着し、地図アプリで車の位置情報を確認できます。強力な磁石が内蔵されており、走行中にはがれ落ちる心配がありません。また、内蔵電池を用いる装置が多く、30日程度で電池の交換が必要です。
追跡アプリ・GPSは、万が一、盗難にあった場合、すぐに位置情報を特定し早期発見に役立てられます。
車両追跡サービス
車両追跡サービスは、プロの監視センターが、24時間体制で車の動向を監視する盗難防止サービスです。
異常を検知するとすぐに通報され、車の所有者の要請後にオペレーターが位置を特定します。必要があれば警察と連携して、盗難車両の早期発見が可能です。
サービスの利用には、「月額料金の支払い」「専用機器の取り付け」「警察への被害届の提出」などの条件があるため、事前に確認して利用しましょう。
4.車が盗まれたらどうする?
万が一、車が盗まれた場合は、素早い対応が重要です。まずは落ち着いて被害状況を確認しましょう。
被害状況が確認できたら、本章で紹介する手順を踏むことで、被害を最小限に抑え、早期発見につながります。もしもの時に備えて、対応手順を確認しておきましょう。
警察・保険会社へ連絡する
車の盗難に気づいたら、まずは警察に通報し現場に来てもらい、可能な場合に限り、その場で警察に被害届を作成・提出しましょう。
届出には、登録番号(ナンバープレートの番号)や車台番号が必要なので、車検証のコピーの保管をおすすめします。また、後日、盗難届を警察に提出し「受理番号」を発行してもらいましょう。
盗難対応の車両保険に加入している場合は、保険会社に連絡して、保険金の受け取りを行ってください。手続きの際は、警察で発行された受理番号が必要です。
GPSや追跡サービスを確認する
車にGPS装置を設置していたり、追跡サービスを利用していたりする場合は、すぐに位置情報を確認しましょう。リアルタイムで車の位置情報が確認できるため、警察に情報を共有することで、早期発見に役立ちます。
最近の盗難手口では、警察の捜査を逃れるために、盗んだ後はすぐにヤード(車の解体施設)に車を持って行かず、周辺の駐車場やコインパーキングに1週間〜1か月程度、駐車するケースがあります。
その間に車の位置情報を特定することで、安全に車を取り返せる可能性があります。
5.車が盗難された事例
車の盗難は依然として多発しており、盗難手口も多様化しています。これから起こるかもしれない盗難被害に備えて、過去の盗難事例をチェックし、盗難防止に役立てましょう。
・2024年6月
成田空港を利用するために、周辺の駐車場に止めていた車が盗難。深夜に事務所に侵入し、客が預けていた鍵を持ち出し、計9台の車が盗まれた。千葉県にあるヤード(車の解体施設)に運ばれ、一部の部品は売却されたとみられる。犯行グループがこれまでに盗んだ車両台数は323台、総被害額は7億円以上。
・2024年10月
大阪や奈良で自動車窃盗を行った男2人が逮捕。CANインベーダーを用いてレクサスやアルファードを中心に窃盗を繰り返していた。輸出目的であったとみられ、盗まれた車のうち1台が横浜税関で見つかり、輸送先が中東だったことから組織的な犯罪として警察が捜査中。これまでの被害額は1億6,000万円にのぼる。
・2024年11月
茨城・千葉県警の合同捜査により、車両窃盗容疑で日本人とスリランカ国籍の男4人が逮捕。茨城・千葉・群馬・埼玉・栃木の5県で、ハイエースやエルフなどの貨物自動車を窃盗。民家やホテル、会社の駐車場から夜間に盗んだ車を、ヤードに持ち込んで解体し、部品を国内の業者に販売していた。これまでに盗んだ車両台数は110台、総被害額は1億円以上。
以上の通り、車の盗難は組織的に行われるケースが多く、被害額も膨れ上がっています。現在でも、車の盗難に関するニュースは数多く報道されているので、一度調べてみることをおすすめします。
犯行手口をチェックし、防犯意識を高めていきましょう。
参考記事:自動車盗難が多い都道府県 1位千葉 3位埼玉 なぜ?|NHK / 【速報】レクサスとアルファード狙いか|Yahoo!ニュース / ハイエース大量窃盗 110台超、容疑で4人逮捕 被害1億円|Yahoo!ニュース
6.まとめ|車の盗難対策を複数組み合わせるのが大事
本記事では、車の盗難防止対策の必要性や、おすすめの盗難防止グッズ、過去の窃盗事例について紹介しました。
車両盗難の犯行手口は多様化しており、複数の防犯グッズやサービスを掛け合わせることで、効果が期待できます。また、日頃からこまめに施錠したり、万が一、盗難にあった場合は、GPSで位置情報を確認するなど素早い対応が重要です。
大切な愛車を守るために、本記事で紹介した防犯グッズや対策方法を参考にしてください。