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お酒が苦手な方を「下戸(げこ)」と呼ぶ由来と意味|下戸の方でもお酒を楽しむコツ

「お酒が苦手な人」を指す言葉としてよく使われる「下戸(げこ)」ですが、言葉の由来や本来の意味をご存じですか?

日常会話で何気なく使われる「下戸」という言葉は、実は日本の歴史や文化に深い関係があります。

そこで本記事では、「下戸」という言葉の由来や背景をひも解きながら、お酒が苦手な方でも無理せず楽しむコツについて紹介します。

「飲み会が憂鬱…」「お酒は飲めないけど、場の雰囲気を楽しみたい」と感じる方に役立つ知識を紹介しますので、参考にしてください。

1.そもそも「下戸(げこ)」とは?意味と由来

下戸という言葉は、古くから日本で使われてきた表現であり、日本の歴史や文化に基づいて誕生した言葉です。

本章では、下戸の意味や由来について詳しく解説します。

下戸(げこ)の意味

下戸(げこ)とは、お酒を飲むことが苦手な人や飲まない人を指す言葉です。

あくまでも、体質的にアルコールに弱い人を指す言葉であり、病気や宗教上の理由でお酒が飲めない人を下戸とは呼びません。

一方で、お酒を飲むのが好きでたくさん飲める人や、飲んでも酔わない人を、「上戸(じょうご)」と言います。

また、酔った時によく笑う人は「笑い上戸」、泣いてしまう人は「泣き上戸」と表現されます。

日本人には下戸の方が多く、体質的にアルコールの分解能力が低いため、お酒を飲むと顔が赤くなったり、二日酔いを起こしやすい傾向があります。

二日酔いの対策については、以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。

関連記事:『飲酒前・中・後の二日酔い対策を紹介|翌日の適切なケアやNG行動も解説
お酒で顔が赤くなるのはなぜ?強い人・弱い人の違いや赤くならない方法を解説

下戸(げこ)の由来は諸説あり

下戸の由来は諸説ありますが、階級制度に由来する説が有力です。

古くは、奈良時代までさかのぼります。

701年に、中国の律令を参考に作られた「大宝律令」という法典では、 現代における刑法、民法、行政法、訴訟法などが制定されました。

この大宝律令には、世帯ごとに労働可能な青年男子の人数や、保有資産によって階級を分類する制度が定められ、階級の呼称に上戸や下戸が使われていました。

  • 青年男子が8人以上の世帯:大戸(たいこ)
  • 青年男子が6〜8人の世帯:上戸(じょうご)
  • 青年男子が4〜5人の世帯:中戸(ちゅうこ)
  • 青年男子が3人以下の世帯:下戸(げこ)

上流階級であればあるほど、納税額が多く、その恩恵として婚礼の際に飲めるお酒の量が多く決められていたようです。

上戸の場合、飲めるお酒は8瓶、下戸は2瓶とされ、これが後にお酒が飲める人を上戸、飲めない人を下戸と呼ぶようになったと言われています。

ほかにも、下戸という言葉は、万里の長城に由来している説があります。

中国の秦の時代(日本は弥生時代)に築かれた万里の長城には、寒さが厳しい山の上にある「上戸」という城門と、人の出入りが多い平地に建てられた「下戸」という城門がありました。

門番をする兵士を労うために、上戸の兵士には酒を、下戸の兵士には饅頭を支給していました。

これに由来して、上戸はお酒が飲める人を指し、下戸は飲めない人を指すようになったと言われています。

2.「右党」「左党」もお酒に関する得意不得意を指す言葉

下戸以外にも、お酒が苦手な人を「右党」、お酒がたくさん飲める人を「左党」と表現することがあります。

右党と左党の由来は、江戸時代に誕生したと言われています。

江戸時代の大工や鉱夫は、右手に叩くための鎚(つち)をもち、左手に削るためのノミを持っていました。

この状態を見て、右手を「つち手」、左手を「のみ手」と呼ぶようになり、「のみ手」が「飲み手」と同じ音だったことから派生して、お酒が飲める人を左党、苦手な人を右党と呼ぶようになったと言われています。

3.下戸の方でも楽しめるお酒の飲み方とコツ

飲み会の雰囲気によっては、お酒を完全に避けるのが難しい場面もあるでしょう。

しかし、お酒が苦手な下戸の方でも、無理せず楽しみながら飲む方法があります。

本章では、体調を崩さず楽しい時間を過ごすための飲み方のコツについて5つ紹介します。

① 水と一緒にお酒を飲む

お酒を飲む際は、水も一緒に飲みましょう。

アルコールには利尿作用があり、脱水状態になりやすい傾向があります。

そのため、水分が失われることで体内のアルコール濃度が上がりやすいため、頭痛や吐き気、めまいなどの不快な症状を引き起こす可能性があります。

水分補給をこまめに行うことで、体内のアルコール濃度を下げ、これらの不快な症状の予防が期待できます。

「お酒を一口飲んだら、水も一口飲む」「ビールを1杯飲んだら、ソフトドリンクや水を1杯飲む」とルールを決めて、楽しいお酒の席を楽しみましょう。

② 食事と一緒にお酒を飲む

空腹時にお酒を飲むと、アルコールの吸収速度が上がり、酔いやすくなります。

下戸の方は、飲酒前や飲酒中に食べ物を食べることで、アルコールの吸収が穏やかになり、安心してお酒を楽しめます。

とくにタンパク質を多く含む食材は、アルコールの吸収を緩やかにします。おすすめ食材は以下のとおりです。

【お酒を飲む前・最中におすすめの食材】
チーズ、枝豆、豆腐、厚揚げ、焼き鳥、焼き魚、だし巻き玉子など

居酒屋で見かけるメニューは、アルコールの吸収を穏やかにする食材が使用されている場合が多いです。

脂質を多く含む食材も、アルコールの吸収を穏やかにしますが、胃や小腸に負担をかけるため、タンパク質を中心としたメニューがおすすめです。

③ お酒を飲むペースをゆっくりにする

アルコールの分解は主に肝臓で行われ、飲酒後30分〜2時間程度で、血中アルコール濃度がピークに達します。

短時間で大量飲酒をすると、血中アルコール濃度が急激に上がり、体調不良や急性アルコール中毒などのおそれがあります。

とくに下戸の方は、体質的にアルコールの分解が苦手なため、お酒を飲むペースをゆっくりにすることが重要です。

周りの人と語り合ったり、笑い話をしながら、お酒の味とその場の雰囲気を楽しんで上手に飲みましょう。

参考:適正飲酒の10か条|公益社団法人アルコール健康医学協会

④ アルコール度数が低いお酒を選ぶ

下戸の方は、アルコール度数が低い飲み物を選ぶのもポイントです。

アルコールの分解速度には個人差があり、下戸の方に限らず、体格が小さい女性や高齢者は、少量の飲酒で酔う可能性があります。

そのため、サワーや酎ハイなど度数が低いお酒がおすすめですが、甘くて飲みやすいカクテルの中には、20%を超えるようなお酒がベースに使われている場合があります。

飲みすぎると不快な症状を引き起こす可能性があるため、注文する前にアルコール度数を確認しておくと良いでしょう。

⑤ サプリメントを活用する

最近では、アルコールの分解を助けるサプリメントも販売されています。

アルコールは体内で酵素によって分解されますが、とくにお酒が苦手な方は、酵素の働きが低い、もしくは機能していないと考えられます。

そのため、アルコール分解酵素が配合されたサプリメントを活用することで、アルコール代謝がスムーズになると期待されています。

さらに、コンビニやドラッグストアで販売されている栄養補助ドリンクも、アルコール代謝を助ける働きがあるとして、飲酒前に飲む方が増えています。

ただし、「サプリメントを飲めば、お酒をたくさん飲んでも大丈夫」という訳ではありません。過剰摂取は臓器に負担をかけるため、適切な用量を守ることが大切です。

無理をしない範囲で、楽しくお酒を飲むように心がけましょう。

4.自分のアルコールの体質を知って対策することも大事

体内に入ったアルコールは肝臓で分解され、分解途中でアセトアルデヒドという毒性物質が生まれます。

アセトアルデヒドは、顔の赤みや動悸、吐き気、頭痛などの症状を引き起こします。

アセトアルデヒドはALDH2という酵素によって分解されますが、下戸の方は、ALDH2が低活性、または不活性の体質を持っています。

そのためコップ1杯のビールでも体調不良になりやすく、お酒を飲む際は工夫が必要です。

また、体質にあった飲酒習慣を身につけるためにも、アルコール体質検査やパッチテストがおすすめです。

近年は、アルコール体質検査が手軽に受けられるようになり、自分で唾液を採取し、検査機関に郵送するだけで体質が判定できるサービスもあります。

未成年者でも検査できるため、将来の健康管理や、お酒との付き合い方を考えるうえで役立ちます。

以下の関連記事では、実際にアルコール体質検査を受けた弊社従業員のレポートをまとめています。興味のある方はぜひ参考にしてください。
関連記事:『【体験談】アルコール体質検査を体験|適切な飲酒量を把握して上手に付き合おう

5.まとめ|下戸(げこ)の方でもお酒と上手に付き合える

本記事では、「下戸」という言葉の意味や由来、お酒の上手な楽しみ方などについて解説しました。

お酒が苦手な下戸の方でも、体に負担をかけない飲み方を知っていれば、飲み会や社交の場を無理なく楽しむことができます。

また、自分のアルコール体質を理解し、自分に合ったお酒の量やペースを守ることで、頭痛や吐き気、動悸などの不快症状を防ぐことが期待できます。

自分の体質やライフスタイルに合った選択をして、健康第一でお酒の場を楽しみましょう。

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この記事の執筆者

株式会社パイ・アールPAI-R Co., Ltd.

安心・安全な交通社会の実現へ向けてさまざまな課題や解決を探求し、アルコールチェックをはじめドライバーの安全管理や業務管理にまつわるさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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