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居眠り運転を防ぐには?事故が起きやすい特徴や眠気の対処法について解説

夜間や長距離運転時などに急な眠気が襲い、ヒヤッとしたことはありませんか?
居眠り運転の危険性を理解していても、睡眠不足や疲労が蓄積している時は居眠り運転のリスクが高まります。

居眠り運転や、うとうとした状態の運転は交通事故に繋がる危険性がありますので、体調管理や眠気対策が必要です。

そこで本記事は、眠気の対処法や居眠り運転による事故の特徴について解説します。居眠り運転が起きやすい状況、対策を知り、安全運転の意識を高めていきましょう。

1.居眠り運転による事故が起きやすい要因とは?

本章では、居眠り運転による事故が起きやすい要因について解説します。

居眠り運転による事故は、場所と時間帯に共通点があります。「自分は大丈夫」と思っていても、状況次第では誰でも居眠り運転による事故を起こす可能性があるので、本章の内容を参考に居眠り運転のリスクを回避しましょう。

居眠り運転による事故が起きやすい場所

居眠り運転による事故は、高速道路や長い直線が続く道路で発生しやすいです。似たような景色が続く道路を一定のスピードで走行する場合、集中力が低下し眠気が誘発されやすい特徴があります。

また、居眠り運転による事故の発生場所は単路のカーブ地点に多く、道路から逸脱して壁に衝突したり、対向車と正面衝突したりする事例が多数報告されているため注意が必要です。

居眠り運転による事故が起きやすい時間帯

居眠り運転による事故は、深夜から早朝(午前0時〜午前6時)と昼過ぎ(午後2時〜午後4時)に発生しているようです。これは、体温変化や食事による血糖値の変化が関係していると考えられています。

また、体内時計の仕組みによって、夜の運転が多いトラックドライバーは深夜に眠気を感じやすく、昼の運転が多い一般ドライバーは昼過ぎに眠気を感じやすい特徴があります。この時間帯に運転することが多い方は、居眠り運転にならないよう体調管理を心がけましょう。

参考:高速道路での居眠り運転防止に向けた効果的な対策に関する調査研究|公益財団法人 高速道路調査会

2.居眠り運転になる前に!注意したい体のサイン

安全運転を心がけていても眠気を感じ始めると正常な判断ができなくなるため、居眠り運転による事故のリスクが高まります。

とくに睡眠不足や疲労の蓄積は、居眠り運転の最たる原因なので注意が必要です。

そこで本章では、居眠り運転になる前に注意したい体のサインや、過去に睡眠不足や疲労蓄積によって発生した居眠り運転事故の判例について紹介します。

居眠り運転になりやすい体のサインとは?

居眠り運転による事故を防ぐためには、日々の体調の変化や、ちょっとした違和感を見逃さないことが大切です。運転中に以下のような体のサインを感じたら、無理せず休憩をとるようにしましょう。

  • 頭痛、首こり、肩こりが気になる
  • まばたきが増える、まぶたが重くなる
  • 目がしょぼしょぼする
  • 体温が下がる、手足が冷える
  • 視界がブレる、チラつく
  • 体がだるい、気力がない
  • 気分が下がる、マイナス思考になる

上記のような体のサインが現れた場合、居眠り運転のリスクが高まるため運転の継続は危険です。疲労が溜まっている証拠なので適度に休憩をはさみ、日頃から体調を整えるように心がけましょう。

「過労運転」と判定された実例もある

居眠り運転による事故は「漫然運転(安全運転義務違反)」に該当します。しかし、過労・病気・薬などの影響によって居眠り運転事故を起こした場合、事故の状況次第で「過労運転」に該当します。

過労運転は漫然運転よりも罪が重く、「25点の違反点数免許取消(欠格期間2年)」の行政処分と、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」の刑事処分が下されるため、ドライバーの方は注意が必要です。
過去の事例では、トラックやバスの運転手の居眠り運転による事故が過労運転と判定されています。

なお、違法な薬物での過労運転等はさらに重い「35点の違反点数免許取消(欠格期間3年)」と「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」の行政処分と刑事処分が下されます。

居眠り運転は悲惨な事故を引き起こす可能性があることを十分理解し、体調不良や疲労を感じた時には運転を控えるようにしてください。

参考:過労運転等の禁止|道路交通法|e-Gov法令検索

 

下記の関連記事では、居眠り運転による事故を起こした際の罰則や違反点数などを詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
関連記事:『居眠り運転の罰則や違反点数は?事故を起こした時の対処手順も解説

3.対策しているのに眠気が取れない時の原因3つ

眠気対策を行っているのに眠気が襲う場合、3つの原因が考えられます。

  • ・睡眠の質が悪い
  • ・持病がある
  • ・薬を服用している

眠気は人間の意思の力では制御できない生理現象なので、慢性的な眠気に悩んでいる方は原因を放置しないことが重要です。
事故を起こしてから後悔しても遅いので、解説する内容を参考にして居眠り運転のリスクを回避しましょう。

①睡眠の質が悪い

十分な睡眠時間を取っているのに運転中に眠気が襲う場合、睡眠の質が悪い可能性があります。

睡眠の質が悪いと眠りが浅くなり、脳に疲労が蓄積し、居眠り運転に繋がりやすいです。睡眠の質が悪いと感じている方は、以下の方法を参考にして改善していきましょう。

【良質な睡眠をとるためにできること】

  • 日中にできるだけ日光を浴びる
  • 寝室にスマートフォンなどの端末を持ち込まない
  • 寝室は暑すぎず寒すぎない温度に設定する
  • 就寝1〜2時間前に入浴して体を温める
  • できるだけ静かな環境を作る
  • リラックスできる寝衣、寝具で眠る

睡眠の質が改善すると日中の眠気や集中力の低下を感じにくくなるので、ぜひ参考にしてください。

参考:健康づくりのための睡眠ガイド 2023|厚生労働省

②持病がある

持病によって強い眠気が頻発するケースがあります。とくに「睡眠時無呼吸症候群」は呼吸の乱れと停止によって熟睡できず、日中に強烈な眠気や集中力の低下を引き起こします。

近年は居眠り運転の原因として問題視されていますが、自覚している人が少ないのが現状です。以下の項目に心当たりがある方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があるので注意しましょう。

  • 睡眠中の呼吸停止、呼吸リズムの乱れがある
  • 大きないびきをかく
  • 起床時に頭痛がする
  • 頻繁に目が覚める、トイレに行く
  • 肥満

無呼吸症候群は運転する上で大きな危険を伴います。また、甲状腺機能低下症や精神疾患なども強烈な眠気を引き起こします。居眠り運転による事故を起こす前に、心当たりがある方は地域の保健センターや医療機関を通じて診断を受けてください。

参考:「睡眠時無呼吸症候群」に注意しましょう!|国土交通省

③薬を服用している

市販の花粉症治療薬や鎮痛剤には、眠気を引き起こす可能性がある成分が含まれている場合があります。また、抗てんかん薬・抗うつ薬などの医療用医薬品も眠気を引き起こす可能性があるため、服用時は極力運転しないことが重要です。

また、道路交通法では薬の作用によって正常な運転ができない状態で運転することを禁止しています。市販薬の中には眠くなる成分を含まない薬もありますが、副作用による居眠り運転が心配な方は運転を控えましょう。

4.居眠り運転をしないために眠気の対処法8つ

本章では、運転中に眠気を感じた時の対処法について8つ紹介します。どれも簡単に実践できるので、居眠り運転をしないよう覚えておきましょう。

①仮眠をとる

運転中に眠気を感じたら、サービスエリアなどの駐車場に停車して15〜30分程度の仮眠をとりましょう。ただし、仮眠時間が30分を超えると、目を覚ました後に疲労感や眠気を余計に感じやすくなるため注意が必要です。

仮眠をとる際は、シートを倒して体をリラックスした状態にしましょう。仮眠後は、車から降りて深呼吸やストレッチを行い、体や脳を覚ましましょう。

②カフェインや糖分の多い飲み物を飲む

カフェインは眠気の抑制効果があるので、居眠り運転対策に効果的だと言われています。コーヒー・紅茶などはカフェインが多く含まれているので、運転時の飲み物におすすめです。

また、一時的な対策としてはエナジードリンクなども活用できます。しかし糖分を多く含むドリンクは一度上がった血糖値が下がるタイミングで再び眠気に襲われることもありますので、運転時間や距離に応じて、取り入れるかどうか検討しましょう。

参考:2018年 6月 北海道薬剤師会「食後に眠気がでるのはなぜ?」|全国健康保険協会(協会けんぽ)

③ガムを噛む

脳内の血液量が減ると、酸素が回らなくなるため眠気を感じやすくなります。眠気や集中力の低下を感じた時は、ガムを噛むことで脳の覚醒を促すことが可能です。

またキシリトールが含まれたガムは、冷却効果によって目が覚める効果も期待できます。酸味が強いグミやシュワシュワするアメなども同様に一時的に眠気を覚ます効果が期待できるので、居眠り運転の対策として車やバックに常備しておくと安心です。

④体を動かす

サービスエリアなどに車を止めて、店内を見て回ったりストレッチを行ったりすることで、血行が良くなり眠気が取れ、居眠り運転の予防になります。

人の体は2時間周期で眠気を繰り返す生体リズム(ウルトラディアンリズム)を持っています。そのため、長時間の運転をする際は、最低でも2時間に1回の休憩をとることが望ましいです。居眠り運転をしないために、疲れを感じていなくても定期的に車から降りて、体を動かすようにしましょう。

参考:2-4 2時間リズムの眠気|居眠り運転発生の生理的メカニズム|国際交通安全学会

⑤目薬をさす

メントール成分が含まれた目薬は清涼感や刺激を感じられるので、居眠り運転の対策として有効です。また、目の疲労回復も期待できるため1本持っておくと安心でしょう。

ただし、炎症を起こしている時に使用すると、強くしみたり痛みを感じたりする可能性があります。充血している方や刺激に弱い方は、刺激成分が入っていない眠気覚ましの目薬がおすすめです。

⑥窓を開ける

運転中に眠気を感じたら、窓を開けて眠気を覚ましましょう。とくに冬場の暖房が効いた車内は体温が上がり眠くなりやすく、窓を開けて冷たい風を入れることで居眠り運転の予防になります。渋滞中は効果が薄れますが、風にあたるだけでも良い気分転換になるので、眠気を感じたらぜひ試してください。

⑦大声で歌う・話す

高速道路などの似たような景色が続くと脳の集中力や判断力が低下するため、大声で歌ったり話したりすることで脳が冴え、居眠り運転の防止に繋がります。

好きな曲やアップテンポの曲をかけて、なるべく大げさに表情筋や喉を動かすことで、脳の活性化を促せます。また、同乗者がいる場合は、運転の妨げにならない程度に会話を楽しむのもおすすめです。

⑧居眠り運転防止アラームをセットする

居眠り運転防止アラームは頭の微妙な傾きや瞳孔の変化を検出し、ドライバーの居眠りによる危険をアラームや振動で知らせる装置です。

長距離トラックドライバーの方で装着している方が多く、耳にかけるタイプやダッシュボードに取り付けるタイプがあります。2,000円〜7,000円程度で購入できるので、居眠り運転対策として活用してください。

5.まとめ|運転前は体調を整えて居眠り運転を回避しよう

本記事では、居眠り運転による事故が起きやすい特徴や眠気対策について解説しました。

居眠り運転による事故は、深夜から早朝の時間帯と昼過ぎに発生しやすく、似たような景色が続く道路を走行する場合にも、居眠り運転が誘発されやすい特徴があります。

事故を起こした場合、居眠り運転の程度や事故状況によっては、より罰則が重い過労運転と判定されます。居眠り運転による事故の危険性を十分に理解して、安全運転の意識を高めていきましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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