駐車違反の違反点数と罰金の関係性|支払い方法や社用車で違反した場合の対処法を紹介
車を運転する際に、多くの人が避けたいトラブルのひとつに「駐車違反」があります。
駐車違反で取り締まりを受けると、罰金の支払いや違反点数の加算といった厳しいペナルティが科され、前歴次第で免許停止の可能性もあります。
とくに社用車で駐車違反した場合、会社や同僚へ迷惑をかけるため、社用車に乗ることが多い方や社用車の管理担当者は適切な対応が求められます。
そこで本記事では、駐車違反で発生する罰金や違反点数を紹介するとともに、罰金の支払い方法、支払わない場合に発生するぺナルティについて解説します。
また、社用車で駐車違反した際の適切な対処法について紹介しますので、今後の社用車の運用に活用してください。
目次 / このページでわかること
1.駐車違反(駐禁)の3つの種類
2023年の道路交通法違反(点数告知に係る違反を除く)の総件数は448万4,894件で、そのうち14万5,311件が駐車違反でした。
1日で約400件の駐車違反が発生していると計算でき、さまざまな交通違反のなかで7位にランクインするほど発生件数が多い交通違反です。
駐車違反は大きく3種類に分類され、違反内容や罰金の額が異なります。
そこで本章では、
- ① 駐停車違反
- ② 放置駐車違反
- ③ 保管場所違反
について、詳しく解説します。
① 駐停車違反
駐停車違反とは「車内に人がいる状態かつ、駐車および停車が禁止されている場所で駐停車を行った場合の違反」です。5分以内の貨物の積み下ろしや人の乗降のための停車は除外されます。
警察官や駐車監視員から車両の移動を命じられたら、直ちに従わなければなりません。
駐車監視員の場合は移動を命じられるだけですが、警察が移動を命じた際に運転者がいる場合、青切符(交通反則告知書)が切られます。
違反点数が加算され、運転者は反則金を支払う必要があります。
② 放置駐車違反
放置駐車違反とは「駐停車違反の状態で、運転者が車両を離れてすぐに移動できない状態にある場合の違反」です。
車両の停止時間、車両からの距離、エンジンを停止しているか否か、ハザードランプを点灯しているか否かは関係ありません。
放置車両違反が発見され次第、警察や駐車監視員によって黄色ステッカー(放置車両確認標章)が車体に貼られます。また、駐停車場所の状況に応じて、レッカー車で移動される可能性があります。
反則金は原則として運転者が納めます。しかし、運転者が反則金を支払わない場合、車両の所有者に責任が追及され、反則金と同額の放置違反金も科されます。さらに、レッカー車での移動が行われた場合は、発生した費用も納めなければなりません。
③ 保管場所違反
保管場所違反とは「道路上の同一場所に12時間以上、夜間(日没から翌朝の日の出まで)に8時間以上駐車する違反行為」です。
違反行為が発覚次第、警察によって赤切符もしくは専用の交通違反切符が貼られ、違反点数の加算と罰金の支払いが発生します。
保管場所違反の場合、反則金ではなく罰金の扱いになり前科がつきます。これは保管場所違反が規定されている法律に関係します。
そこで次の章では、反則金と罰金の違いについて詳しく解説します。
2.反則金と罰金の違い
反則金と罰金は、どちらも違反者に科される制裁金ですが、違反内容の重さや、適用される法律によって区別されます。
【反則金とは】
道路交通法のみに適用される交通反則通告制度に基づく行政処分です。
軽微な交通違反に適用される制度で、青切符が切られ、反則金を納めることで刑事処分を回避できます。
【罰金とは】
酒気帯び運転や無免許運転などの重大な交通違反を犯した場合に科せられる発生する刑事処分です。
赤切符が切られ、裁判が行われたのち罰金もしくは懲役刑が科されます。
駐停車違反と放置駐車違反は、軽微な道路交通法違反として青切符が切られますが、保管場所違反は赤切符が切られます。
「保管場所違反も軽微な交通違反だから青切符では?」と疑問を持つ方もいますが、保管場所違反は「自動車の保管場所の確保等に関する法律(通称:車庫法)」に該当します。
車庫法には交通反則通告制度が適用されていないため、違反した場合には赤切符が切られ刑事処分で処理されます。そのため、保管場所違反で取り締まりを受けた場合、反則金ではなく罰金が科されます。
参考:交通反則通告制度|警視庁
3.駐車違反の反則金(罰金)と違反点数
駐車違反は違反場所や車両区分により、反則金(罰金)や違反点数が異なります。
そこで本章では
- ・駐停車違反
- ・放置駐車違反
- ・保管場所違反
の反則金(罰金)と違反点数について詳しく解説します。
駐停車違反の反則金と違反点数
駐停車違反の反則金と違反点数は以下のとおりです。
違反場所 | 普通車の反則金 | 大型車の反則金 | 二輪車または原付の反則金 | 違反点数 |
---|---|---|---|---|
駐車禁止場所 | 10,000円 | 12,000円 | 6,000円 | 1点 |
駐停車禁止場所 | 12,000円 | 15,000円 | 7,000円 | 2点 |
道路標識がある場所で駐停車を行った場合や、高齢者等制限区間などの禁止場所で駐停車を行った場合、反則金と違反点数が加算されます。
放置駐車違反の反則金と違反点数
放置駐車違反の反則金と違反点数は以下のとおりです。
違反場所 | 普通車の反則金 | 大型車の反則金 | 二輪車または原付の反則金 | 違反点数 |
---|---|---|---|---|
駐車禁止場所 | 15,000円 | 21,000円 | 9,000円 | 2点 |
駐停車禁止場所 | 18,000円 | 25,000円 | 10,000円 | 3点 |
駐停車違反よりも放置駐車違反の方が、厳しく取り締まられます。
またレッカー車による車両の移動が発生した場合、移動や保管に発生した費用が別途加算されます。
保管場所違反の罰金と違反点数
保管場所違反の罰則と違反点数は以下のとおりです。
違反内容 | 罰則 | 違反点数 |
---|---|---|
道路の車庫代わり使用(長期間) | 3か月以下の懲役または20万円以下の罰金 | 3点 |
長時間駐車(道路上の同一の場所に12時間以上、または日没から日の出までに8時間以上) | 20万円以下の罰金 | 2点 |
なお、パーキングメーターが稼働していない時間に駐車した場合、保管場所違反として取り締まられる可能性があります。
これは、パーキングメーターが稼働していない時間帯は、公道扱いになるケースがあるからです。
たとえば、「時間制限駐車区間」の標識のほかに、「駐車禁止」の標識が併設されている場合、利用可能時間外は駐車できない場所にあたります。
パーキングメーターを使用する場合は、指定された場所・時間・方法を守りましょう。
4.駐車違反の反則金(罰金)の支払い方法
駐車違反を行った場合、速やかに反則金(罰金)を支払う必要があります。
支払い方法は違反の種類によって異なるため、本章では駐車違反の種類ごとに反則金(罰金)の支払い方法を解説します。
駐停車違反の反則金の支払い方法
駐停車違反の場合、その場で警察官から青切符(交通反則告知書)を渡されます。
青切符にサインして受け取ったのち、告知を受けた日から8日以内に指定の銀行もしくは郵便局にて納付します。
期日に遅れた場合は交通反則通告センターに出頭し、通知書と納付書を受け取り、その日から11日以内に銀行もしくは郵便局で反則金を支払いましょう。
本人が出頭できない場合、代理人を立てることが可能です。
なお、交通反則通告センターでの支払いはできません。
放置駐車違反の反則金の支払い方法
放置駐車違反の場合、原則として運転者が反則金の支払いを行います。
しかし、運転者が対応しない場合は「使用者の責任」として車両の所有者が対応しなければなりません。
【運転者の責任】
原則として運転者が黄色ステッカーを持参し警察に出頭します。警察署で青切符を受け取り、指定の銀行もしくは郵便局で反則金を支払います。警察署での支払いはできません。
最近では放置駐車違反に限り、コンビニ・Pay-easy(ペイジー)対応のATM・PayPayなどの決済アプリで納付が可能です。
ただし各都道府県によって支払い方法が異なるので、警察署で支払い方法を尋ねるか、各都道府県警察のウェブサイトで確認しましょう。
【使用者の責任】
運転者が何の対応もしなかった場合、記録されたナンバープレートの番号をもとに所有者の住所が特定され、「放置違反金仮納付書」と「弁明通知書」が届きます。
弁明の事由がなく早期に終結させたい場合、放置違反金仮納付書に記載された金融機関にて反則金を支払うことで、すべての手続きが終了します。
違反時に車両の運転者でない場合や、災害などの外的要因でやむをえず駐車をしていた場合などは、弁明通知書で弁明する機会が与えられます。弁明内容が認められると反則金の支払いは発生しません。
保管場所違反の罰金の支払い方法
保管場所違反は、他の交通違反の内容と大きく異なり、罰金の支払いまでに時間を要します。
罰金の支払いまでの流れは以下のとおりです。
- 1. 出頭通知が車両に貼られる
- 2. 警察署に出頭し事情聴取に応じる
- 3. 裁判日程の通知が届く
- 4. 書類送検、起訴
- 5. 裁判所からの呼び出し通知が届く
- 6. 略式裁判で罰則が決定
- 7. 決定された額の罰金を支払う
罰金の支払いは、警察署の交通執行課・検察庁に直接納付・検察が指定する金融機関にて可能です。
罰金を支払わない場合、財産の強制執行が行われます。財産がない場合は、刑務所の敷地内にある労役場に留置され、罰金額に基づいた労役が科されます。
そのほか「駐車違反を繰り返す」「反則金を支払わない」場合は、さまざまなペナルティが科される可能性があります。
5.駐車違反を繰り返す・反則金を払わないとどうなる?
駐車違反をしても反則金を支払えば大丈夫と思い、違反駐車を繰り返す場合や、そもそも反則金を支払わない場合、厳しいペナルティが科される可能性があります。
そこで本章では、具体的にどのようなペナルティが科されるのか解説します。
免許停止の可能性がある
過去3年以内に違反点数が6点以上14点以下になると、点数に応じて30〜90日間の免許停止の行政処分が科されます。
なお停止処分者講習の受講で、停止期間の短縮が可能です。
免許取得から1年以内の運転者の場合、過去1年以内の違反点数が3点以上になると初心運転者講習を受ける必要があります。
受講しない場合、再試験の対象となり試験に落ちると免許停止になります。
一定期間車両が使えなくなる
「過去3年以内に3回以上の放置駐車違反をした場合」「過去1年以内に使用制限命令を受けた車両が放置駐車違反を行った場合」は、使用制限命令が下されます。
使用制限命令を受けた車両はナンバープレートが外され、一定期間の使用が禁止されます。
車検を受けられない
違反駐車の反則金を滞納している場合、車検拒否制度によって、滞納状態が解消されない限り車検の返付(交付)を受けられません。
なお、車検の必要がない普通自動二輪車(総排気量0.25リットル以下)および原動機付自転車は対象外です。
車検切れで公道を走行した場合、道路運送車両法違反で6か月以下の懲役または30万円以下の罰則が科されます。
さらに違反点数が6点加算され、一発免許停止の行政処分が科されます。違反駐車の反則金は必ず期日以内に支払いましょう。
6.社用車で駐車違反した場合の対処法|責任の所在は?
社用車で違反駐車をした場合、責任所在や対応方法が異なるケースがあります。
そこで本章では、責任の所在や適切な対応について詳しく解説します。
基本は運転者本人が対応する
駐車違反は原則として運転者の責任です。これは社用車の場合も同様で、運転者に違反点数と反則金が科されます。ただし、企業には法令遵守を徹底する責任があるため、社員への安全運転指導や再発防止策の実施が求められます。
社員が反則金を支払わない場合は、車両の使用者(車検証の使用者名義欄に記載された方)に責任が及びます。また、企業が駐車違反を容認・助長するような指示を与えていた場合、使用者責任が問われる可能性が高いです。
駐停車違反の場合
駐停車違反の場合、その場で運転者に対して青切符が切られるため、交付された納付書にしたがって反則金を支払います。反則金を期日内に支払えば、会社に違反が知られる可能性は低いでしょう。
ただし、企業が借りたレンタカーの場合、反則金を納めた上での返却を求められるケースがあります。
また、反則金を放置した場合、業界のブラックリストに登録され、企業のレンタカー利用が制限される可能性があります。
放置駐車違反の場合
放置駐車違反の場合、運転者が黄色いステッカーを持参し警察署に出頭します。警察署にて反則金納付書の交付と違反点数の処分を受けます。
運転者が出頭しない場合、車の使用者に「放置違反金仮納付書」と「弁明通知書」が送付されます。放置違反金を納付すればすべての手続きが終了します。
この場合、運転者の違反点数は引かれませんが、会社規定により処分を受ける可能性が高いです。
リース車の場合、車両の所有者はリース会社ですが、使用者は企業なので通知書はすべて企業に届きます。
7.まとめ
本記事では、駐車違反の種類、反則金(罰金)、違反点数、支払い方法などについて解説しました。
違反駐車をした場合、反則金(罰金)の支払いは義務であり、滞納すると使用制限命令や車検拒否制度が適用されます。反則金の支払いは銀行やコンビニ、決済アプリで簡単に行えるため、速やかに納付しましょう。
また、駐車違反を未然に防ぐためには駐停車禁止区間や標識の確認を徹底することが重要です。交通ルールを守り、安全で快適な運転を心がけましょう。