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飲酒運転の同乗者も罪に問われる?罰則対象になる基準や刑罰の内容・取り調べ時の対応を解説

飲酒運転はドライバーだけでなく、状況に応じて同乗者も罪に問われます。飲酒運転による重大な事故を起こした場合、罰金だけでなく懲役を科されることも。

そこで本記事では、飲酒運転の同乗者が罰せられる基準や罰則内容について詳しく解説します。他にも取り調べ時の適切な対応や、お酒や車を提供した人への罰則について紹介しますので、飲酒運転の危険性を十分に理解し、安全意識を高めるきっかけにしてください。

1.飲酒運転の定義|酒気帯び運転と酒酔い運転の違い

飲酒運転は、アルコールを含む飲食物を摂取し、アルコールを体内に保有した状態で運転する行為です。

平成19年に飲酒運転の厳罰化、平成21年に行政処分の強化が行われ、飲酒運転を行ったドライバーには厳しい罰則が設けられています。

飲酒をすると、情報処理能力、注意力、判断力が著しく低下し、重大な交通事故につながる危険性があります。絶対に飲酒運転をしないよう心得ましょう。

なお、飲酒運転は「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類があります。

酒気帯び運転と酒酔い運転の違い
 呼気中アルコール濃度違反点数運転者への行政処分(運転免許)運転者への刑事処分
酒気帯び運転呼気1リットル中のアルコール濃度0.15mg以上0.25mg未満13点免許停止90日(※2)3年以下の懲役または50万円以下の罰金
呼気1リットル中のアルコール濃度0.25mg以上25点免許取り消し、欠格期間2年(※2、3)
酒酔い運転 ※1数値の判断ではない35点免許取り消し、欠格期間3年(※2、3)5年以下の懲役または100万円以下の罰金

※1・・アルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態
※2・・前歴及びその他累積点数がない場合
※3・・「欠格期間」とは、運転免許の取り消し処分を受けた者が運転免許を再度取得できない期間のこと

酒気帯び運転より、酒酔い運転の方が罰則は重いです。また、ドライバーの飲酒運転の事実を知りながら運転を許容した同乗者には罰則が科されます。

参考:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警察庁

 

関連記事:『【2024年】飲酒運転の概要と現状について|罰則と行政処分・防止するためにできること

2.飲酒運転の同乗者も罰則対象に|判断基準とは

飲酒運転の同乗者は「飲酒運転同乗罪」の対象です。

同乗者が罰則対象になる判断基準は「ドライバーの飲酒運転の事実を知っているかどうか」です。
「自動車免許を持っていないから、飲酒運転同乗罪について知らなかった」という言い訳は通用しません。また、飲酒運転同乗罪は乗車位置に関係なく成立します。

同乗者がドライバーの飲酒運転の事実を知らなかった場合、同乗者は処罰の対象になりません。

とはいえ、飲酒運転が発覚した後の取り調べで「飲酒運転を知らなかった」と主張しても「ドライバーと一緒にお酒を飲んでいた」「ドライバーからお酒の匂いがする、顔が赤い」といった明らかな客観的証拠がある場合は、同乗者も罰則の対象になる可能性が高いです。

3.飲酒運転の同乗者に対する罰則内容

飲酒運転の同乗者に対する罰則内容は、「ドライバーが酒気帯び運転か酒酔い運転か」で変わります。また、同乗者に対する罰則は「刑事処分」と「行政処分」の2つがあり、被害者がいる場合は損害賠償責任も発生します。

本章では、飲酒運転の同乗者に対する罰則について詳しく解説しますので、飲酒運転の罪の重大さを改めて確認しましょう。

刑事処分

ドライバーが酩酊状態であることを知りながら、「酒酔い運転」の車両に同乗した場合、同乗者には「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられます。

ドライバーが「酒気帯び運転」であることを知りながら同乗した場合、「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられます。

飲酒運転の同乗者への罰則を分かりやすくまとめたものが下記の表です。

飲酒運転の種類同乗者への刑事処分
酒気帯び運転2年以下の懲役、または30万円以下の罰金
酒酔い運転3年以下の懲役、または50万円以下の罰金

なお、飲酒運転による事故を起こし、同乗者にも責任を負わせるのが相当であると判断された場合、「幇助犯」「教唆犯」「共同正犯」として刑事処分が下されます。

参考:道路交通法 第65条(酒気帯び運転等の禁止)|e-Gov法令検索

 

関連記事:『酩酊とは?単純酩酊の酔い方6ステップと異常酩酊の罪について解説

行政処分

飲酒運転の同乗者は、ドライバーと同等の行政処分が下されます。詳しい内容は以下のとおりです。

飲酒運転の種類同乗者への行政処分
酒気帯び運転(呼気1リットル中のアルコール濃度0.15mg以上0.25mg未満)違反点数13点
免許停止90日
酒気帯び運転(呼気1リットル中のアルコール濃度0.25mg以上)違反点数25点
免許取り消し(※欠格期間2年)
酒酔い運転違反点数35点
免許取り消し(※欠格期間3年)

※「欠格期間」とは、運転免許の取り消し処分を受けた者が運転免許を再度取得できない期間のこと

参考:飲酒運転の罰則等|警視庁

損害賠償責任

飲酒運転による物損事故や人身事故を起こした場合、事故の状況によっては同乗者にも損害賠償責任が生じます。

ドライバーは加入する保険によって損害賠償の支払いが補償されますが、同乗者においては、ドライバーもしくは同乗者本人が加入している保険によって、賠償額が大きく変わります。

場合によっては、同乗者は全額自己負担の可能性があることを覚えておきましょう。

4.酒類や車両を提供した人に対する罰則内容

飲酒運転による度重なる悲惨な事故を受けて、酒類提供者や車両提供者にも厳しい罰則が科されるようになりました。

そこで本章では、酒類や車両を提供した人に対する罰則内容を解説します。

酒類提供者への罰則内容

飲酒運転をするおそれがある者に対して酒類をすすめたり提供した場合、「酒類提供罪」に該当し、刑事処分が科されます。処分内容は、ドライバーの飲酒運転の状況によって異なります。

飲酒運転の種類酒類提供者への刑事処分
酒気帯び運転2年以下の懲役、または30万円以下の罰金
酒酔い運転3年以下の懲役、または50万円以下の罰金

なお、飲酒運転をすることを知らずに、単にお酌をする行為などは、酒類提供罪に該当しません。飲酒運転の恐れがある者に対して、「一杯だけなら大丈夫」「近所だから」とお酒をすすめた場合は、酒類提供罪に該当します。

車両提供者への罰則内容

ドライバーの飲酒の事実を知りながら車両を提供した場合、「車両提供罪」に該当します。酒類提供罪と同じく、ドライバーの飲酒運転の状況によって処分内容が異なります。また、車両提供者への刑事処分は運転者と同じ内容になります。

飲酒運転の種類車両提供者への刑事処分
酒気帯び運転3年以下の懲役、または50万円以下の罰金
酒酔い運転5年以下の懲役、または100万円以下の罰金

車両の所有者が使用を許可する、車の鍵を渡すなどの行為があった場合に、車両提供罪の対象になります。

 

参考:飲酒運転の罰則等|警視庁

5.飲酒運転の同乗者として取り調べを受ける場合の対応

飲酒運転の同乗者として取り調べを受ける場合、警察から厳しい取り調べを受ける可能性があります。突然のことでパニックにならないよう、冷静に対応することが重要です。

事実と異なる供述をすれば、別の罪に問われる可能性があるため、取り調べを受ける際は、誠実な対応を心がけましょう。

逮捕された場合

飲酒運転による事故の重大さや被害状況によっては、飲酒運転同乗罪で同乗者も逮捕される可能性があります。逮捕された場合、警察で48時間、検察で24時間の身柄拘束を受けます。

また、さらなる取り調べの余地があると判断された場合、最長で20日間の身柄拘束(勾留)を追加で受けるため、操作には積極的に協力し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断してもらえるよう、誠実に対応しましょう。

呼び出しがあった場合

任意で取り調べの呼び出しがあった場合、積極的に協力してください。

仮に、罪を逃れようとして虚偽の供述をした場合、同乗者としての立場が苦しくなるだけです。「逃亡や証拠隠滅のおそれがある」と判断されると、後日逮捕される可能性があります。任意で取り調べを受ける場合は、事故当時の状況をありのままに供述し、誠実な対応が求められます。

6.まとめ|飲酒運転の同乗者は罰則対象の可能性大!安全意識を高めよう

本記事では、飲酒運転の同乗者の罰則について、罰則内容や罰則対象になる判断基準、酒類・車両提供者の罰則などについて解説しました。

飲酒運転には「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類があり、ドライバーの飲酒運転の程度によって処分内容が異なります。

飲酒運転は、集中力や判断力が著しく低下し、重大な事故を引き起こすリスクが非常に高いです。歩行者や他車両に対する危険性が増し、最悪の場合、命を奪うことにつながりかねません。絶対に飲酒運転をしない、させないという強い意志を持ち、飲酒運転を防ぎましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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