白ナンバーと緑ナンバーの違い|条件やメリット・デメリットを解説
緑ナンバーと白ナンバーの自動車は街中をよく走っていますが、どのような違いがあるのでしょうか?
白ナンバー車と緑ナンバー車の大きな違いとして、運搬物の違いがあげられます。
とくに緑ナンバー車は一般貨物自動車運送事業許可を取得しないと緑ナンバーの使用が許可されておらず、取得するには狭き門となります。
本記事では、緑ナンバーと白ナンバーの違いをテーマに、メリット・デメリットなどを解説します。
目次 / このページでわかること
1.緑ナンバーと白ナンバーの5つの違い
緑ナンバーと白ナンバーとでは、それぞれ用途が異なります。緑ナンバーは、事業用車でお客様の荷物を有償で運び、対する白ナンバーは、自社の荷物を自家用車で運びます。
また、緑ナンバーは「車両を使用して貨物を運送し金銭を受け取る事業者」に装着義務があり、白ナンバーは公道を走行する一般車両に装着義務があります。
上記以外にも、緑ナンバーと白ナンバーにはいくつかの違いがあります。本記事では以下5つの違いについて解説していきます。
- ①運搬物
- ②税金
- ③点検・車検
- ④保険
- ⑤アルコールチェック
具体的に見ていきましょう。
①運搬物
緑ナンバーと白ナンバーは、「運搬物の違い」があります。
自家用車を使用して自社製品を納品する場合や、他社のモノではなく自社のモノのみを運ぶ場合は白ナンバー車を使用して問題はありません。その一方で、他社から依頼を受けて荷物を輸送する場合や人を乗せて送迎する場合には、緑ナンバー車での運行が義務付けられています。
②税金
毎年納税の義務が生じる自動車税は、車両積載量によって決定されます。
白ナンバーよりも緑ナンバーのほうが自動車税を安く抑えることができます。
以下表では、自動車税の違いを記載しています。
最大積載量 | 緑ナンバー | 白ナンバー |
---|---|---|
2トン | 9,000円 | 11,500円 |
4トン | 15,000円 | 20,500円 |
8トン | 29,500円 | 40,500円 |
③点検・車検
緑ナンバーと白ナンバーでは、定期的に行う点検整備期間が異なります。
緑ナンバーは、3ヶ月に1回の整備管理が必要となります。
また、白ナンバーは車検証上の車両総重量によって、点検整備の頻度が変わります。
車両総重量 | 緑ナンバー | 白ナンバー |
---|---|---|
8トン未満 | 3ヶ月 | 6ヶ月 |
8トン以上 | 3ヶ月 | 3ヶ月 |
上記期間は道路運送車両法で定められており、整備を怠ってしまうと違反行為になるので注意しましょう。
また車検について、自家用車の白ナンバー車の場合、2年(新車初回は3年)であるのに対して、緑ナンバー車は新車・中古車かかわらず1年毎になっています。なお、トラックなどの貨物自動車の場合は車検期間が異なります。
車両総重量 | 緑ナンバー | 白ナンバー |
---|---|---|
8トン未満 | 1年(新車初回のみ2年) | 1年(新車初回のみ2年) |
8トン以上 | 1年 | 1年 |
軽 | 2年 | 2年 |
緑ナンバー車両は長距離の走行が想定されていることや対顧客への想定のため、整備頻度も厳格さが求められています。
④保険
白ナンバーと緑ナンバーとでは加入できる保険に違いがでてきます。詳しい内容については次のメリット・デメリットにて説明します。
⑤アルコールチェック
緑ナンバーと白ナンバーとでは、運転前後のアルコールチェックの違いがあります。
緑ナンバーは2011年5月より運転前後のアルコールチェックが法律で義務化されています。きっかけは2011年に起きたドライバーの飲酒運転による死亡事故です。加害者は飲酒後に運転し、居眠り状態のまま高校生2名をはね痛ましい事故となりました。
参考記事:NHKニュース「粕屋町の飲酒運転死亡事故から13年 遺族ら飲酒運転根絶訴え」
原則、対面で顔色や声色なども確認することが義務付けられており、「0.00mg/l」以外の数値が出た場合は酒気帯びとみなされ、その日の運行は不可となります。
また2泊3日以上の運行の場合には乗務前・乗務後ともに対面での確認ができないため、「中間点呼」と呼ばれる乗務中のアルコールチェックも少なくとも1回必要になります。
2011年の緑ナンバーの義務化を皮切りに、2019年には航空・鉄道、2020年には船舶においてもアルコール検知器の使用が義務化となり、「運転」を業務とする業界では数年以上、アルコールチェックは当然の義務となっています。
対して白ナンバーは、2022年4月1日に運転前後のアルコールチェックの結果を目視等で確認すること、アルコールチェック結果の記録を1年間保存することが法令で定められました。
その後、2023年12月1日には、アルコール検知器(アルコールチェッカー)を用いたアルコールチェックが義務化されました。
あわせてアルコールチェッカーは定期的に点検を行い、常に正常な状態で保持しておくことも同時に定められています。きっかけは2021年に起きた自家用トラックのドライバーの飲酒運転による死亡事故です。加害者は飲酒後に運転し、下校中の小学生の列につっこみ5人が死傷するという大変痛ましい事故が起きました。加害者となった運転手は2020年ごろから業務中にトラックで酒を飲んで運転するようになり、同じ会社の従業員から注意を受けていたにもかかわらず、聞き流して飲酒を続けていました。
酒気帯び運転とみなされる基準は「0.15mg/l」ですが、基準値に満たない場合でも明らかな酒気帯び状態(ろれつが回らない、まっすぐに歩けないなど)と認められた場合は酒酔い運転と判断される可能性もあります。
2.緑ナンバーのメリット・デメリット
緑ナンバー車と白ナンバー車の違いはご理解いただけたかと思いますので、続いては緑ナンバーを取得するメリット・デメリットについて説明します。
3つのメリット
緑ナンバーの取得には、3つのメリットがあります。
1. 社会的な信用が上がる
緑ナンバーを取得するためには、一般貨物自動車運送事業許可(運送業許可)を取得する必要があります。
運送業許可は国からの許可であり、大変厳しい条件をクリアしなければならないため、容易に取得することが難しい許認可となります。緑ナンバーを付けているということは、国から認められた事業者となるので、社会的な信用度が一気に上がります。
2. 融資を受けやすくなる
社会的な信用度が上がると、金融機関から融資を受けやすくなります。
たとえばトラック購入のために金融機関から融資を受ける際、緑ナンバーの許可証の提示を求められます。金融機関は許認可した事業者であれば自己資金も確保できていると見なされ、融資の相談に乗ってくれるでしょう。
3. 社員の満足度を高めることができる
緑ナンバーを取得すると、従業員の福利厚生改善や従業員の満足度向上に繋がります。
緑ナンバーを取得する場合は、社会保険・労災・雇用保険に必ず加入しなければなりません。
従業員が保険に加入しているか、定期的に運輸局などの公的機関が確認します。白ナンバーには公的機関からの確認はないので、保険に加入していなくても指導は入りません。
2つのデメリット
反対に、緑ナンバーを取得することによる2つのデメリットも紹介します。
1. 保険料が高くなる傾向にある
緑ナンバーの懸念点として、自動車保険が高額である点があげられます。自家用車と比べて事業用車は走行距離が長く使用頻度も高くなるため、保険料が高くなります。同一車種の緑ナンバートラックを登録し任意保険に加入した場合、白ナンバーの車両と比較して、1.5倍~2倍程度の保険料となります。事業用の自動車保険が高くなる主な理由としては、下記2点が挙げられます。
- ・白ナンバー車と比較して走行距離が伸びる傾向にあり、結果的に事故のリスクが高くなるから
- ・万が一事故をしてしまった場合には損害が大きくなるから
もし事業用車両を10台以上利用されている場合は、事業所単位で契約するフリート契約をおすすめします。フリート契約であれば通常の保険契約と割引率が異なるため、保険料が安くなる可能性があります。
2. 加入できる保険会社が限られている
緑ナンバーで加入できる保険会社は、白ナンバー車と比較すると非常に少なくなっています。基本的には「代理店型」と呼ばれる、店舗で加入するタイプの自動車保険がメインの取り扱いとなります。そのため、インターネット割引の適用があるネットで加入するタイプの自動車保険では、緑ナンバー車が加入できる保険の取り扱いはほとんどありません。ネット保険での加入ができない分、保険料も高くなります。
※保険会社によって保険料は細かく設定が異なりますので、実際に契約する際は各保険会社様にお問い合わせください。
3.まとめ
今回の記事の内容を下記にまとめました。
- ・緑ナンバーと白ナンバーの違いは、「運搬物の違い」である
- ・緑ナンバーの保険料は高額だが、税金が安いメリットがある
- ・緑ナンバーの取得は非常に難しいが、取得できた場合は社会的信用度の向上に繋がる
緑ナンバーの取得は困難な面もありますが、得られるメリットも多いです。もし事業用車でお客様の荷物を有償で運ぶ事業を始められる場合は、ぜひ取得を目指してみてください。