高速道路の深夜割引はいつ変わる?制度見直しの内容と2026年以降に延期の理由を解説
高速道路の深夜割引は、深夜帯の通行料金を一律30%割り引く制度として、長年多くのドライバーや運送事業者に利用されてきました。
しかし、現行制度では、割引を受けるために料金所前で待機する車両による渋滞や、道路の老朽化対策、料金体系の公平性が課題となっており、制度の見直しが決定しています。
当初は、2024年度中の開始が予定されていましたが、システムの開発状況や環境の変化により、運用開始は2026年度以降へと再延期される見通しとなりました。
そこで本記事では、高速道路の深夜割引の見直し内容や、延期の背景、運送事業者が備えるべきポイントについて詳しく解説します。
※本記事の内容は、2025年12月時点の国土交通省・NEXCO各社の公表情報に基づいています。
目次 / この記事でわかること
1. 高速道路の深夜割引は「廃止」ではなく「見直し」

今回の高速道路の深夜割引制度について勘違いしているケースが多いようですが、高速道路の深夜割引は「廃止」されるのではなく「見直し」されます。
当初は2024年度末の開始が予定されていましたが、システム開発の遅延により、運用開始は2026年度以降へ再延期されました。
新制度の最大の変化は、割引対象が「時間内に入出庫した全走行分」から「深夜帯(22時〜翌5時)に実際に走行した分のみ」へと抜本的に変わることです。
現行の割引は当面継続されますが、将来的な経営コストの試算や、運行ルートの見直しなど、対策を講じる重要な準備期間と言えるでしょう。
2. そもそも現行の高速道路の深夜割引とは?概要と導入背景

そもそも高速道路の深夜割引は、一般道の騒音や渋滞を緩和し、交通量の少ない深夜帯の利用を促すために、導入された制度です。
今回の制度見直しについて理解するために、本章では、現行の高速道路の深夜割引の仕組みと、この制度が作られた背景について詳しく解説します。
2-1 現行の高速道路の深夜割引の概要
現行の高速道路の深夜割引の概要は、以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象時間帯 | 午前0時〜午前4時 |
| 割引率 | 30%割引 |
| 対象車種 | すべての車種(軽自動車・二輪・普通車・中型・大型・特大) |
| 利用条件 | ETCを搭載し、無線通信走行(ETCカード利用)をすること |
| 適用ルール | 対象時間内(午前0時〜4時)に、入り口または出口の料金所を通過、あるいは高速道路上にいれば「全走行分が割引対象」となる |
| 対象道路 | NEXCO3社(東日本・中日本・西日本)が管理する全国の高速自動車国道および、一部の一般有料道路 |
ETC車載器を搭載したすべての車種が対象となります。
最大の特徴は、対象時間内に1分でも高速道路上にいれば、どれほど長い距離を走っていてもその通行料金全体が割引対象になる点です。
この仕組みにより、長距離トラックや深夜移動をする一般ドライバーの経済的負担を大幅に軽減しています。
なお、京葉道路、第三京浜道路、横浜新道、横浜横須賀道路などは深夜割引の対象外です(※首都高速、阪神高速などは別体系の割引制度となります)。
2-2 高速道路の深夜割引が導入された背景
高速道路の深夜割引制度が導入された主な目的は、交通量の多い昼間の渋滞緩和と、沿道の環境改善です。
当時は、一般道の交通量が多く、夜間の交通量を高速道路へ転換させることで、国道沿いの騒音や排ガス問題を軽減する狙いがありました。
また、料金を割り引くことで、運送事業者の運送コストの低減を支援し、物流の活性化も期待されていました。
実際に、深夜割引は物流業界に定着し、長距離輸送の前提条件として運賃設定や運行計画にも組み込まれています。
3. 高速道路の深夜割引|なぜ制度が見直しされた?

深夜割引は長年にわたり物流を支えてきましたが、その一方で「特定の利用者だけが過度に恩恵を受けているのではないか」「老朽化対策などに必要な料金収入を十分に確保できない」といった課題も指摘されてきました。
また、制度が定着するにつれ、「割引適用のタイミングを待つために、午前0時直前に料金所付近の路肩やサービスエリアが車両であふれかえる」といった、当初の想定にはなかった新たな課題が表面化してきました。
例えば、長距離輸送を前提にしたトラックでは、深夜割引の時間帯に合わせて出入り口だけを調整し、実際には日中走行が多いケースも見られます。
こうした利用方法は制度上は合法であるものの、「本来の趣旨とは異なる」との意見が集まりました。
また、ドライバーが割引のために不自然な時間調整を強いられることは、物流業界における長時間労働の是正(2024年問題)を妨げる要因にもなっています。
ドライバーさんの負担を軽減するためにも「0時待ち」の不自然な待機時間は早く解消されてほしいですね。
さらに、高速道路の老朽化が進むなかで、維持管理や更新に必要な費用も増加しています。
そこで国土交通省や高速道路会社各社は、公平な料金体系に見直す必要があると判断し、深夜割引の制度見直しを決定しました。
結果として、2024年に割引時間帯の拡大や、距離上限の設定などを含む具体的な見直し案が公表されました。
4. 高速道路の深夜割引の制度見直し|2026年度以降に再延期

深夜割引の制度見直しは、2023年1月に国土交通省と高速道路会社から方針が公表され、その後、2024年7月に具体的な運用内容が示されました。
当初は、2024年度末(2025年3月頃)の運用開始が見込まれていました。
しかしその後、システム改修の準備状況などを理由に「2025年7月頃」に延期され、2025年10月には、新システムの構築に想定以上の時間を要することなどから、「2026年度以降」に再延期する方針が発表されました。
また、運送業界の運行管理システムとの連携調整や、利用者への十分な周知期間が必要と判断されたことも、再延期の理由のひとつです。
そのため、2025年12月時点では、現行制度の深夜割引が継続されています。
運送事業者の方にとって、「いつから変わるのか」「どの程度コストに影響するのか」が読みづらい状況が続いているため、今後の公式発表を随時チェックしながら、運行計画や運賃設定への影響をシミュレーションしておくことが重要です。
なお、NEXCO中日本の公式サイトでは、深夜割引料金のシミュレータを利用できます。
出発ICや到着IC、時間帯や車種などを入力すると、発生料金がすぐに確認できるため、ぜひ活用してみてください。
5. 高速道路の深夜割引の制度見直しで何が変わる?

高速道路の深夜割引の制度見直しにより、割引の考え方は「時間内に高速道路内にいればOK」から「時間内に走った分だけお得」という、合理的なものへと変化します。
本章では、高速道路会社3社が公表している「深夜割引の見直し」に関する内容を整理し、具体的に何が変わるのか解説します。
5-1 割引適用時間帯が22:00〜翌5:00に拡大
制度見直し後は、深夜割引の対象時間帯が「0時〜4時(4時間)」から「22時〜翌5時(7時間)」に拡大される予定です。
これにより、現在よりも早い時間帯から割引を受けられるようになり、出発時間や休憩時間の調整がしやすくなります。
特に、長距離トラックでは、早めに出発して途中で休憩を挟みながら、割引時間帯をうまく活用する運行パターンが組みやすくなるでしょう。
ただし、割引時間帯が長くなる分、夜間の走行が増え過ぎると、休息時間の確保や過労運転のリスクが懸念されるため注意が必要です。
5-2 割引適用時間帯の走行分のみが割引対象に
現行制度では、入口または出口のどちらかが0時〜4時にかかっていれば全区間が割引対象ですが、制度見直し後は「22時〜翌5時に走行した区間のみ」が割引対象になります。
例えば、21時に入って23時に出る場合は、22時以降に走行した区間だけが割引される仕組みです。
これにより、深夜割引の時間帯に出入りを合わせることで、日中走行の割引を受ける利用方法は抑制されます。
利用者の不公平感がなくなり、ムダな待機時間も解消されそうですね。
5-3 割引は「後日還元型」に
深夜割引の制度見直し後は、通行料金の精算時に「その場で割引される方式」から、「後日還元型」に変更される予定です。
走行時は、いったん通常料金で決済され、その後、条件を満たした走行分について、月単位などで、ETCマイレージサービスやETCコーポレートカードを通じて、割引額が還元されるイメージです。
これにより、利用状況に基づいて、まとめて割引額が算出されるため、事業者側は割引額を把握しやすくなります。
一方で、走行時点では負担額が分かりにくくなるデメリットがあります。
高速道路を利用する企業においては、経費計算やコスト管理の方法の見直しが必要になるでしょう。
5-4 割引適用距離に上限を設置
深夜割引の制度見直しでは、無謀な運転や速度超過を抑制するため、「深夜割引の時間帯に走行した距離」に上限が設けられる予定です。
| 車種区分等 | 上限距離 |
|---|---|
| 軽自動車・普通車・中型車・乗合型自動車 | 利用時間1時間あたり105km |
| 大型車・特大車(乗合型自動車以外) | 利用時間1時間あたり90km |
上限距離は、厚生労働省が定める「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」における連続運転時間の考え方などを参考に、利用時間が4時間を超える場合は、30分の休憩を考慮して設定されています。
「法定速度で走行した場合の距離」や「法律に基づいた労働時間」をもとに、料金が設定されるということです。
この制度見直しにより、「割引額を増やすために深夜に猛スピードで走る」といった危険な運転を防止でき、高速道路の安全・安心な利用環境を維持することが期待されています。
5-5 激変緩和措置の実施
深夜割引の制度見直しにより、長距離輸送を中心とする運送事業者では、一時的に通行料金の負担額が増加することが懸念されています。
その対策として、運用開始から5年程度の「激変緩和措置」が用意されています。
「激変緩和措置」の主な内容は2つです。
ひとつは「1,000kmを超える超長距離利用の場合、1,000kmを超えて走行した分を割引対象走行分に加算する措置」、もうひとつは「22時台に高速道路を出る車両の割引率を最大20%(通常30%)とする措置」です。
これにより、運送事業者が受ける経済的負担を和らげ、新制度へのスムーズな定着が図れると期待されています。
5-6 長距離逓減(ていげん)制の拡充
高速道路の深夜割引の見直しと合わせて実施されるのが、「長距離逓減制」の拡充です。
【長距離逓減制とは?】
NEXCO3社が管理する高速道路のうち、対距離料金を適用する高速自動車国道の利用にあたり、利用距離に応じて通行料金を逓減する制度です。
走行距離が長くなるほど通行料金の単価が下がる仕組みで、特に400kmを超える走行は、割引率が引き上げられます。
例えば、600km超~800km以下は45%引き、800km超は50%引きなどの制度が導入される予定です。
今回の高速道路の深夜割引の制度見直しにより、長距離トラックなどの運送事業者の負担が増えることが懸念されていますが、この逓減制の拡充により、長距離輸送のコストを抑えられることが期待されています。
6. 高速道路の深夜割引|制度見直しに伴い企業に求められること

高速道路の深夜割引の制度見直しは、運送事業者の経営面に影響する変化です。
運用開始が2026年度以降に延期された今、この準備期間を生かして対策を講じる必要があります。
そこで本章では、新制度導入後の混乱を最小限に抑えるために、企業として押さえておきたいポイントや準備しておきたいことについて整理します。
6-1 運行計画やルートの見直し
新制度の導入後は、「午前0時通過」を基準とした運行計画は通用しなくなります。
「深夜割引の時間帯にどの区間を走行するか」「どこで休憩を取るか」を再検討しなければなりません。
また、一般道との組み合わせや渋滞予測を考慮し、取引先の入出荷時間や納品時間とのタイミングを図ることが重要です。
走行管理システムや走行データを活用し、制度開始前から複数パターンのシミュレーションを行っておきましょう。
6-2 コスト試算や運賃・見積もり条件の見直し
高速道路の深夜割引が「後日還元型」になることで、会社のキャッシュフローや荷主への請求金額に影響が出ます。
また、走行分のみの割引となるため、実質的な通行料金の値上げになるケースも想定されるでしょう。
デジタコや、走行管理機能が搭載されたアルコールチェッカー、ドラレコなどの走行データを活用し、新制度導入後のコストを試算しておくと安心です。
その上で、運賃の見直しを検討し、取引先とも早めに情報を共有しておくと新制度にスムーズに対応できるでしょう。
傭車を多用している企業では、協力会社の運行形態にも影響が出るため、契約条件や料金設定の整理を進めておきましょう。
6-3 労務管理や安全管理の見直し
制度見直し後は、走行距離上限が設定されるため、無理な走行を強いるスケジュールは、交通違反や重大事故のリスクを高めます。
割引を優先するあまり、過度な長時間労働や連続運転になれば、本末転倒です。
運行計画を組む際には、労働時間上限や休息時間の確保を前提に、無理のないスケジュールを組みましょう。
また、夜間運転は居眠りや判断ミスのリスクが高まるため、健康状態のチェックや点呼の厳格化、AIドラレコなどの安全装置の活用も検討しましょう。
6-4 社内教育や情報共有の実施
制度が大幅に変わるため、ドライバーや運行管理者が混乱しないよう、社内勉強会などの情報共有を行いましょう。
運行に関わるすべての従業員が制度を理解することで、スムーズな連携が取れるようになるでしょう。
深夜割引の制度見直しのポイントをまとめた資料を作成し、社内説明会やeラーニングなどを通じて周知・教育するとよいでしょう。
特に、「どの時間帯・どの区間を走ると割引になるのか」「割引対象外となるケースは何か」といった具体的な例を示すことで、現場での判断がしやすくなります。
また、制度開始後に想定外の影響が出た場合に備え、現場からフィードバックを集める仕組みも用意しておくと、運用のブラッシュアップに役立ちます。
6-5 最新情報をチェックする
高速道路の深夜割引の制度見直しは、すでに内容が固まっているものの、運用開始時期や細部の仕様については、今後も変更や追加情報が出る可能性があります。
国土交通省やNEXCO各社の公式発表などを定期的にチェックし、最新情報を定期的に確認しましょう。
社内で担当者を決め、制度変更に関する情報を共有・更新する体制づくりも、重要なリスク対策と言えるでしょう。
7.【Q&A】高速道路の深夜割引と制度の見直しに関するよくある質問

深夜割引の制度見直しは、走行距離、料金形態、時間帯など、さまざまな項目が変更されており、導入時期も遅れていることから、「結局どうなるのか分からない」という声も少なくありません。
そこで本章では、ドライバーや運送事業者からよく挙がる疑問をQ&A形式で解説します。
高速道路の深夜割引は廃止される?
深夜割引そのものが廃止されるわけではありません。
制度見直し後も、深夜帯の料金が安くなる仕組みは維持されます。
むしろ、対象時間が22時から5時へ拡大されるなど、制度自体は「拡充」される側面もあります。
ただし、現在の計算方法や距離上限が変更されるため、廃止ではなく、「形を変えて継続される」と理解すると良いでしょう。
深夜割引の対象道路に変更はある?
深夜割引の制度見直し後も、対象道路に変更はありません。
現行の制度と同じく、NEXCO3社(東日本・中日本・西日本)が管理する全国の高速自動車国道などが割引の対象です。
西湘バイパスや小田原厚木道などの均一料金制区間では、現在と同様に、料金所の通行時間が22時から翌5時の間であれば、全走行分に対して30%の還元率が適用されます。(※激変緩和措置を実施している間は、22時台に料金所を通過した場合、20%の還元率となります。)
京葉道路や第三京浜などの一部の有料道路や、地方道路公社が管理する道路、一区間ごとに定額料金を設定している道路については、独自のルールが適用されます。
利用頻度の高い路線については、個別に最新情報を確認しましょう。
「ETC車載器なし」は深夜割引の対象外?
高速道路の深夜割引は、制度見直し後も深夜割引を受けるためには、「ETC車載器」の搭載と「ETCカード」の利用が必須条件です。
さらに新制度では「後日還元型」となるため、ETCマイレージサービス等への登録も実質的に必要となります。
現金で支払う場合は、時間帯を問わず割引が適用されないため注意しましょう。
今後、走行距離を正確に測定するために、より高度な通信を行う可能性もあります。
古い型のETC車載器を使用している場合は、使えなくなる可能性があるため、早めに確認と買い替えを検討しましょう。
高速道路のほかの割引と重複する場合、どちらが優先される?
高速道路には、深夜割引のほかにも、休日割引や大口・多頻度割引など複数の割引制度やポイント制度があります。
複数の割引条件を満たす場合の取り扱いは、以下のとおりです。
| 割引の種類 | 優先順位・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 休日割引 | 安い方の料金が適用されます。 | いったん「休日割引」の料金で支払い、深夜割引の方が安い場合は、後日差額が戻ります。 |
| 平日朝夕割引 | 深夜割引が優先されます。 | 両方の時間帯をまたいで走っても、平日朝夕割引は対象外です。 |
| 大口・多頻度割引 | 両方とも適用可能です。 | ただし、深夜割引の割引後料金が、大口・多頻度割引の対象となります。 |
| マイレージポイント | 深夜割引前料金に対して計算されます。 |
複数の割引を利用している運送事業者は、「どの割引が優先されるのか」「割引率がどう変わるのか」を把握し、運賃や見積もり条件などへ反映させることで、制度の導入後もスムーズに対応できるでしょう。
割引額の確認方法は?
高速道路の深夜割引の制度見直し後は、料金所の電光掲示板には「割引前の通常料金」が表示されるようになります。
実際の割引額(還元額)を確認するには、後日「ETCマイレージサービス」のマイページや、ETCコーポレートカードの利用明細を確認しましょう。
運送事業者の場合は、月ごとに請求書やCSVデータをダウンロードして集計することで、路線別・時間帯別の割引額を把握しやすくなるでしょう。
8. まとめ|高速道路の深夜割引、今後の動向をチェックしよう
本記事では、高速道路の深夜割引の見直し内容や、延期の背景、運送事業者が備えるべきポイントについて詳しく解説しました。
深夜割引は「午前0時待ち」の解消や物流効率化を目指し、22時〜5時の走行分を対象とする新しい仕組みへと変わります。
当初、2024年度末の実施が見込まれていたものの、システム構築の遅延により、運用開始時期は2026年度以降へ再延期されています。
この猶予期間を生かして、運行ルートやコスト管理の見直しを行い、新制度の導入に備えましょう。


