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【2024年】飲酒運転の概要と現状について|罰則と行政処分・防止するためにできること

飲酒運転をしてはいけないということは皆さんご存じかと思います。
しかし、いけないとは分かっていても飲酒運転を行っている人が後を絶たない現状です。

「飲酒運転」という言葉は「酒気帯び運転」や「酒酔い運転」などの総称であり、一般的な用語です。
そこで今回の記事では以下について紹介いたします。

  • ・飲酒運転と総じて呼ばれている「酒気帯び運転」「酒酔い運転」はどのような状態を指すのか?
  • ・飲酒運転を防止するために何かできることはないのか?

ぜひ最後までご覧ください。

1.飲酒運転の違いと現状について

先ほど紹介した通り「飲酒運転」という言葉は「酒気帯び運転」や「酒酔い運転」などの総称を指します。

では実際、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」は具体的に何が違うのかご存じでしょうか?

本章では、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の違いについて説明します。またニュースで「飲酒運転」というワードをよく耳にすると思いますので飲酒運転の現状(2024年6月時点)についても紹介します。

酒気帯び運転と酒酔い運転の違いは?

酒気帯び運転や酒酔い運転などが飲酒運転に含まれますがそれぞれの違いについて説明します。

酒気帯び運転

酒に酔った状態ではないものの、政令で定める一定基準以上のアルコール(呼気1Lに0.15mg以上あるいは血液1mlに0.3mg)を体内に保有している状態で運転することを指します。

酒酔い運転

体内のアルコール濃度に関係なく、酒に酔っているのが認められる状態で運転することを指します。

 

酒気帯び運転と酒酔い運転について、以下の関連記事でも詳しく解説しています。
関連記事:『酒気帯び運転(飲酒運転)とは|基準や処分・罰則内容をわかりやすく解説

飲酒運転の現状

飲酒運転による死亡事故や重傷事故件数はともに年々減少しています。しかし減少しているとはいえ、令和3年中の飲酒運転による死亡事故は152件、重傷事故は288件発生しており、依然として飲酒運転による事故は後を絶ちません。

参考:内閣府「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策について|第2節 飲酒運転による交通事故の状況

 

飲酒運転を行ってしまうシチュエーションとしては、「飲食」「買い物」「通勤」「観光・娯楽」という形で多く発生しています。

特徴として、「飲食」のケースで行われる飲酒運転が平成24年からほとんど減少していないということです。
「食事の中で少し飲んでしまった」「これくらいなら大丈夫だろう」という甘い考えが悲惨な現状を招いているということは間違いないため、どう対策していくのかが試されています。

2.飲酒運転の運転者、同乗者それぞれの罰則と行政処分

飲酒運転をした際ドライバーに罰則があることはご存じの方も多いと思いますが、同乗者にも罰則が科せられることがあるのはご存じでしょうか?

本章では飲酒運転をした人だけでなく、車両を提供した人や同乗した人に科せられる罰則について紹介していきます。

飲酒運転の行政処分

飲酒運転をした際の行政処分は下記のとおりになります。

 呼気中アルコール濃度基礎点数処分
酒酔い運転 ※1数値の判断ではない35点免許取消し(欠格期間3年 ※2, 3
酒気帯び運転0.15mg/l 以上
0.25mg/l 未満
13点免許停止(期間90日 ※2
0.25mg/l以上25点免許取消し(欠格期間2年 ※2, 3
  • ※1 アルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態
  • ※2 前歴およびその他の累積点数がない場合
  • ※3「欠格期間」とは運転免許の取消処分を受けた者が運転免許を再度取得することができない期間

 

上記のとおり飲酒運転をした際、最悪の場合は直ちに免許取消しになることがあります。免許が取り消されると、一定期間経過後に自動的に免許が復活することはなく、免許取得前と同じ状態になってしまいます。よって、再び車を運転するためには教習所に通うなどをして、免許の再取得が必要です。
また欠格期間が過ぎても、免許の拒否・保留処分の対象とする場合があり、再取得が難しくなります。

飲酒運転の罰則

また飲酒運転による罰則の対象は、運転者だけでなく車両提供者、アルコール提供者、同乗者にもおよびます。詳しくは下記のとおりです。

 酒酔い運転をした場合酒気帯び運転をした場合
車両等を運転した者5年以下の懲役又は100万円以下の罰金3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
車両等を提供した者

※ドライバーが飲酒運転した場合

5年以下の懲役又は100万円以下の罰金3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
酒類を提供した者または
同乗した者

※ドライバーが飲酒運転した場合

3年以下の懲役又は50万円以下の罰金2年以下の懲役又は30万円以下の罰金

上記のとおり酒気帯び運転、酒酔い運転のいずれも、本人だけでなく周りの人にも影響することが分かりました。「少しくらいなら…」という軽い気持ちで飲酒運転をすると、行政処分や罰則だけでなく重大な事故を引き起こす場合があります。飲酒運転が危険な理由を次の章で詳しく解説しますので、より理解を深めましょう。

飲酒運転の罰則について、詳しくは以下の関連記事でも解説しているので参考にしてください。
関連記事:『酒気帯び運転(飲酒運転)とは|基準や処分・罰則内容をわかりやすく解説

3.飲酒運転が危険な理由

飲酒運転はなぜ危険なのでしょうか?
アルコールを摂取した際の体の仕組みも含め紹介していきます。

アルコールには少量でも脳の働きを麻痺(まひ)させる作用があります。一般的に「酔う」とは、血中のアルコール濃度が高くなることにより、大脳皮質(理性や判断をつかさどる部分)の活動をコントロールしている大脳下部の「網様体」が麻痺した状態をいいます。

お酒に酔うと顔が赤くなる、多弁になる、視力が低下するなどの変化が現れ始め、さらに知覚や運転能力をつかさどる部分が抑制されることにより、同じ話を繰り返したり、足元がふらついたりします。
このように飲酒時には、安全運転に必要な情報処理能力、注意力、判断力などが低下している状態になり、危険を察知してからブレーキなどの操作に遅れが出るため、重大事故につながる危険性が高くなります。

現在日本の道路交通法により検挙される血中のアルコール濃度は0.03%とされていますが、それより低い濃度であっても集中力・多方面への注意・反応時間などが障害されます。表は実際の運転に必要な個々の運転技能に対して、どの位の血中アルコール濃度からアルコールの影響が出てくるかをまとめたものです。

運転技能血中アルコール濃度
集中力が下がる0.01%未満
多方面への注意力が向かなくなる0.02%
反応時間が遅れる0.02%
トラッキング技能が阻害される0.02%
ハンドル操作がうまくできなくなる0.03%
視覚機能が阻害される0.04%
規制を無視し始める0.05%

※表の血中濃度は主に欧米の研究結果をもとにしています。

 

表を見てわかる通り、血中アルコール濃度が低い数値であったとしても運転の技術に影響が出てしまうことが分かります。運転をする前は少量であっても飲酒しないようにしましょう。

参考:警察庁|みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」「飲酒運転はなぜ危険か?
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト「アルコールの運転技能への影響

 

また飲酒運転を未然に防ぐための対策も重要となってきます。
点呼の徹底をすることや高性能なアルコールチェッカーを導入することも飲酒運転を未然に防ぐための対策になります。詳しい内容については下記の関連記事をご覧ください。
関連記事:『飲酒運転を防止する5つの取り組み|飲酒運転の危険性や処分・罰則も合わせて解説

4.飲酒からどれくらい時間が経てば運転できる?

では飲酒をしてからどのくらいの時間が経てば飲酒運転にならないのでしょうか?
皆さんが非常に気になる点かと思いますので説明していきます。

アルコールの作用や健康被害は、お酒の種類や量ではなく、アルコール摂取量に関係しています。厚生労働省では「健康日本21」の中で「節度ある適度な飲酒」として1日平均純アルコールで約20g程度とされています。

参考:厚生労働省|健康日本21(アルコール)「(3)「節度ある適度な飲酒」について

 

純アルコール量の計算方法は
「飲んだお酒の量(ml)×お酒のアルコール濃度(%/100)×0.8」となります。
上記の計算式で純アルコール量を計算した場合、純アルコール20gはアルコール度数5%のビール500mlに相当します。

また1時間で分解できるアルコール量の目安を求める計算式は
「体重(㎏)×0.1⁼1時間で分解できるアルコール量(g)」
となっています。

上記の計算式で計算した場合、節度ある適度な飲酒量の場合(純アルコール約20g摂取)アルコールを分解するためにかかる時間は体重50kgの人で約4時間程度です。

ただし、年齢や性別や体質、体調などによってアルコールを分解するためにかかる時間は異なります。
「○時間でアルコールが抜けるから運転ができる」ということは一概には言えません
ので注意してください。

弊社パイ・アールでは、アルコールチェッカー(弊社製品)を使って、飲酒後どの程度の時間でアルコールが体内からなくなるのか実験を行いました。飲酒運転をしないためにも参考になるデータが取れましたので下記の関連記事もぜひ参考にしてください。
関連記事:『アルコールが抜ける(分解)時間と計算方法|飲酒後の運転は何時間後から大丈夫?
【実験】飲酒後のアルコールが抜けるまでの時間をアルコールチェッカーを用いて測定

5.飲酒運転を防止するためにできること

飲酒運転を未然に防ぐために何ができるのか?
飲酒運転を防止するための3つの取り組みを紹介します。

  • ①社内で飲酒運転の罰則を認知させる
  • ②ハンドルキーパー運動を行う
  • ③アルコールチェッカーで正確に測定する

それぞれ解説していきます。

①社内で飲酒運転の罰則を認知させる

飲酒運転した際の罰則をドライバーの人に認知してもらうという方法があります。上記でも説明した通り飲酒運転をした際は、ドライバーはもちろん、車両提供者や同乗者にも罰則があります。ドライバー以外の人への罰則などは意外と知らない方もいるので、しっかりと社内周知をすることで飲酒運転防止に繋げていきましょう。

②ハンドルキーパー運動を行う

ハンドルキーパー運動とは全日本交通安全協会により、悲惨な交通事故につながる飲酒運転をなくすために推進されている取り組みです。

この運動は、「自動車で仲間や知人と飲食店などへ行く場合、お酒を飲まない人(ハンドルキーパー)を決め、その人が自動車の運転をして仲間などを送り届ける。」というもので「乗るなら飲むな、飲むなら乗るな」を実践する、飲酒した人にハンドルを握らせないという運動です。飲みに行く際はハンドルキーパーを決め、飲酒した人は運転することのないようにしましょう。

参考:一般財団法人 全日本交通安全協会「ハンドルキーパー運動グッズ(飲酒運転根絶)

③アルコールチェッカーで正確に測定する

アルコールチェッカーで正確に測定することも飲酒運転の防止につながります。
なりすましや不正ができるようなものを導入していると、せっかくアルコールチェッカーを導入しているにもかかわらず、正しい結果を得ることができません。

アルコールチェッカーの精度が高いものを選ぶのはもちろん、なりすましや不正ができないようなものを選定するようにしましょう。

6.まとめ

飲酒運転をすることで行政処分や罰則を受けることは当然のことですが、最悪の場合人の命を奪うことに繋がる大変危険な行為です。

  • 「少しくらいだったら大丈夫だろう」
  • 「感覚的に酔ってないからいける」

などの安易な考えが大きな交通事故に繋がります。

運転前の飲酒は必ず控えるなど1人1人が飲酒運転をしない!という意識を強く持つと共に、精度の高いアルコールチェッカーを導入するなど飲酒運転防止策を取り入れ、社会全体から飲酒運転がなくなるように努めましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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