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アルコールが抜ける(分解)時間と計算方法|飲酒後の運転は何時間後から大丈夫?

飲酒すると気分が高まり楽しい気持ちになるため、お酒はコミュニケーションを取ることや、距離感を近づけるための大切なツールとも言えます。自分のペースや体調を理解したうえで飲酒をすることは悪いことではありません。しかし、アルコールの分解にどれくらいの時間がかかるのか知らずに飲み続けると、大変危険な状態になりかねません。

ちなみに、アルコール1単位(ビール500ml、日本酒180ml)あたりの分解にかかる時間は、一般的な体格(体重60㎏前後)であれば4〜5時間程度です。

ここでは、

  • ・アルコールが抜ける(分解される)までの流れ
  • ・アルコール分解のメカニズム
  • ・アルコールの分解にかかる時間と計算方法
  • ・アルコールを早く抜く方法

を詳しく解説します。

また、弊社では実際にアルコールを摂取後、抜けるまでの時間を測定する実験を行っています。詳しくは以下の関連記事より確認してください。

関連記事:
実験!飲酒後どのくらいの時間でアルコールが抜ける?アルコールチェッカーを用いて測定

1.アルコールが抜ける(分解される)までの流れ

アルコールが抜ける(分解される)までの流れ

体内に摂取されたアルコールは、胃にある内はゆっくりと吸収されますが、小腸に入ると速やかに吸収されます。汗をかいたり、水をたくさん飲むとアルコールが早く抜けると思われている方も多くいらっしゃると思います。

しかし、わずかな量のアルコールであれば呼気、汗、尿からも排泄されますが、代謝のほとんどは肝臓で行われています。飲酒習慣によっても代謝速度は大きく異なるので、お酒好きの人は代謝速度が予測困難です。 他にもアルコールの吸収や分解は、血中アルコール濃度が高いと分解が早く、低くなるとゆっくり分解されることもあります。

アルコール分解のメカニズムについて

アルコールが体内に摂取されると、約20%が胃で、残りの80%が小腸で吸収されます。この吸収されたアルコールは血流を通じて肝臓に運ばれ、そこで分解のプロセスが始まります。

アルコール分解(抜ける)のメカニズム:肝臓で分解酵素によってアセトアルデヒド、酢酸に分解

肝臓に到達したアルコールは、まずアルコール脱水素酵素(ADH)によって「アセトアルデヒド」という物質に分解されます。アセトアルデヒドは非常に反応性が高く、体にとって有害なため、すぐにアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって「酢酸」に分解されます。この酢酸はさらに細胞のミトコンドリア内でクエン酸回路を通じて代謝され、エネルギー生成の過程で水と二酸化炭素に分解されます。

この分解された水と二酸化炭素は、体内で生成された他の代謝物質と共に、尿や呼気、汗として体外に排出されます。余談ですが、アルコールの一部はそのまま呼気を通じて排出されるため、アルコールチェッカーなどで呼気中のアルコール濃度を測定することが可能となっています。

当然ながらアルコールの摂取量が多いほど、肝臓での分解が追いつかず、体内にアセトアルデヒドが多く蓄積することになります。アセトアルデヒドが長い時間体内に蓄積すると二日酔いの原因となるほか、吐き気や頭痛などの症状を引き起こす原因となります。

このように、アルコールが体内で分解されるメカニズムは複数の段階を経ており、その過程で生成される物質によって体調にも大きな変化を与えています。

2.飲酒後に運転できるようになるまでの時間

飲酒後に運転できるようになるまでの時間

アルコールは胃や小腸で吸収され、血液に溶け込み肝臓へ運ばれた後、肝臓で分解されます。また、アルコールを分解するまでの時間には個人差があります。

  • ・体質、体重、性別、年齢、体調の違いで異なる
  • ・飲んだお酒の量
  • ・アルコール度数

などによって大きな差が出ます。

アルコールの分解には時間がかかるので、分解しきれないアルコールは心臓を通って脳へ到達します。脳はアルコールによって麻痺状態となり、この状態を一般的に「酔う」と言われています。

体重がより重い人の方が血液量が多く、血中アルコール濃度が低くなるほか、年齢を重ねると、アルコールを処理する能力が低下していくことから、「◯◯時間経過すればアルコールが抜けて運転できる」ということは一概には言えません

飲酒運転をしないためには、お酒を控えるか、アルコールが体内から完全に抜け切ってから運転を行わなければなりません。

3.酒類の違いによるアルコール量の分解スピード

酒類の違いによるアルコール量の分解スピード

体内に入ったアルコールは、どれくらいのスピードで分解されるのでしょうか。お酒の種類によってアルコール量が違ってくるので順に見ていきましょう。

また弊社では実際にアルコール摂取後の分解の過程をアルコールチェッカーを用いて実験を行いました。前述したとおりアルコールを分解する速度は、個人差があるということが分かりました。その結果をグラフに示したものが下記図です。関連記事で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。

 

アルコールが抜ける(分解)までの時間は個人差があることを示した実験結果のグラフ

関連記事:『実験!飲酒後どのくらいの時間でアルコールが抜ける?アルコールチェッカーを用いて測定

酒類によるアルコール量の違い

アルコールの分解スピードを把握するために、アルコールの1単位とは何かを理解しましょう。

1単位とは、20g前後の純アルコール量のことで、下記表は各酒類1単位あたりの目安量となります。

酒類

ビール

日本酒

ウィスキー

ワイン

チューハイ

焼酎

500ml180ml60ml200ml350ml100ml
アルコール度数5%15%43%12%7%25%

厚生労働省が公表している「節度ある適度な飲酒」に記載がある通り、男性は1日当たり純アルコール10~19g、女性は1日当たり9gまでがもっとも死亡率が低く、1日当たりのアルコール量が増加するに従い死亡率が上昇すると言われています。

とくにチューハイは、すっきりと飲める飲料でお酒の苦手な方でもゴクゴク飲めますが、一杯飲んだだけでもあっという間に20gに到達してしまいます。そのため、「ウイスキーをたしなむ上司」よりも「楽しく何杯もチューハイを飲む友人」との飲み会のほうがアルコール量が多くなる、ということが言えます。

このように酒類によって、1単位の量が異なるので理解を深めて適度な飲酒量を心がけていきましょう。

参考:厚生労働省「(3)節度ある適度な飲酒

アルコールの分解時間と計算式

1時間で分解できるアルコール量の目安を求める計算式は、「体重(kg) × 0.1 = 1時間で分解できるアルコール量(g)」です。
たとえば、60kgの人の場合は、1時間で分解できるアルコール量は6g、70kgの人は7gになります。

ただし、1単位あたりのアルコール分解にかかる時間の目安は、体質・体重・体格・年齢・性別などにより個人差があります。

  • ・お酒が飲める男性は、飲み終わってから約4時間
  • ・お酒が弱い人、女性、高齢者は、飲み終わってから約5時間

3単位飲んだら半日以上はアルコールが体内に残ります。朝起きたときも前夜のアルコールが残っている可能性が高く、この状態で運転すれば飲酒運転になる恐れがあり大変危険です。

また勘違いされやすいのですが、睡眠中はアルコールの分解が遅れてしまうので、寝たら分解されているという認識は誤りとなります。

蒸しパンを食べても、アルコール反応はでるの?

飲酒をした場合にアルコールチェッカーを用いて検知をするとアルコール反応が出ることは周知の事実ですが、実はお酒以外にもアルコール反応が出るケースがあります。

過去に起こった事例としては、バスの運転手が出勤前に営業所近くのコンビニに寄って蒸しパンを購入し社内で食べた後、乗務前のアルコール検査で呼気から0.11ミリグラムのアルコールが検出されたケースがあります。

一見蒸しパンとアルコールとでは関係がなさそうに思えますが、実は蒸しパンには「酒精」という食用に使われるアルコールが含まれています。アルコールチェッカーの精度が良いゆえに飲酒以外でもアルコールを検出することは、蒸しパン以外でも起こりえます。
たとえば、歯を磨いた直後や体質によっては空腹時の検査、マウスウォッシュで口内のリフレッシュをした後や煙草を吸った直後など、アルコール反応が出るケースは多々あります。

参考資料:『アルコールチェッカーの測定結果に影響を与える物質

アルコールを摂取していなくても、実際にアルコールチェッカーを利用する直前にはこうした食品を摂取しない、あるいは飲食後は口をすすいでから15分程度時間を空けて測定することで対策が可能です。

もし飲酒をしていた場合は口をすすいでもアルコール反応が出るように設計されているため、「飲酒をしたのか、上記の行動によるアルコール反応か」についての判別はできるので安心してアルコールチェッカーをご利用ください。

アルコールチェッカーは市場に多く出回っていますが、センサーの精度が厳密ではない検知器も多くあります。導入を検討する際は高精度のアルコールチェッカーがおすすめです。

また以下の関連記事では、蒸しパン以外にもアルコール反応がでることがある食品や事例を7つ紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:『未飲酒でもアルコールチェッカーが反応してしまう?7つの原因や対処法を解説

参考記事:朝日新聞デジタル「蒸しパン食べてアルコール検知「業界で常識」、市バス運転手を処分

4.飲酒後にアルコールを早く抜く(分解する)方法

飲酒後にアルコールを早く抜く方法

飲酒後にアルコールを早く抜く方法はあるのでしょうか?

結論から言うと、お酒を早く抜く明確な方法はありません。 上記でも述べた通り、体質等の関係で対策を行ってもあまり意味がないため、無理してお酒を抜こうとすると逆に吐き気や頭痛を引き起こす可能性があります。

その中でも、もっとも効果的な対策として安静に過ごすことがあげられます。その際、水をたくさん飲み、アルコールを体外に排出しましょう。アルコールには脱水作用があり、二日酔いの体は水分不足になりがちです。
分解されたアルコールを尿として排出するためにも、たくさん水分を摂るようにしましょう。

注意点として、汗を流す行為は危険とされています。サウナやスポーツでたくさん汗をかいてもお酒が早く抜けることはなく、かえって脱水症状が酷くなり、アルコールの排出に必要な水分まで奪ってしまうため逆効果となります。

また、お酒を飲み過ぎた体は血圧のバランスを乱しやすく、このような状態でサウナやスポーツを続けると心臓や脳にダメージを与える可能性があるので、十分に注意しましょう。

アルコールを摂取することで不足する栄養素

飲酒によって消費される栄養素については、ビタミンB1やカリウムが挙げられます。ビタミンB1は食べ物や飲み物に含まれる糖質をエネルギーに変えるために必要な栄養素で、糖質とはエネルギーとなる三大栄養素の1つです。

ビタミンB1は豚肉、全粒穀物、ナッツ、大豆などの食品に多く含まれています。

また、カリウムは細胞を正常に保ったり、血圧の調整を行うなど体内の状態を維持する働きがあります。カリウムが多く含まれる食材は、昆布などの藻類、果実類、芋やでん粉類、豆類などです。アルコールを摂取する際や摂取した後は、消費される栄養素を補うように心がけると二日酔いや翌日の疲労感の軽減などに役に立ちます。

アルコールの分解を促す栄養素はある?

直接的ではありませんが、アルコールの分解に関与する栄養素があります。それが「たんぱく質」です。

アルコールを分解する肝臓はたんぱく質を必要としますので、飲酒中のおつまみとしてたんぱく質が豊富な枝豆や焼き鳥、卵焼きなどを摂取すると肝臓の働きを助けることができます。

また、飲酒後は果物に含まれる果糖がアルコール分解を助ける効果があることから果物を摂取することも有効です。

5.まとめ

今回の記事のポイントを下記にまとめました。

  • ・体質、体重、体格、年齢、性別によってアルコールが分解できる量が異なる
  • ・1時間で分解できるアルコール量(g)の計算式は、体重(kg) × 0.1
  • ・アルコールを早く抜く明確な方法はないが、もっとも効果的な対策は安静に過ごすこと
  • ・飲酒することで不足するビタミンB1、カリウムを摂取すると二日酔いや疲労感の軽減に役立ち、たんぱく質を摂取することでアルコール分解を促す

お酒を飲むと、とても楽しい気持ちになりますが、飲酒運転や悲惨な事故を防ぐためにも節度ある適度な量を守りましょう。

株式会社パイ・アール ロゴ

この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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