青ナンバー(外ナンバー)とは?ウィーン条約によって法律対象外?水色ナンバーとの違いも解説

街中であまり見慣れない青色のナンバープレートを目にして、気になった方もいるのではないでしょうか?
自家用車や営業車とは明らかに異なるそのナンバーは、外交官やその関係者が使用する「青ナンバー(外ナンバー)」と呼ばれる特別な車両に取り付けられたものです。
一部では「事故を起こしても罰せられない」「交通違反しても捕まらない」といった話しを耳にしますが、これには実はウィーン条約で定められた「外交特権」が関係しています。
本記事では、青ナンバーについて以下のような疑問を中心に詳しく解説します。
- 青ナンバーはどのような車に取り付けられている?
- 青ナンバーと水色ナンバーは違う?
- 青ナンバーは事故を起こしても法律対象外って本当?
「なぜ青ナンバーは特別なのか?」を知ることで、身近な道路の安全や、国際社会との関わりについての理解も深まるはずです。
目次 / このページでわかること
1.青ナンバー(外ナンバー)とは?
「青ナンバー(外ナンバー)」車とは、青地に白文字で書かれているナンバープレートを付けている車のことで、日本に駐在している外交官が利用する車両を指します。
本章では、4種類ある青ナンバーについて、それぞれの概要を紹介します。
青ナンバーは4種類
青ナンバーと言っても大きく分けて4種類あります。
- シンプルな「外」ナンバー
- 丸で囲われた「外」ナンバー
- 「代」ナンバー
- 「領」ナンバー
4種類の青ナンバーについて紹介します。
①シンプルな「外」ナンバー
「外」と記載の後にナンバーがくるプレートは大使館職員の公用車です。このナンバープレートは、大使館職員の公務に使われる車両であることを表しており、都市部や大使館周辺で見かけることが多いナンバープレートです。
②丸で囲われた「外」ナンバー
「外」の文字が丸で囲われているナンバープレートは特命全権大公使の車です。つまり大使館の中でもトップクラスの人が乗っている車両です。
③「代」ナンバー
「代」と記載の後にナンバーがくるプレートは代表部の公用車です。代表部とは、国や国際組織を代表して外国に駐在する機関のことです。
④「領」ナンバー
「領」と記載の後にナンバーがくるプレートは領事団の公用車です。他のナンバープレートが「青地に白文字」であるのに対して、白地に青文字で書かれているのが特徴です。
青ナンバーの数字でどの国の車両かわかる
外交官ナンバーには国によって異なる「国番号」が付けられています。
ナンバープレートに記載されている最初の2桁〜3桁を見れば、どこの国の車両かがわかるようになっています。
国番号には下記のような番号があげられます。
国名 | 国番号 |
---|---|
アメリカ | 82・83・84・87 |
中国 | 91・151 |
韓国 | 38・47・48 |
イギリス | 81 |
表の通り国番号が1つの国もあれば複数個ある国もあります。
もし、街中で外交官ナンバーを見かけたら、チェックしてみてください。
青ナンバーに封印はある?
まずはじめに「封印」とは、ナンバープレートの取り外しを防止するために、自動車(軽自動車以外)への取付けが義務付けられているものです。
そして、青ナンバーの車両にも「封印」はあるのかについてですが、青ナンバーの車両にも封印はついています。
基本的に一般車両の封印は、車検証に登録されている住所の管轄の地方運輸局の頭文字が入っていますが、青ナンバーの封印に関しては外務省の管轄になるため「外」の文字が入っています。
水色ナンバーとの違いは?
青色のナンバープレートの種類には、青ナンバーの他に水色ナンバーが存在します。青ナンバーと水色ナンバーはよく同じように認識されがちなのですが、実は違いがあります。
水色ナンバーは、簡単に説明すると「ミニカー(小型車両)に取り付けられているナンバー」のことです。
水色ナンバーには以下のように3つの規定があります。
- ① 3輪以上である
- ② 総排気量が20ccを超え50cc以下のものまたは0.25kwを超え0.6kw以下のもの
- ③ 車室を備えている、もしくは輪距が0.5mを超えるもの
水色ナンバーの代表としてあげられるのが、ホンダの「ジャイロキャノピー」で、宅配・配達業務で非常によく使われている三輪バイクです。
なお、水色ナンバーを運転するためには必ず普通自動車免許が必要になるので注意してください。
地方によっては青ナンバーを緑ナンバーと言う?
地方によっては、青ナンバーを緑ナンバーと言うケースがあるようです。
信号機も実際は緑色だけど「青信号」と言うように、緑色のナンバープレートのことを「青ナンバー」と呼ぶ人もいます。
ただし、緑ナンバーとはタクシーやトラックなどに付けられる「営業ナンバー」となり、実際は「青ナンバー」とはまったく別物となるので誤解しないように注意が必要です。
2.青ナンバー(外ナンバー)車は法律対象外?
結論から述べますと、青ナンバー(外ナンバー)車は、通常の交通違反や事故による刑事責任を免除されるのが原則です。
本章では、その理由について詳しく紹介します。
日本の道路交通法の規制を受けない
青ナンバーには「外交特権」が付与されています。「外交特権」とはウィーン条約によって規定されており、外交官やその家族が派遣先の国の法律に違反したとしても、逮捕されない可能性が高いのです。
ただし、外交官自身が免除の放棄を申し出る場合や、外交特権の適用範囲によっては例外もあります。
青ナンバーの駐車違反が1,000件以上ある
先ほど、説明した「外交特権」により、実際に駐車違反など交通違反が多発しています。
外務省が発表している「駐日外交団車両による駐車違反問題に係る措置について」では、駐日外交団車両による放置車両確認標章取付(違反)件数が「2018年:3,948件」、「2019年:2,615件」、「2020年:1,137件」と年間で1000件を超えています。
このことを踏まえ、外務省では、繰り返し違反を行う車両について個別に注意喚起を行い、違反金の納付をより強く求めています。
また、駐日外交団車両に対するガソリン税免税措置については、外務省が該当車両に免税購入のための証明書を発給する際に、違反金の納付状況を確認する措置を取っています。
3.青ナンバー(外ナンバー)車と事故を起こした場合どうなる?
仮に青ナンバーと事故を起こしたとしても、ウィーン条約により外交官に対し原則として刑事責任を問うことはできません。
そのため、逮捕したり、裁判で訴えるようなことはできない可能性が高いのです。
そのため、青ナンバーに限った話ではないですが、普段から交通事故を起こさないように意識し安全運転することが大切です。
4.日本の外務省発行の青ナンバー車は任意保険を義務付けている
先ほど、青ナンバーを原則として刑事責任に問うことはできないと紹介しましたが、外務省では、外交官車両に対し自賠責保険や任意保険の加入を原則としています。
そのため刑事責任を問うことができない可能性が高いが、事故による修理費や治療費については保険会社と相談し、受け取れる可能性があります。
5.まとめ|青ナンバーに関係なく日頃から安全運転を心がけよう
本記事では、外交官などに付与される青ナンバー(外ナンバー)について、その種類や法的な扱い、水色ナンバーとの違いなどを詳しく解説しました。
青ナンバーは一般的なナンバープレートとは異なり、国際的な取り決めである「ウィーン条約」に基づく外交特権の対象となっているため、交通違反や事故時の対応も通常とは異なります。
ただし、外交特権があるからといって何をしても許されるわけではなく、マナーとモラルに基づいた行動が求められることに変わりはありません。
また、青ナンバーと見た目が似ている「水色ナンバー」は、まったく別の小型車両用のナンバーであることにも注意が必要です。
ナンバープレートは、単なる車の識別情報ではなく、その車がどんな目的で使われているのか、どんな法制度のもとにあるのかを示す大切な要素です。
見慣れないナンバーを見かけたときは、ぜひその背景にも目を向け、安全運転と交通マナーの意識を高めていきましょう。