知っておくべきアルコールチェッカーの仕組みと選び方|センサーの違いとは?
2023年12月1日から、白ナンバー車両を保有する事業者もアルコールチェッカー(アルコール検知器)を使用した「運転前後の酒気帯びの有無の確認」が義務化となり、ドライバーにとってアルコールチェッカーはより身近なものになっています。
そんな中、アルコールチェッカーを導入したものの、誤検知やエラーが多く困っているなど、機能面で満足できていないケースも多いようです。
「そもそもアルコールチェッカーの仕組みは?」
「仕組みを知った上でアルコールチェッカーを選びたい」
「アルコールチェックでの誤検知を防ぎたい」
上記のような疑問、悩みを抱えている方に向けて、アルコールチェッカーを運用している専門家の目線から解説します。
自社の業種や、用途に合ったアルコールチェッカーを見つけましょう。
目次 / この記事でわかること
1.アルコールチェッカーの仕組みとは?

アルコールチェッカーとは、検知器に息を吹きかける(吹き込む)だけで、体内の残留アルコール濃度を数値化してくれるツールです。
最近では、運転前後のチェックと記録が義務付けられているドライバーの方だけでなく、飲酒量の制限など健康管理を目的とした個人での利用も増えつつあります。
基本的に体内のアルコール濃度を測定するには、主に以下の2つの方法があります。
- 血液を採取して血中アルコール濃度を測定する方法
- 呼気を採取して呼気中アルコール濃度を測定する方法
血中アルコール濃度を正確に測定するには、医療機関で採血を行い、専用の機械で血液を分析する必要があります。
一方、呼気アルコール濃度の測定はアルコールチェッカーに息を吹き込むだけで、手軽に、どこでも実施することができるため、業務用でも呼気での測定が一般的です。
また、業務用となれば「測定の精度」や「管理のしやすさ」も重要なため、手軽で高精度のアルコールチェッカーを検討しましょう。
関連記事:『アルコールチェッカーとは?導入する際に必要な選び方・種類・おすすめの検知器を解説』
1-1 なぜ呼気でアルコールを検知できるの?
アルコールチェッカーは、誰でも簡単に体内のアルコール濃度を測定できますが、なぜ呼気を吹き込むだけで、体内に残ったアルコール濃度を正確に測れるのでしょうか?
アルコールチェッカーが呼気から測定値を算出できる理由は、肺を流れる血液中のアルコール成分が、呼吸を通じて体外へ漏れ出す性質を利用しているからです。
私たちがアルコールを摂取すると、わずかに粘膜から吸収されるほか、約25%が胃で、残りの大部分が小腸で吸収されます。
吸収されたアルコールは、ほぼすべてが血液中に入り、肝臓で分解しきれなかった分が血液と共に全身を巡って脳(中枢神経)に作用し、いわゆる「酔い」の状態をもたらす仕組みです。
血液が肺に到達すると、揮発しやすい性質を持つアルコールの一部は、酸素と二酸化炭素のガス交換に伴って「呼気」へと移ります。
この呼気中に含まれるアルコール濃度(mg/L)は、血中アルコール濃度(%)を5倍した数字とほぼ相関することが分かっています。
つまり、吐き出す息を調べることで、採血をせずとも間接的に「どれくらい酔っているか(血中濃度)」を数値として把握できる、という仕組みになっています。
アルコール分解についてさらに詳しく知りたい方は、以下の関連記事を参考にしてください。
2.アルコールチェッカーの感知センサーの違い

アルコールチェッカーには、呼気中のアルコール濃度を判別する「センサー」が内蔵されており、大きく分けて以下の2つに分けられます。
- ・半導体式ガスセンサー
- ・電気化学式(燃料電池式)センサー
アルコールチェッカーの見た目は似ていても、アルコール濃度の測定原理にそれぞれ違いがあります。
| 比較項目 | 半導体式ガスセンサー | 電気化学式(燃料電池式)センサー |
|---|---|---|
| 測定 | 酸素量による抵抗値の変化 | アルコールを燃料とした発電量 |
| 主なメリット | 低価格・小型・測定が速い傾向にある | 高精度・誤検知が少ない・高耐久 |
| 主なデメリット | 他のガスに反応しやすい(誤検知) | 価格が比較的高め |
| おすすめ用途 | 個人の簡易チェック | 企業の安全運転管理・業務利用 |
2-1 半導体式ガスセンサー
安価だが誤検知が多くなりがち
センサー表面に付着する酸素量によってセンサー内部の電気抵抗値が変化します。飲酒をしている場合は、アルコール成分によって酸素量が減少するため、電気抵抗値が低くなります。
電気抵抗値が低いほど体内のアルコール濃度が高いと判定されます。
2-2 電気化学式(燃料電池式)センサー
高精度で業務用に適している
呼気に含まれるアルコールを燃料として電気を発生させ、アルコール濃度を測定します。電気の発生量が多いほど呼気中のアルコール濃度が高いと判定されます。
上記のほか、半導体式は反応性を高めるため加熱用ヒーターを内蔵しており、電気化学式センサーは非加熱状態で使用するという違いがあります。
3.【選び方】どちらのセンサーを選ぶべき?

2つのセンサーの違いを把握した上で、個人利用であれば「半導体式ガスセンサーのアルコールチェッカー」を、業務用の場合は「電気化学式(燃料電池式)センサーのアルコールチェッカー」を選ぶのが良いでしょう。
その理由と共に、各センサーのメリット、デメリットを確認していきましょう。
3-1 半導体式ガスセンサーのメリット・デメリット
半導体式ガスセンサーのアルコールチェッカーのメリット、デメリットを確認します。
半導体式ガスセンサーのアルコールチェッカーのメリット
①「価格が安い」
半導体式ガスセンサーを搭載したアルコールチェッカーは、センサーが比較的安価なため、多くの台数が必要な場合でも導入コストを抑えて導入することが可能です。
②「小型」
センサー本体が小型なためアルコールチェッカーも小型になり、持ち運びが容易です。個人での利用にもおすすめです。
③「素早い応答性」
半導体式ガスセンサーを搭載したアルコールチェッカーは、検知結果を素早く確認することが可能で、測定に時間がかかりません。
半導体式ガスセンサーのアルコールチェッカーのデメリット
①「アルコール以外のガスにも反応する(誤検知の可能性が高い)」
半導体式ガスセンサーは酸素量をもとにアルコール濃度を測定するため、呼気に含まれるアルコールに近い成分に反応しやすく、アルコールを摂取していないにもかかわらずアルコールが検知される場合があります。
②「環境の影響を受けやすい」
周囲の環境によっては呼気を吹き込んでいる際の酸素量が減少してしまい、正常な検知結果が出にくいことがあります。
以上のメリット、デメリットから、半導体式ガスセンサーのアルコールチェッカーは、「個人利用」におすすめです。
3-2 電気化学式(燃料電池式)センサーのメリット・デメリット
続いて、電気化学式(燃料電池式)センサーのアルコールチェッカーのメリット、デメリットを確認していきましょう。
電気化学式(燃料電池式)センサーのメリット
①「精度が高い」
アルコール成分を燃料として電気を発生させるため、アルコール以外のガスへ反応しにくい特性があり、エタノール以外にはほぼ反応せず、より高精度の測定が可能です。
②「高耐久」
電気化学式(燃料電池式)センサー搭載のアルコールチェッカーは半導体式センサーと比較すると、経年劣化しにくい傾向です。
しかし、アルコールの反応があると検知器の劣化が早まるため、何度もアルコールの反応を出していると検知精度が落ちてくる場合もあります。
③「外的影響を受けにくい」
電気化学式センサーは密閉性が高いため、気圧や結露といった周囲環境や、食事・タバコ・薬などの影響を受けにくい特性があります。
電気化学式(燃料電池式)センサーのデメリット
①「価格が高い傾向にある」
製造コストが比較的高価なため検知器本体の価格も高くなります。
②「反応時間が長く、測定に時間がかかる」
半導体式ガスセンサーと比較すると、センサーの反応時間が長く、検知結果が表示されるまでに多少時間がかかります。
③「メンテナンスコストが高い」
電気化学式センサーは製造コストが高いこともあり、定期的な検知器の校正やメンテナンスのコストも高い傾向があります。
以上のメリット、デメリットから電気化学式(燃料電池式)センサーのアルコールチェッカーは、精度や耐久性が求められる業務用としておすすめできます。
4.アルコールチェッカーの仕組みから見る「誤検知」の原因と対策

アルコールチェッカーを利用していると「誤検知」に悩まされることがあります。
多くのアルコールチェッカーは、呼気に含まれるアルコール(エタノール)に反応するように設計されていますが、センサーの特性上、特定の成分をアルコールと誤認してしまう場合があります。
誤検知が発生すると、業務の遅滞や信頼性の低下に繋がりかねませんので、その原因と対策を把握し、安全運転管理のために備えておきましょう。
4-1 アルコール誤検知の主な原因は?
誤検知の多くは、センサーがアルコール以外の「揮発性成分」や「体内ガス」に反応することで起こります。
最も一般的な原因は、アルコールを含んだ口腔ケア用品や特定の飲食物です。
例えば、マウスウォッシュや歯磨き粉、栄養ドリンクには微量のアルコール成分が含まれていることがあり、使用直後に測定するとアルコールが検知されることがあります。
また、喫煙直後の呼気に含まれる一酸化炭素や、パンやキムチといった発酵食品の摂取直後も注意が必要です。
さらに、体調面でも空腹時や起床直後の「ケトン体」という体内成分が呼気から検出され、センサーが反応するケースもあります。
上記のようなアルコール以外で反応しやすい成分を把握しておくことで、誤検知を防ぐことができるでしょう。
4-2 アルコール誤検知の対策は?
アルコールの誤検知を防ぎ、正確な測定結果を得るための最も有効な対策は、測定前の「うがい」と「適切なタイミング」の測定です。
飲食や喫煙を行った後は、必ず水で十分にうがいをして口の中に残っている成分を取り除いてください。
また、飲食後すぐに測定するのではなく、最低でも15分から20分程度の時間を空けてから検査を実施することが推奨されます。
運用ルールとメンテナンスの徹底
見逃されがちですが、アルコールチェッカー本体の整備も誤検知を防ぐために大切です。
アルコールチェッカーを保管・使用する場所では、芳香剤や消毒用アルコールの使用を避けるようにしましょう。
また、センサー自体が経年劣化すると感度が不安定になり、誤検知を誘発しやすくなります。
メーカーが指定する使用期限や測定回数を遵守し、定期的な校正(メンテナンス)を行うなど、常に本来の測定精度を維持できるよう管理体制を整えることで、誤検知を防ぐことができるでしょう。
5.まとめ|アルコールチェッカーの仕組みと違いを理解して正しく運用しよう
現在は、航空・タクシー・船舶・運送系の企業に加え、一定台数の白ナンバー車両を保有の事業者もアルコールチェッカーを使用したアルコールチェックが義務化となっています。
どちらのセンサーもメリット・デメリットが存在するので、どちらを選ぶべきなのかしっかりと比較をしたうえで選ぶことが重要です。
| センサー方式 | 測定原理 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
半導体式ガスセンサー |
・センサー表面に付着する酸素量によって検知器のセンサー内部の電気抵抗値が変動(電気抵抗値が低いほど呼気中のアルコール濃度が高いと判定される) |
・価格が安い |
・アルコール以外のガスに反応することがある |
電気化学式(燃料電池式)センサー |
・呼気に含まれるアルコールを燃料として電気を発生させ、アルコール濃度を測定(電気の発生量が多いほど呼気中のアルコール濃度が高いと判定される) |
・アルコール以外のガスに反応しにくい |
・価格が高い |
また、「アルコールチェッカーを利用する社員数が多いから、コストを考慮して比較的安価な半導体式ガスセンサーにしよう」「薬を飲んでいる社員がいるから電気化学式にしよう」など、予算や社員の状況に合わせて選ぶのも良いかもしれません。


